盛り上がりがハンパなかった！全日本モトクロスin名阪スポーツランドの観戦レポ（梅本まどか）

2022-10-08

9月10･11日に名阪スポーツランドで行なわれた、全日本モトクロス選手権第4戦近畿大会

3年ぶりに奈良県の名阪スポーツランドで全日本ラウンドが行われたことや、いまAMAスーパークロス／モトクロスで大活躍中の下田丈選手の参戦という事で、お客さんも沢山集まり、凄く賑わっていました！

私は3年前に初めてモトクロス観戦したのがこの名阪スポーツランド。
この場所はモトクロスの会場として中部や近畿出身ライダーにとっては地元で、アクセスの良さもあって比較的いろんな地域から集まりやすい会場。モトクロスのワールドカップであるネイションズの壮行会もここで行なわれるなど、人気のコースなんです。
そこで“あの”下田丈選手が走る！となれば沢山の人が来るだろうなと予想していましたが、日曜日は入場するのに1時間待ちとなる大渋滞。

会場内も沢山の人がいたので観戦場所を探すのに苦労したくらい、ホントに大勢の方が来場されていました。

私は今年モトクロスを現地観戦するのが初めてで（YouTubeで観ていました）、今年のチーム体制が発表されてからずっと個人的に楽しみにしていたのが、今年IA2からIA1クラスに変わって参戦する３人の選手でした。

HONDA のマシンに乗るベルズレーシングの#22 大城魁之輔選手と#23大倉由揮選手・カワサキのマシンに乗るマウンテンライダーズの#25内田篤基選手。

去年のIA2チャンピオンの大城選手は今年に入ってから前戦のSUGO大会でヒート優勝をしたりとルーキーの中で1番結果を残していて、9月25日にアメリカで行われるMXoN(ネイションズ)にも選ばれていたのですが、練習中の怪我により名阪にもネイションズにも出られなくなってしまったのです。
これを知った時「走りが観たかったなぁ」と残念でした。

これによりバトルが熱くなりそうな残る2人の選手！
内田選手は去年怪我をされるまでIA2では無敵状態で前半戦を連勝していたのですが、後半戦の1ヒート目で怪我をし、最終戦も様子を見ながらの復帰。また今年も怪我をしてしまい本調子では無さそうでしたが、名阪は後半戦の初戦！　そして、チームの地元であるこの場所でやってくれるのではないかと期待が高まっていました。
ちなみに過去のレポートでも内田選手について書いた事があるので気になった方は見てみて下さい。

そして、大城選手の代わりにネイションズの参戦が決定した大倉選手ですが、IA2の時はヤマハのマシンに乗っていたのを今年からクラスだけでなくチームもメーカーも変わっての参戦！
1番環境が変わったのは大倉選手だと思います。
大倉選手はいつも良い所で走っているということと、好青年そうな選手というイメージだけ。知らない事だらけだったので今回は大倉選手に注目しながらも、ルーキー2選手の活躍に期待しようと楽しみにしていました。

土曜日の朝、名阪スポーツランドに行くと人が沢山いて観る場所に悩みましたが、一番いろんな所が観られそうな真ん中のエリアから観戦することに。

すると、練習走行から黙々といいスピードで走る選手がいてよーく見ると大倉選手でした！
正直今回は下田選手目当ての方が凄く多かったので、みんな下田選手がジャンプをすると「うぉー！すげー！」とか「はやっ！」など声がそこら中で漏れていたのですが、そんな中、大倉選手に注目して見ていると私の思い違いかもしれませんが、凄く集中して自分のリズムを作っているように見えました！

予選が行われた土曜日は前日の雨でIBクラスやレディースクラスは転倒も相次ぎ凄く難しいコンディション。

タイヤがはまって中々抜け出せないなんて状況もあるくらいだったのですが、決勝は日曜日。
以前、去年のIA1チャンピオンの山本鯨選手から「モトクロスは横一列でスタートするから予選の順位はロードレースほど重要じゃない。ラインを選べるのは速い人順だけど、誰の隣になるかわからないからね。そういうのも影響してくるから絶対に予選で1番がいいって訳ではない」と教えて頂いていたので、土曜日よりも路面が乾いた日曜日の2ヒートがどんなバトルになるかわくわくしていました♪

