約5カ月ぶりの全日本トライアル、今回も悩みました…
実は今回のトライアル選手権inSUGOは本当ならば第7戦でしたが、コロナウイルスの影響もあり約5カ月という長いインターバル明けの大会となり、実質は第3戦目となりました。
この大会が開催された喜びはあちこちで聞けましたし、観ている私でも「やっと開催できるんだ」と思ってしまう程なので、選手の皆さんはホントに心待ちにされていたんだろうと思います。
トライアル観戦って他のモータースポーツと違って、一緒に走る競争じゃないので、各ライダーが次々にセクションに挑戦し、常に同時にそれぞれの場所でいろんな選手のアタックが進んでいきます。どうやって見るかで見え方や楽しみ方が全然違うので今回も観戦の仕方を凄く悩みました。
観るセクションを絞って多くのライダーを観るのか、推しライダーや注目選手を決めてセクションを移動しながら観るのか。今回のSUGOはスタートする場所からセクションのある場所まで少し距離がある為、スタートを全クラス見終わるともう既にレディースクラスはセクション3まで進んでいました。
それでもスタートする瞬間はやっぱり見逃せないですよね!!
トライアル観戦上級者の方は観るセクションを決めてこの選手はこのアプローチでいくんだ!と観たり、元々推し選手がいる方が多いと思うのですが、名前と顔とキャラクターが1番分かりやすいこのスタートは、その選手の当日の雰囲気もわかるので私は必ずチェックしてしまうポイントです。
また前回観た時に真面目そうな選手だなと注目していた#7久岡孝二選手はホントに凄く真面目な方みたいでアンケートの答える分量が1人だけ全然違ったそうです。
同じく前回注目して去年の観戦レポートにも書いた、スーパーA級で見逃してはいけない若手、氏川政哉選手は次のスタートの黒山健一選手に後ろから圧をかけられ、いじられていました。
ホントに1人1人の選手の雰囲気がわかるので、ここで誰を注目して見ようかなって出来るのがトライアルのいい所なんですよね♪
あとトライアルは年齢層の幅広さも特徴だそうで、1番先輩ライダーの選手と若手も注目して見ようと思ったのですが、パンフレットに年齢が書いてなくて、調べるのも難しそうで断念。
中々細かい情報を掴むことが出来ないのは難点ですが、黒山健一選手をはじめトライアルのことを頑張ってSNSで沢山発信してくれている選手もいます。黒山選手は実際に選手から観たそれぞれのセクションについてのコメントを前日にUPしてくれていました!
今回その辺もチェックしていたからこそ楽しめた部分もあったので、選手のSNSをチェックしてから観戦するのもオススメです。
また、トライアル選手権はYouTube配信がありました。
今回は所々でマイクを持ったMCと解説の方が説明して下さり「湿度が86%あるから湿っていて難しいんですよ。」って。経験者や詳しい方でしかわからない情報を届けてもらえるので、初心者の私にも「なるほど!SUGOにはそういう特徴があるんだ」と学びながら観ることができました。
ただ、サーキットのような環境の整った場所ではないので、多少の聞こえにくさがあるのは否めないのですが、やはり知らないことを情報として得られるようになるのは観戦していて嬉しいポイントです。
観戦に来られない時はどのカテゴリーもYouTube配信されたものを後から観て楽しんでいたのですが、1番伝わりづらいなと感じたのもトライアルでした。
配信がどうこうではなく、たぶん競技そのものの特徴で、生で観るのとレンズを通して観るのではやはり全然違うことを実際に観戦に行ってより感じたのです。
トライアル競技を見慣れてくると、そのテクニックを当たり前のように観てしまうのですが、実際その場にいる時は競技が終わったあと、さっきまで競技していた岩の前に立ち「どうしてこれが登れちゃうんだろう」って。笑
ホントに不思議に思えるのです。
もちろんどんどん難しい場所を越えていく姿や走っていく姿はかっこいいのですが、かっこいいだけでは済まされない、その場のピリッとした雰囲気や空気感。みんながごくりと唾を飲んでしまいそうな空気にだってなることもあるんです。そんな雰囲気を一緒に味わえる、間近でその勇姿を観られるから面白いんだなと、今回観に行って改めて感じました!
