旧型はとにかくサスを柔らかくしないと走れないから、スピードを出すと不安定になってしまっていました。ブレーキングギャップでもかなりはねられちゃってデメリットが目立っていました。新型はそのような点が見えないですね。フレームのおかげで、サスペンションを積極的に活かしていけるのです。
国内の細々したコースでも、450なのに軽々ひらひら走れるので日本のコースにマッチしていると思いますよ」とのこと。
エンストしづらくなったことも利点
モトクロッサーでは手強く感じたエンジンも、実にスムーズだ。
「HSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)は3段階で一番効いてるモードにいれて、エンジンのモードもスムースモードにいれれば、レースで使えそうだという印象をもっています。思ったほど暴力的な出力ではないですね。
ちなみに、僕が21にあわせて作った(松尾の所属する三恵技研では、エキゾーストを開発している)エキゾーストパイプは、管長をスタンダードよりも稼いであって、エンジンの回転数の上がりが遅くなる。エンブレも効いてる感じがゆるくなり、アクセルも敏感かつダルくなります。かなり乗りやすくなりますね」とのこと。車体同様、エンジンもセットアップ次第で変貌すると判断できるだろう。
また、この21モデルではデコンプの構造が変更されてストールタフネスも上がっていると発表されているが「エンストは、エンストするかしないかのギリギリの出力のところでならしをすると、少しよくなります。この車両は、そういうならしの積み上げをしてある」と松尾。たしかに、下手な稲垣が乗っても、エンストしづらいことが感じ取れた。特にCRF450Rシリーズは、これまでエンストしやすかったイメージがある。パスッと急激なエンストをするので、それをきっかけにポテごけしたりしがちだったのだけど、充分に粘ってくれた。
正直なところ、日本のマーケットではCRF250RXが本命だと思う。4スト250のパワーデリバリーが、技術的にも、フィールド的にも、最も求められるているのは疑いようのないもの。でも、このCRF450RXはたまにファンライドでかっ飛ばしたい、そんな気まぐれサンデーライダーレベルでも、充分に素敵なオフロードライフを送れる相棒になれると言える。