日曜日の午前中に行われたのがヒート1。

スタートの前にサイティングラップとして1周コースをチェックしてスタート位置につくのですが、この時会場から「今から下田丈選手の走りが観られる」という期待値が上がるのが凄く伝わってきました。
私は前日と同じ位置から観ると決めていたのですが、そこはスタート地点が見えず、1コーナーを過ぎて坂をのぼってくると、やっとライダーが見えるという位置。
誰が最初に姿を現すのかドキドキしていると、最初に見えたのは下田丈選手！！
ここで「うぉー！　やっぱりすげー！」と会場は大盛り上がり！
この次に見えたのが内田選手と大倉選手。まさかのルーキー２人がこの位置に！思わず「いけー！」と叫んじゃいました。

画像: 先を走るのが内田選手、追いかける大倉選手。 — 先を走るのが内田選手、追いかける大倉選手。

ここから下田選手は独走状態になっていくのですが、この2選手のバトルが続きます。
最初は内田選手が2位を走っていましたが、大倉選手が抜き、そうしている間にも今年のポイントリーダーの富田選手が背後に近づき、内田選手→大倉選手の順に抜いて2位に。
一旦もうこの順位のまま落ち着くのかなと20分過ぎたくらいで思っていたのですが、またちょっとずつ内田選手が大倉選手に近づいていき、またバトルしそうな雰囲気に！！
どうなるかと観ていると段々距離は縮まりあと1Lの表示が！このまま大倉選手が逃げ切るのか、内田選手が最後に巻き返すのかって注目のラップだったのですが7コーナー過ぎたところで大倉選手が転倒。
そのまま内田選手が通り過ぎて3位に内田選手。大倉選手は5位でヒート1を終えました。
私は自分が注目していた2選手の熱い3位争いが観られた事に興奮し、転倒した時も「あー！」と思わず叫んでしまったからか、隣で観ていた人と終わった後に目が合い「熱いバトルでしたねー」と話しかけられました。
「いや、今年ルーキーの熱いバトルよかったですね」と返し、「下田選手の走りは凄かった」や「内田選手はもっとランキング上がってくる期待の選手」「大倉選手のネイションズ期待」など話しが盛り上がり、ついついお喋りしちゃいました！
あの転倒を正面から、同じ場所から観ていたからこそ話せた会話で、会場で観ると知らない人とでも共感でき、楽しい会話ができてすごく嬉しかったし、やっぱり楽しいなと感じました。

このヒートは内田選手にとってはIA1初表彰台となりました。

こんなバトルを観たらヒート2はどうなるんだろうと更に期待が高まるのですが、ヒート2は全く違った展開がまた面白かったのです。
観た場所は全く同じところ。
なので、スタートしてから選手が見えるまでドキドキでしたが、ヒート2で最初に見えたのはなんと富田選手。そして能塚選手や小方選手。まさにベテラン勢の逆襲でした。
ヒート1は下田選手がトップでそこにルーキーが頑張って追いかけるという形だったのが、下田選手が見えたのは1番最後。全員を抜いていく、それもまた素晴らしい走りだったのですが、このヒート2スタートからのベテラン勢、いつもトップを走っている選手達の「もうこれ以上は負けられない」という気迫を感じ圧巻でした！！

ヒート2では、最終コーナーで見える小方選手の走りがかっこよかったり、「30分ヒートは長くて嫌い」とよくコメントしている能塚選手のスイッチの入った走りだったり、もう見所が多すぎです。それは、私が初めて観た名阪スポーツランドでは何も知らなかったのが、それから3年が経ち選手の事を知ったからなのか、何かはわかりませんでしたが、それくらい各選手の輝きを感じたし、あれもこれも観たいとなるくらい面白かったです！

ヒート2はトップでチェッカーを受けたのが下田選手。2位に富田選手3位に能塚選手・次に小方選手→大倉選手→内田選手の順で終わりました。

今回来ているお客さんを眺めてみると、1人のモトクロス好きな人が初観戦の人を連れて来るというペアをよく見かけたのですが、みんな一生懸命「30番の人（下田選手）がめちゃくちゃ速いから！　2番の人（富田選手）が今全日本のトップだから！」という声が聞こえてきて、その教えている通りに2ヒートとも1位は下田選手、2位は富田選手。初めて観た人達も「ホントにそうだったね！」「下田選手すごいね」って楽しそうにしていたのが印象的でした。