今回ルーキー選手に注目といったのですが、国際スーパーA級クラスで注目してみたのは#5氏川政哉選手と#7久岡孝二選手。
氏川選手は19歳、久岡選手は21歳とスーパーA級では若手の選手です。
ちなみに氏川選手はアシスタントがお兄さんでここも兄弟ペアでした!
これまで、トライアルをチーム単位で観たことがなかったのですが、よく観るとA級で6位だった福留選手とウェアデザインが同じだ! そしてもう1人、今年からスーパーA級に上がったルーキー#20 廣畑伸哉選手も同じデザイン。みなさんTEAM MITANIだったのです。
「なるほど!」と納得。
今まで個人単位でしか見ていなかったのですが、こういったチームで同じデザインというのもあるんだ!と何戦か観て初めて気付きました。
また同じチームでも違うデザインの人もいるので難しい所ではありますが、個人的にはこのデザインの若手選手達の残り2戦に注目して追ってみようというキッカケになりました!
また、久岡選手はヤマハのライダー。
ヤマハ勢には黒山健一選手もいますが、表彰式終わりにヤマハのライダーだけ円陣を組んでミーティングをしている姿からチーム感が伝わってきました。中々見慣れない光景に最初は驚きましたが、集まって話しあっている姿にこれからの期待が高まるのは私だけかな?!
また久岡選手は今季1大会毎に順位を確実に上げていき、今回4位に。
残り2戦の走りが凄く気になるし、トライする姿勢から、いま見逃したら後悔しそうな選手だなとも感じました。
それともう1人。
今回見ていて面白かったのは#6 柴田暁選手。
私が今回一番観ていた第2セクションで、IAスーパー級の選手が最初の難所で5点減点かそれを越えても次の岩場で減点5と先に進めていなかったんです。
このセクションは難しそうだなと観ていると、いよいよ柴田選手がトライする番に。「お父さーん、頑張れー」と柴田選手のお子さんの声が響き渡りました。
気持ちを落ち着かせスタートし、難所の前でもう一度落ち着かせてから一気に加速。
難所を越え、下り、次の岩場も...なんと乗り越えたのです!「残り30秒」のマインダーさんの声が聞こえます。会場の雰囲気がいっきに柴田選手への期待でざわざわし始めます。
ここからは簡単に行けるのか難しいのかわからないけど岩がある!これはどうなの?!と思っていると岩の段でつまずき会場は更にざわざわ。
そこへ再び「頑張れー」と声援が響きます。その声が届いたのかなんとか乗り切り減点3でクリア。
それが1回目のトライだったのですが、2回目の第2セクションでもちょっと焦りそうな場面がありそこへ「大丈夫、焦らない。いけるよ!」と力強い声! その声が届いたかのように今度は減点1でクリア。
第2セクションのフィニッシュにたどり着いた選手は、チャンピオンの小川選手と柴田選手だけでした。
小川選手の安定感はもうさすがという感じだったのですが、柴田選手の声援を受けてそれが届いたかのようなトライになんだか胸が熱くなる瞬間もあり、とても印象的でした。
最後に載せられなかった選手や現場の雰囲気が伝わる写真たちです。
残り2戦は今秋末の11月13、14日。
連戦になるのですが、会場は愛知県のキョウセイドライバーランド!!!
前売り券で1500円、当日券は2000円で公式プログラム付きです。それぞれ1DAY券ですが、丸1日このお値段で楽しめるのはお得ですよね!!
若手からベテランライダーまで幅広く活躍し、レディースライダーもかっこいい全日本トライアル選手権。今季最後の戦いでどんな走りが観られるのか今からわくわくです♪
写真/梅本まどか、編集部