WERIDE三宅島エンデューロレースはこうして生まれた
この「WERIDE三宅島エンデューロ」は三宅村が主催し、東京都が支援するエンデューロレースです。その目的として「三宅島復興」を掲げています。参加したライダーもそのことは知っていても、実際に三宅島を襲った悲劇をちゃんと知らない人も多いのではないかと思い、簡単にまとめてみました。
長い歴史の中で何度も小さい噴火を繰り返してきた三宅島ですが、2000年6月26日に三宅島周辺で地震活動が活性化。7月8日には島の中心にそびえる雄山が噴火します。その後も幾度かの噴火を経て9月1日には全島避難が決定。約4000人の島民が島を後にしました。
その後、2005年に避難が解除され、少しずつ島に島民が戻り始めました。2007年、当時の石原慎太郎都知事が三宅島復興策としてイギリスのマン島TTを模倣した公道オートバイレースを提唱するも、安全性への配慮が指摘され中止。パレードランやトライアルデモンストレーション、ツーリングラリーなどのコンテンツを含む「チャレンジ三宅島モーターサイクルフェスティバル」が開催されました。
翌2008年にはFMXやキッズバイク親子体験教室などが追加され開催。2009年は台風の影響でほとんどのコンテンツは中止となったものの、初のエンデューロ・エキシビジョンが開催。そして2010年、名称を「WERIDE三宅島」に変更し、エンデューロレースのみ開催する現在の形になりました。
2019年の第10回大会を最後に新型コロナウイルスの影響から2年間の開催中止を余儀なくされたものの、2022年に復活を遂げました。
僕と三宅島
2012年春、僕はまだオフロードバイクに興味がないツーリングライダーでした。当時大ヒットしていたNinja250Rに乗り、ブログを通じて出会った仲間とツーリングやミニサーキットで遊んでいました。
当時接客業をしていた僕は、仕事の休憩中に事務所でバイク関連のYouTube動画を見るのが日課でした。ある日、何気なくWERIDE三宅島エンデューロレース2011(小池田猛選手、鈴木健二選手、釘村忠選手らが参加)の動画をクリックしたのです。約20分の動画が3本に分割されアップされていて、休憩時間の60分を全部使ってそれを見終わった僕は、初めて見るエンデューロレースの映像に大感動したのです。
もちろん名だたるトップライダーの走りも素晴らしかったのですが、特に僕の胸を打ったのは島民枠で参戦していた地元ライダーの走りでした。コンディションの悪化したマディレースで、ドロドロになりながらチェッカーを受けた時の充実した笑顔。そしてそれを讃える観客。当時「エンデューロ」という言葉を知らなかった僕は「優勝したライダーだけでなく、頑張ったライダー全員が讃えられる、これこそがエンデューロなのだ」と深く感銘を受けました。
それからすぐにKLX250を購入して林道デビュー。翌年にはトランポとレーサーを買ってオフ沼にどっぷりと浸かっていました。2016年に転職し、現在の職に。念願の三宅島エンデューロレースを取材することが叶ったのです。さらに2017〜2019年はプライベートでライダーとして参加することができました。
2021年、コロナ禍でWERIDE三宅島エンデューロレースが中止になり、三宅島に行く理由がなくなってしまった僕は我慢できなくなり、別媒体で「三宅島林道ツーリング」という企画を立ててCT125ハンターカブで三宅島へ。
そして2022年、僕は6回目となる三宅島へ行ってきたのです。
EN-91とMX-14の組み合わせが最高!
