文:二輪車新聞 本多正則
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年11月26日に公開されたものを転載しております。
同ブランドを立ち上げたのは、大阪の服飾専門学校を卒業後、イタリア留学の経歴を持つアパレルデザイナー、小谷渉氏だ。「革の洋服を普段でも着たいねと、社長(深野将和氏)と毎日のように話していたのがきっかけ」「カドヤの可能性を拡げていきたかった」と話す。
発売するや予想を超える反響があったにもかかわらず「今でも試作に近いと思っている」と、現状には満足していない。「もっとカドヤが持っている技術を活かし、お客様にとってちょうどいい使い勝手の革製品を作っていきたい」。小谷氏の、革へのこだわりが新しい流れを作ろうとしている。
カドヤの可能性を拡げていきたい
──まったく新しいブランドを立ち上げたきっかけは。
「そもそもカドヤは革服屋ですが、とてもこだわった革製品を生み出してきた会社です。85年にわたる歴史とその流れを踏まえ、もっと可能性を拡げていきたい、バイク関連以外のチャンネルも作りたいと、スピンオフ的に生まれたラインなんです。毎日社長(深野氏)といろいろなことを話すのですが、『革の洋服を普段でも着たいよね』という社長の言葉がそもそものきっかけで、新しいブランドを立ち上げるチャンスをもらいました。それから実際にアルタケイスを立ち上げるまでに1年半かかりました。バイク使いも普段使いも、どちらもちゃんとできるデザインと機能の両立を狙っていますが、正直に言うとまだ試作に近いと思っています」
──アルタケイスというネーミングに込めたメッセージは。
「もうひとつの、次世代を見越した=ALTERNATIVO(伊)のALTERに、カドヤの商品群、カドヤ既製服のメインストリーム=K'sという意味で“次世代のカドヤ”を思いながら名付けました。ロゴマーク中央に置かれた赤い楕円は、これまで日本の中でやってきたカドヤ、躍動している日本(日の丸)をデザインしたものです」
──男性的で硬派なイメージが強いカドヤ製品にしては、ソフトでファッショナブルですが。
「バイク用の服は当然機能服であり、安全性を求めた結果ゴツくなる流れがあったのですが、カドヤは革ジャン屋であり、革の洋服を考える時にそういったステレオタイプの考え方が本当に必要なのか考えました。逆に、お客様にとってちょうどいい使い勝手を考えた際、一つの方向性としてシープレザーを使ってみようと。そこから、今までと違う、よりカジュアルで使いやすく洗練された製品が出来上がりました。牛革だと、今までのカドヤ製品と同じような雰囲気に仕上がってしまったと思います」
やりたいことを加速させる
──個性的な製品が目立ちますが、社内外からの反応は。
「前評判は悪かったですね。エレファンタスブーツなどは、バックジップファスナーはどうなんだ、プレーンすぎる、カドヤで作る必要があるのかなどネガティブな声ばかりでした。でも、売り出してみたら、お客様の反応は全然違う。おかげ様でブーツはすべて即完売し、追加生産でも間に合わない状況です」
──今後の展開、新製品のアイデアは。
「もちろん時代とニーズを読み取りながらですが、分厚くてハードな革も使っていきたいと思っています。カドヤには、2mm越えの革も自由自在にモノにできる技術を持った職人がいます。その革加工技術を活かして、他がやらないこと、出来ないことがやれそうです。バイク乗車時の安全性を考慮し、パッドが入ったインナースーツなどを具現化して、レイヤリングも提案したいと思っています。品質と使い勝手にフォーカスして、革好きな自分達も着たいと思う製品を作り、自分達がやりたいことを加速させていきます。
かつてのバトルスーツのように、カドヤを愛してくれる様々な人が出すアイデアも形にしたいです。85年の歴史を持つカドヤのDNAが、そんなことを考えさせるのでしょうね」
カドヤ
▽本社所在地=東京都台東区西浅草3-29-21▽TEL=03-3843-2300
https://ekadoya.com
文:二輪車新聞 本多正則
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年11月26日に公開されたものを転載しております。