エンデューロも同じ。ガスガス(開けろ開けろ)の意はこの性格にあり!
翻って、エンデュランサーはどうだろう。これが、印象はまったくMC125と同じだった。車高が低く、コンパクトな仕上がり。さらに言えば、エンジンはマイルドさも感じるが、元気だ。協調したいのは、マイルドなほうではなく十分に元気であること。フラットな特性のエンジンを開けてくと、しっかり使える高回転域が顔を出す。十分に速く、ファンだ。なんというか「開けられるのに、遅くない。しっかり速い」という印象なのだ。
開けろ開けろ、とマシンが言う。そういう表現をされるバイクというのは、開けられない人間には苦痛でしか無い。だが、不思議なことにさすがGASGASと言うべきか、そのブランドの語源に寄り添うように、誰にでも「開けろ、開けろ」と言ってくる。それが、とても心地良い。
オフロードバイクのラインナップは、いささか極端なところがあると常々思っている。免許取り立ての人にでも乗れるトレールマシンの先は、急にエンデュランサー、そしてモトクロッサーがあり、その境界線はかなり濃いものだ。
個人的な話で恐縮だけど、僕はオフロードバイクに乗るようになって、この20年来ずっとモトクロッサーというものが怖くてしょうがなかった。2ストはパワーバンドに入った瞬間、身体が遅れるし、4ストは開け口がシャープすぎて開けられない。だから、エンデューロバイクこそ至極なのだ、とずっと感じていたんだけど、半年くらい熱心に身体を鍛えて、なぜかモトクロッサーを手に入れて乗り込むようになっていたら、ある日途端にその境界線が溶けて消えた。
だが、半年も身体を鍛える必要すらなかったかもしれない。この新生ガスガスの2台には、そこまで昔感じていた境界線を感じることがない。MC125はエンデュランサーとの境界線を溶かし、EC250Fはモトクロッサーとの境界線を溶かしてくれる。奇しくも、モトクロスとエンデューロとトライアルが、昨今ライダーの交流が激しく、垣根が取り払われ一体化しつつある「ダートバイク事情」と同じように、ガスガスは誰にでも優しく「開けろ、開けろ」と言う。