自己新記録でゴール
WERIDE三宅島エンデューロレースは選手権ではありません。もちろんレースである以上、順位はつくのですが、初心者ライダーもたくさん参加しており、一部コースも狭いため、目を三角にして危険な追い越しを仕掛けたりするような趣旨のものではないのです。とはいえ、なかなか通年で選手権シリーズを追いかけられない僕にとっては、大好きなWERIDE三宅島で好成績を収めることが、オフロードバイクに乗り続けていくための一つのモチベーションになっています。
思えば過去の三宅島のレースは色々とトラブっており、プラグが被っていてスタートできなかったり、スタートしたと思ったらリアタイヤがパンクしていたり、スタート直前になってスコールに見舞われたりしたのですが、それでも毎年最高の思い出として残っています。
半ば「どうせ今年も何かあるんだろうな」と思いつつ、準備していきます。愛車のBETA RR2T200の腰上OHを行い、前後タイヤ交換。三宅島はちょっと独特な路面で、前半はスコリアと呼ばれる細かく軽い火山石が積もっていて、サンドっぽい感じ。後半は石が多めの林道で、ちょっとだけガレの登りがあり、パンクのリスクもあります。前半と後半で全く違う路面のためタイヤチョイスが難しいのですが、今年は迷わずリアタイヤにダンロップのGEOMAX MX-14をチョイスしました。
実は2019年の参戦時にはMX-14の旧タイプであるMX-12を使用していました。全体的にはとてもよかったのですが、ちょっとガレセクションの岩で弾かれたりする場面があったのです。ところが今年新発売したこのMX-14は鈴木健二選手がG-NETで使用しているのを何度も取材していて「コンパウンドが柔らかくてなっていてガレや根っこにも強いんです」と聞いていたので、迷わず決めました。
ダンロップタイヤはサイドウォールの剛性がしっかりしているので空気圧は強気の0.35kgf。チューブは僕が絶対の信頼を寄せているダンロップのスーパーヘビーチューブですから、きっとパンクしないはず!
フロントも同じスーパーヘビーチューブにタイヤはダンロップのEN-91を選びました。空気圧は0.6kgf。実はこのタイヤは履くのが初めてだったのですが、鈴木健二選手にオススメされてトライしてみました。
なんと今年はゼッケン7番をGET。スタートの並び順は早い者勝ちなので、ゼッケンは関係ないのですが、ちょっと心強く感じつつ、サイティングラップを終えたらすぐにマシンを前に並べ、スタート最前列を確保。このレースはエキスパートクラス(MFJの国際ライセンス保持者。今年は5台)だけが先にスタートしますが、その他のライダーは100台以上が一斉にスタートするため、最初のヒルクライムで毎年渋滞が発生し、後列スタートだとそこで絶対に詰まって大きく出遅れてしまうのです。
レース形式は2時間30分のクロスカントリー。スタート前の開会式では少し雨がポツポツ。とはいえマディになるほどではなく、路面のグリップも最高。スタートしたら雨も止んで何事もなく順調にレースが進められました。
三宅島エンデューロレースの何が気持ちいいかって、七島展望台に登る全開ヒルクライムなんですよ。登るたびにテンションが上がりすぎて、両側で観戦している観客に「ヒョー!」って叫んじゃうやつ。でも、登り切るためには下からしっかり加速していかなくてはいけません。しかもコースがちょっとだけ曲がっていて、レースが進むにつれて荒れてくるので、前走車がいたりするとラインが重なってうまく加速できないこともあるのですが、そこで真価を発揮したのがMX-14でした。前のライダーを抜くために少しラインを外すと、フカフカのスコリアの中でスタンディングのままコーナリングするようなイメージになるのですが、そこでの安定感が抜群で、どんなラインからでもアクセルを開けていけるんです。おかげでここでパッシングする時にも十分なクリアランスをもって不安なく全開(あくまで気持ち的に)にすることができました。
後半のウッズは以前よりも道が広くなっていました。しかしレースが進むにつれて真ん中に一本の轍ができ、多くのライダーはその轍をトレースして走るため、抜くためには安全な距離を保ちつつ脇からパッシングしなくてはいけない状況になります。そこでは石のゴロゴロ転がるところを、弾かれずに進行方向をコントロールできるEN-91に助けられました。
また、コース随一の難所であるガレクライムは健在でした。ほとんどは問題なくスムーズに抜けることができたのですが、一回だけ入口でスタックしてしまいました。それでも空気圧をしっかり下げたMX-14は、まるでガミータイヤ(トライアルのような柔らかいコンパウンドを使用したハードエンデューロ用のタイヤ)かのようなグリップを発揮して容易に再発進してくれました。
