文:西野鉄兵/写真:西野鉄兵・関野 温・山口銀次郎/モデル:北岡博樹・岩瀬孝昌
タナックス モトフィズ「シートシェルケース」
トップケースのカッチリ感とソフトバッグの気軽さをミックス
タナックスが生み出した流行のひとつに、ハードケースのテイストを持つソフトバッグがあります。
魅力は、シートバッグと同じように簡単に装着できるのに、トップケースのようなタフネス感があることでしょう。
この「シートシェルケース」もそのひとつ。天板はポリカーボネート製となっています。使い勝手を例えるなら、スーツケースです。シンプルな箱型で、ファスナーを開ければフルオープン。荷物の出し入れがすこぶるしやすい!
写真では横向きに積んでいますが、シートやキャリアが細身のバイクの場合は縦向きに積載することも可能です。
容量は25L。日帰りツーリングはもちろん、旅館やホテルに泊まるツーリングでも使えます。ちなみに西野は、スーパーカブ110に積みっぱなしにして、そのまましばらく通勤生活を送っていました。
純粋なソフトバッグよりも耐候性があり、中身が空の状態でも型崩れしないというのは大きな特長。防水性は備わっていないため、ほかのバッグ製品と同様にレインカバーが付属。それでも純粋な布製バッグよりも中身は濡れにくい印象です。
タナックス モトフィズ「シェルシートバッグMT」
スポーツバイクにぴったりのスタイリングにこだわったバッグ
同じくハード&ソフトのハイブリッドモデル「シェルシートバッグ」。この製品の魅力はなんといっても見た目のよさでしょう。
装着した車両は、スズキ・SV650X。メーカーファクトリーカスタム車ともいえる、トガった一台です。こういうバイクにバッグを積むとスタイリングが台無しになりがち。
でも見てくださいよ。純正かと思ってしまうようなフィット感!
「シェル」のメリットは、丈夫さだけでなく、カウルに馴染むという点があります。しかも「Kシステムベルト」で装着しているから、車体後部はすっきり。
サイズ感も計算しつくしたうえで設計されているので、さまざまなバイクにぴったり。とくにリアシートが逆三角形のスポーツモデルとの相性は抜群。
ヤマハのフルカウルスポーツYZF-R25にも絶妙フィット。カウルに黒い部分がある車両にはとくによく似合います。シングルシートカウルみたいじゃないですか? ちなみに「シェルシートバッグ」は、天板がシルバーのタイプも販売されていますよ。
容量は10⇔14Lで少し小さめですが、レインスーツと小物数点は充分に収納できます。これだけでも手ぶらと比べれば、大きな差。愛車がスポーツモデルだという人にぜひおすすめしたい逸品です。
タナックス モトフィズ「ユーロシートバッグ」
コスパが高く、見た目もすっきり!
「シェル」シリーズは見た目がかっこいいけれど、お値段が少し高め。そう思った方には、すっきりとした見た目とコスパのよさを両立した「ユーロシートバッグ」がおすすめです。
タナックスのソフトバッグの生地は、主に高強度ナイロンが使われています。このバッグもそうで、メイン素材は1680Dナイロン。バッグに使う生地としては、トップレベルの引き裂き強度でしょう。
スポーティなバイクには、このように高さが低めのものがよく似合います。また、背の高いバッグの場合、乗り降りが辛くなることも。日帰りツーリングで、必要最小限の荷物を持つのなら、容量14Lのこのユーロシートバッグはうってつけです。
タンクバッグという選択肢もある!
「シートバッグよりももっと簡単気軽に!」と思う方はタンクバッグがおすすめです。
タンクバッグは昔からツーリングライダーの定番アイテム。かつては地図を見るためのバッグとして重宝されてきましたが、いまではマップスペースにスマホやタブレットを入れて使うライダーも増えています。
一般的にタンクバッグには主に2種類あります。
① マグネット式
② 吸盤式
スチール製の燃料タンク車の場合は、固定力を考えるとマグネット式がいいでしょう。でも近年のバイクは燃料タンクに樹脂カバーが備わった機種も増えてきました。
その場合は、吸盤式しか装着できません。愛車がどちらか分からないときは、磁石を近づけてみるといいですよ。部分によってスチールと樹脂カバーを使い分けていることもあります。その場合も吸盤式のタンクバッグを選ぶのが無難でしょう。
というわけで、ここではタナックスの吸盤式タンクバッグを紹介します。
タナックス モトフィズ「マグレス5500S」
シンプルで使い勝手のいい新時代のタンクバッグ
タンクバッグの伝統であるトップのクリアスペースをもちながら、電子デバイスにも対応した現代の定番モデルです。前側の吸盤位置を自在に変えられるのが特長で、さまざまな形状の燃料タンクに対応しています。
容量は5.5⇔11L。拡張した状態ならコンパクトなレインスーツも入ります。クリアスペースには、スマホやタブレットを入れたとき、電源ケーブルを通す穴も完備。脱落防止用のセーフティベルトも付いているので安心して使えます。
クリアスペースの上に備わったコードは、グローブホルダー。これかなり使用頻度高いです。
吸盤タイプのタンクバッグは、装着するときに水を使うのもおすすめ。タンク上部の汚れを拭きとったのち、吸盤に水をつけてぐりぐりと吸盤内の空気を抜くように装着するとピタッとくっつきます。
日帰りツーリングはもちろん、意外とタンクバッグのありがたみを感じるのは、泊まりがけやキャンプなどロングツーリングのときだったりします。
メインのバッグとは別に、身の回り品や貴重品を入れる場所として大活躍。着脱が簡単で持ち運びもしやすいですからね。
まとめ
ここまでさまざまなバッグを紹介してきました。気になった製品はありましたか? もし「なかった」という方は、ぜひタナックスの公式サイトをご覧ください!
この記事で紹介した製品はごく一部。老舗・タナックスの製品ラインナップは、ものすごく細分化されていて、あなたが理想とするバッグが見つかる可能性は多分にあります。
西野の経験上、手ぶらのツーリングで困った経験は数あれど、バッグをつけていき「バッグなんてなければよかった!」と思ったことは一度もありません。
当たり前だろ、とツッコまれそうですが、これまでに何度も「荷物を持っていてよかった」「バッグがあってよかった」と思うことがありました。
初めて訪れた観光地で絶品の銘菓を発見したとき。お土産を買って帰りたいじゃないですか。
バッグに忍ばせていたマルチツールには、何度もちょっとしたことで助けられています。
グループツーリングのときには、空いているスペースを仲間が奪い合うようにペットボトルなどを入れてきたことも。
初めてガスを持っていって、お湯を沸かしカップラーメンを食べたときの感動は忘れられません。
バッグひとつで、手ぶらのツーリングとはまるで違う旅ができるのです。そう、たとえ日帰りでもそれは「ただ走る」という行為から「旅」に変わる、と言えるかもしれません。
ツーリングシーズン到来。感染症対策をして、旅をできる限り思いっきり楽しみましょう!
文:西野鉄兵/写真:西野鉄兵・関野 温・山口銀次郎/モデル:北岡博樹・岩瀬孝昌