現地観戦をしていると、意外と周囲の観戦している人の声が聞こえてくるのも面白いポイント。私は詳しそうな人が近くにいると、ちょっと聞き耳を立てながら観ている事もあるのですが、今回は下田選手と富田選手の名前をみんな話していたので、途中でわざと大倉選手や内田選手の名前を出しながら応援してみると、今までメーカーの名前を呼んでいた人が名前を呼ぶように変わっていったのです。やはりみんなお互いの声を聞いて観戦しているんだと感じた瞬間でした！
こういうのは現地ならではですし、熱狂的なファンがいる選手がいると気になったりもするので面白いですよね♪
ライブ中継では伝わらない、現地ならではの空間でヒート1、ヒート2と違う展開が観られて沢山の人と一緒に楽しめてよかったです☆+°

画像: 旗を持ったり傘さしていたり、いろんなお客さんがそれぞれに楽しんでいました。 — 旗を持ったり傘さしていたり、いろんなお客さんがそれぞれに楽しんでいました。

せっかくなので今回注目した大倉選手にお話しを聞きに行くと凄く悔しそうでした。
「今回地元で結構乗り込んできたんで、正直もっといけるかなという自信があったんですけど、前回空回りして下の順位だったので、今回でしっかり自分の力見せつけたろ！って気持ちがあって...でも、ヒート1ラスト1周でコケてしまって5位。勢いと体力が比例してなかったなと。ヒート2もスタート出遅れて、追い上げたし、前も見えたけどラスト10分で体力的に...。練習とレースでは全然違うなと痛感しました。今回は小中高の友達も観に来てくれてたから表彰台にのりたかった」とわかりやすく冷静にレース後の感想を教えてくれました！

いろいろお話しを聞くと「まだまだなんで」など謙虚なイメージがあったので「俺のココを見て欲しい！　ココだけは負けない！」みたいな強みってどこですか？と聞いてみると、なぜか苦手な所から話し出したのですが、暫く聞いていると「もち...あじは...自信をつければもっといけると思うんで！まだ成長段階ですけど頑張ります！」と自分を冷静に分析しながら話して下さいました。

画像: 今回は取材などもあり、走らない時間も忙しそうでした。 — 今回は取材などもあり、走らない時間も忙しそうでした。

自信をつけた時の速さ！という点で監督はどうみているのか気になったので大倉選手のチームHonda BELLSの監督小島選手にお話しを聞きにいきました！

「大倉はアグレッシブで上手くいくと速い！　1つ1つのコーナーの立ち上がりでしっかり開けて走るのが魅力」とやはり自信をつけた時の速さについて語って下さいました。
走りはアグレッシブだけど意外とネガティブなタイプだそうで大倉選手との会話からの謙虚さはネガティブな所が出ていたのかと納得しちゃいました。

加えて「大倉はホントに自信をつけると全然違うから、今回いけなかったのはそれが弱さだなと思うけど、ネイションズでバケて成長して帰ってきてくれる気がします。今年は大城と大倉、全然違うタイプだから凄くいい刺激になっていると思うし、柳瀬にもジェイに勝って欲しいし、後半戦も頑張ります！」と意気込みを話して下さいました。

大倉選手とバトルをした内田選手にもお話しを聞きにいくと「ずっとバトルはしんどかった。体力的にもメンタル的にも...」と言いながらも、よかった所も頑張った所もスタートから振り返りながら話して下さいました。
「最後頑張ってちょっとプッシュしていたら、大倉選手が転んで、あの時はラッキー、もう無理はしないよって思って走り切りました。初表彰台にのれてよかった」と凄く嬉しいというよりは落ち着いてホッとしている感じ。

今シーズンについても聞いてみると「やっぱり大城選手の活躍は見ていて歯痒かった。怪我とかいろいろあって...でもやっと自分も通過点。やっぱり勝ちたいし、次に向けて頑張ります！今回はお客さん沢山いたけど丈（ジョー）くんがいるからじゃなくて、普段からこれくらい盛り上がってもらえるようにも頑張ります！！」と力強いコメントももらえました！

最後にお礼を言いながら「今年のルーキーに注目していて、今回大倉選手と内田選手にお話しを聞いたのですが残りも期待してます」と伝えると「大倉君なんて言ってました？」とまさかの質問が！！！
以前マイカルチャンプさんのYouTubeチャンネルにUPされていた内田選手密着動画で、めちゃくちゃ「気にしい」で、レース前は必ず口内炎ができると話していたのですが、こうやっていろんなところから情報も集めているのかなと気にしたり、マメな部分も垣間見え、面白かったです。

