ポイント4「好敵手、ジェット・ローレンス」
越えるべき相手は、同じ時代と共に成長する
まだ、65ccで下田丈が戦っていた頃、年にして2014年のこと。ベルギーで開催されたジュニアモトクロスワールドチャンピオンシップで、表彰台の頂点にいたのが、ジェット・ローレンスだった。2位は我らが下田丈。そして、2019年初旬に鳴り物入りでアムズオイルホンダ入りしたのが、ジェットだった。
中央が、ジェット・ローレンス。左は下田だ。
オーストラリア出身のジェットは、オーストラリアが急激にオフロードバイクでの成績を高めている最中に出てきたキッズだった。兄はチームメイトでもあるハンター・ローレンス。ローレンス家は、オーストラリアからまずMXGPへチャレンジするためにドイツへ。数年後の今年、アメリカのレースシーンへ軸足を移してきた。これまでの下田のライバルといえば、カワサキのセス・ハマカー、あるいはKTMのピアース・ブラウン、ハスクバーナのジャレク・スウォルだったが、ジェットはアメリカのアマチュアシーンに突如現れた新星であり、下田にとっての5年越しのライバルである。下田は、最後のロレッタリン参戦時に、強調してこう残している。「同世代のライバルは、ジェットだけです。ジェットはヨーロッパから来てるから、年下なのに経験も豊富です。レースが巧い。展開の作り方が上手です。めちゃくちゃ速いってわけじゃないけど、バランスがいいんですよね」と。
2020年、モトクロスの最終戦後には「もちろんジェットに勝ちたいは勝ちたいです。けどジェットは僕よりもクイックに物事を学んで吸収できる、僕はジェットよりも少し時間がかかる、それだけの違いだと思っています。今のところは結果的に僕の方が遅かったし体力がなかったりするので仕方ないですが、最終的には勝ちたいです。今シーズン中にもだんだん近づくことができてきたし、最終戦はほとんど差はなかったと思っています」とまとめている。