二輪車用品の販売と開発、車検やメンテナンスなどピットサービスも提供する㈱ナップス(神奈川県横浜市)の全国で26番目となる店舗が2020年9月18日、愛媛県松山市に開店。新店舗では二輪車業界に先駆けてDX(デジタルトランスフォーメーション)をキーワードにした、新たなサービス「ナップスDX」を導入。新サービスの概要を望月社長に聞いた。
文:二輪車新聞 野里卓也

※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2021年2月6日に公開されたものを転載しております。

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画像: ㈱ナップス 代表取締役 望月真裕氏

㈱ナップス 代表取締役 望月真裕氏

AIで適正価格提示と商品の予測発注まで可能にする

──20年に入り行政府を始め、多くのビジネスシーンで目にするようになった「DX」。新たな変革を推し進める象徴的な言葉として使われ始めているが、ナップスDXではどのようなサービスが提供されるのか。

「ナップスDXは以前から大きな戦略として、社内で特別チームを立ち上げ着手していたが、2年ほど前より、四国へ初の店舗を出店するのに合わせ、全国の店舗に先駆けて導入した。ナップスDXでは、以下の4つの特徴的なサービスを提供する。

①:特定の商品コーナーにはタブレットを設置し、希望商品の検索と工賃込みの価格を提示することで、お客様への素早いご提案と使い勝手の良さを提供する。
②:リクルート社のソリューション『Airウェイト』を活用したピットの待ち時間を短縮するサービス。これまでピット作業の受付は来店の先着順だったが、今後はスマホ向けアプリでの予約を可能にする。まだ準備中だが、順次既存店舗でも対応予定。
③:デジタルサイネージの導入。こちらも特定の商品コーナーで大型ディスプレイを設置し、動画と音による〝体感〟を可能に。
④:センターロジスティクスと、ダイナミック在庫システムと呼ぶ物流機能の強化。AI(人工知能)でも使われるディープラーニングと呼ばれる深層学習機能を取り入れていく」

「すでに稼働中のWMS(ウェアハウス・マネジメント・システム。物流拠点への入荷から出荷までを管理するシステム)や商品マスタと、今後導入予定のPIM(プロダクト・インフォメーション・マネジメント。商品や顧客情報にWebなどへ利用するPR情報も含めて管理するIT技術)と連携させ、将来的には当社で保有する販売履歴などのインフォメーションに加え、ニュース記事など外的なデータを収集して深く分析する。お客様が興味のある商品を入力することで、商品在庫が事前に確認できるようなシステムを構築するほか、天気や季節に応じた予測発注までも実現していきたい。

今はEC(インターネットを使った商取引)が当たり前の時代になってきた。しかし、残念ながらそうした商取引は、来店して商品を確認して、商品自体はネットで購入するスタイルが主流だ。そうした商取引に打ち勝つため、取り付けまでできる弊社ならではの強みを活かした重要な戦略でもある」

──来店客にはどのようなサービスが提供されるのか。

「スマホのアプリと連動した『Airウェイト』を活用することにより、お待たせすることもなくピット作業を予約できるようになる。従来の先着順では、作業への待ち時間が発生してしまう事があったが、アプリによってそれを解消することができる。将来的には独自の専用アプリにより、店頭在庫もリアルタイムで確認できるようにする。それによって、いつ、いくらで購入できて、いつ作業ができるのか、リアルタイムで確認できるようにする。特に価格は最新の市場プライスを反映したシステムにするつもりだ。

一方で昨年は新型コロナウイルスの影響で、今までとは異なる接客スタイルを提供しなければならなくなった。来店されるお客様もそうだが、同じように店舗で働くスタッフのことも考えなければいけない。『Airウェイト』はその最たるもので、店舗での不要な待ち時間や混雑をアプリで回避できる
ことで、感染対策にもなる。弊社では年間で11万件ものピット作業があるので感染拡大防止はもちろん、ピット作業の効率化に大きく役立てる。アプリはGooglePlayやAppStoreで提供する」

──商品コーナーに設置したタブレットを使ったサービスとは。

「タイヤの展示コーナーにタブレットを設置し、その場で愛車のサイズにあった商品の検索や工賃を含めた見積もりの素早い提示を可能にした。お客様自身が検索できることで、店舗スタッフへの問い合わせ時間を短縮できるほか、ピット作業も含めた時間も提示する。さらに 提示する価格もネットで出回るリアルな価格とは乖離しないようにする。このタブレットの導入によって将来的には地域のライバル店よりスムーズに、ピット作業も早く提供するつもりだ」

モーターサイクルショーのように楽しめる店舗に

──タブレットでは口コミ機能も搭載したというが、どんな機能なのか。

「ECで買い物をすると、その商品についてお薦めや評価がランク付けされるのが主流になっているが、同じように店舗でタイヤを購入されたお客様が口コミ評価できるようにした。タブレットにはQRコードがあり、そこへアクセスすることで評価ができる仕組みだ。現在は一部の店舗でもそうしたサービスは提供しているが、まだ店舗によって差があるので、これから全店舗へ展開していく」

──デジタルサイネージとは。

「マフラーやホイール、それにサスペンションなどの展示コーナーへ新たに大型ディスプレイを設置することで、見て、触れて、聞くことを可能にした展示スタイルだ。マフラーは従来の商品展示に加えて、音声を出しながら映像を表示することで、商品がどんな音なのか確認できる。

一方、ホイールやサスペンションはその分野に長けた店舗スタッフによる説明映像のほか、メーカー提供の商材動画を表示する。大きな目的は店舗へ来店してもらうことで、最新の情報を動画で見て、展示商品に触れて、音も確認できるようにしたい。

二輪車の最大イベントである『モーターサイクルショー』ではアフターパーツメーカーさんがそうした展示スタイルを採っているが、全店舗でそれを実現したい。ちなみに放映する動画は本社で一元管理する。そうすることで、常にパーツメーカーさんの最新情報が届けられるし、店舗スタッフが展示にかける作業負担も減らすことができるからだ」 
(つづく)

画像: タブレットを設置し、タイヤ商品の検索とピット作業の待ち時間を表示

タブレットを設置し、タイヤ商品の検索とピット作業の待ち時間を表示

画像: マフラーの展示スペースでは大型モニターによる動画と音声で商品を訴求

マフラーの展示スペースでは大型モニターによる動画と音声で商品を訴求

画像: ホイールのエリアでも同様に、大型モニターで商品をPRする

ホイールのエリアでも同様に、大型モニターで商品をPRする

画像: 全国の店舗に先駆けてナップスDXを導入したナップス松山店

全国の店舗に先駆けてナップスDXを導入したナップス松山店

文:二輪車新聞 野里卓也

※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2021年2月6日に公開されたものを転載しております。

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