面白かったといえば、今回走る事が出来なかった大城選手。私はお話しを聞くのが初めてでしたが「もう左胸が痛くて痛くて..」と左胸をおさえながら真面目になのかふざけてなのか謎なテンションで話して下さいました。笑
「こっち（怪我した方）はもう月曜日にオペして、2週間経てば乗れるんですけどこっちが、、、。」と怪我の回復は順調そうでしたが、心の方が問題だと伝えて下さいました。
「でもホントに出られなくて、ネイションズはめちゃくちゃ悔しかったです。走れますと言ったけどダメでした。」とそこだけはテンションが違い、ホントに悔しかったんだなと伝わってきたのですが、天然なのかお話しを聞くと常に不思議な雰囲気で思わず笑ってしまいました。

怪我が治ったらこの悔しさを爆発させる走りが期待できそうだったので、大城選手にも注目して今後も見てみようと感じました。

お話しを聞いて印象が変わったのはレディースクラスの#1 川井麻央選手

去年のチャンピオンですが、今年に入ってから表彰台に上がることがなく、今回の名阪で初めて3位という結果だったのでお話しを聞いてみました！
すると「今年に入ってから上手くいってなくて、このインターバルでホントヤバいなと思ってめちゃくちゃ練習して、その甲斐あってこのヒート1で今まで掴めてなかったものがつかめた気がして、とりあえず一安心というか」と。表彰式ではあまり笑顔ではなかったですが、お話しを聞きに行くと自信に満ち溢れてる表情に驚きました。

実は去年圧巻の走りをしていたのでもうちょっと悔しそうだったり、お話し聞ける雰囲気じゃないのかなと思っていたのです。
ちなみにインターバルはどんな練習をしたんですか？と聞くと「それは...内緒ですね(￣▽￣)」とめちゃくちゃ笑顔で答えられてしまいました。笑

でも、何か聞きたいなと「今まではスタートは出ず、追い上げていくのが麻央選手のスタイルのように見ていたのですが、ヒート2はスタート出てましたよね」と聞くと「ちょっと（スタートを）研究したら出られましたね♪」とやはり練習をしっかりしていたそうです。

実は麻央選手に初めてお会いしたのがこの名阪で、それから何度かお話しも聞かせて頂いているのですが、今シーズン残りも応援していますと伝えると「1番に応援して下さいね！笑」と一言。そんな強いコメントをされるとは思っておらずビックリ！！！
冗談かもしれませんが、こういう言葉が出たり、今回コメントを聞いてホントに前半とは違う何かをこの名阪で掴めて自信に満ち溢れていて、やる気をとても感じたので後半戦の麻央選手の走りは見逃せないなと思いました。
やっぱりこれが言えるライダーはかっこいいなとキュンとした場面でもありました。

そして、もう1人。
久保まな選手！この名阪ではヒート1では優勝。ヒート2では2位という結果に凄く嬉しそうに喜びを伝えてくれました。
「今回は地元ということもあって、応援も多くて頑張らなくちゃと凄くパワーをもらいました。あとヒート1で優勝できたのが大きかったかな。ヒート2は追い上げのレースで普段はスタートで出られるといいけど、追い上げはあんまりで...でもここ大好きなコースやし、地元やし、昨日勝ててるしって自信を取り戻せたのでできた気がします。ただ、自分の思ってる名阪の走りは出来なかった。監督にも言われましたがスロースターターなんで、急にスイッチが入って、そこからは速いけどって。シーズン通してスロースターターだけどここから挽回できたらいいなと思います！」とレース後とは思えないくらい爽やかな笑顔で意気込みを話して下さいました。
後半戦でスイッチの入った久保まな選手の走りにも注目したいと思います！

今回の名阪はホントに見所も多く、ホンダブースではトークショーが行なわれたり、ロードやトライアルの選手のブースもあったりと大盛り上がり！
そこには下田選手というライダーがいたからという事と、この名阪という特殊な会場というのもあるかもしれませんが、ライダーさんみんなが口を揃えて「普段からこれだけ盛り上がるように頑張りたい」と強くコメントされていました。

お客さんとコースが近いのもモトクロスの魅力。ぜひ皆さんも後半戦の観戦に行ってみてくださいね！