一回の給油を挟んで2時間30分を走りきり、ゴール。今年は例年以上に土日の取材が多く、しばらくレースに出ていなかった(ゴールデンウィークのWEX高井富士120minが最後)ので体力面が不安でしたが、やっぱりラスト2〜3周は疲れからシッティングが増え、極端にスピードが落ちてしまいました。
シッティングが増えてくるとお尻の痛みとの戦いになってくるのですが、今年の僕にはプロテクトJ1がありました。今まで自分では手の平のマメ対策とプロテクターの擦れ対策でしか使ったことはなかったのですが、今回初めて自分でもお尻に塗ってみたら、最後まで痛くなかったんです! レースが終わった後にはお尻にカサブタができていたので、決してダメージがなかったわけではないと思うのですが、それでも痛くて座れないようなことがなく、楽しく走り切ることができたのはとても大きいです。
順位は総合26位、チャレンジオープンクラス9位でした。初参加の2017年は56位、2018年は50位、2019年は39位でしたから、少しずつではありますが、自身の成長を実感できてとても嬉しく思っています。いつかこのレースで表彰台に立つことが、僕のオフロードバイク人生における一つの目標になっています。
渡辺敬太
「初めて出場した三宅島エンデューロレースで優勝することができて本当に嬉しいです。スタートしたらフロントタイヤがパンクしていて、リムに石がガンガン当たって、リムが曲がらないか心配しながら走っていました。いつも練習している河川敷のコースに少し似ていたのですが、こっちの方がアクセルを開けるのが難しかったです。バイクは85ccなんですけど、ビッグタンクをつけていたおかげで一回の給油で走ることができ、ピット作業もチーム員がサポートしてくれたのでとても助かりました。すごく楽しいレースでしたので、また来年も参加したいなと思いました」
渡辺裕之
「初めての参加だったのですが、すごく楽しかったです。普段から全国を回ってレースをしているのですが、なかなかこんな硬い尖った岩がゴロゴロしているコースはないので楽しかったです。ほとんど毎週欠かさずに息子と練習しているので、親子で好成績を収めることができてよかったです。でも『そろそろ(息子に)抜かれるかな〜』と思っていたら、やっぱりやられちゃいましたね」
レースはオマケ!?
三宅島で繋がって全国の友人と交流を楽しむ
さっきまでレースのことを熱く語っておきながら、こんなことを言うのもどうかな、と思うのですが、僕はWERIDE三宅島の本懐はレースではないと思っています。
このレースは金曜日の夜にフェリーに乗ってから日曜日の夜にフェリーを降りるまで、ほとんど団体行動になります。こう聞くと少々窮屈に思えるかもしれませんが、決まった時間をともに過ごすうちにおよそ140人のエンデューロ大好きな仲間たちと交流できる、とても貴重な時間となるのです。僕はそれがまるで「修学旅行」のようでとても気に入っています。
フェリーや宿、レース、表彰式、観光……友人を作る機会はたくさんあります。仲間と参加した人も一人で参加した人も、きっとこの大会を通して素晴らしい出会いがあったはずです。そして来年もこの三宅島エンデューロに来れば、きっと会えるはず。
来年の参加を考えている人へ
大会の流れを解説!
WERIDE三宅島エンデューロのレースは2019年から抽選方式になっています。2017年くらいまでは普通にエントリーできるレースだったのですが、SNSの普及とともにその景観の素晴らしさが広まり、たくさんのエントリーが集まるようになりました。
当選するとゼッケンや必要書類と一緒に「しおり」が送られてきます。これがまた修学旅行感を増していますね。毎年参加していると、細かいところまで目を通さず「去年と同じでしょ」と思い込みで参加しがちですが、今回は初参加の友人と一緒に参加したため、前回からの変更点に気づけました(ありがとうございます!)。
島内の移動は基本的にバスなのですが、これまではライディングギヤ一式をギヤバッグに入れてゴロゴロ転がして、バス移動の時は別便のトラックが大きな荷物を宿まで運んでくれていたんです。ところが今年はそのトラックが出せないとのこと。そのため予めブーツ、プロテクター、キャメルバッグを宅急便で送ることにしました。東京都練馬区からで片道2010円(ヤマト便)。ヘルメットはヘルメットバッグに入れて膝の上に抱えて行きました。
次はレース開催直前の金曜日午後、12〜16時に東京の辰巳埠頭に行き、バイクと工具、ガソリンなど、レースで使う物だけを預けます。ほとんどの人はトランポに積んできますが、自走参加の人もいましたよ!
まずは受付。書類を出してトランスポンダー(計測器)を受け取ります。
タイラップも一緒に渡されますので、トランスポンダーをフロントフォークに取り付けます。これで周回をチェックしています。反対側に付けちゃったりすると正確に計測されない可能性があるので注意。
荷物も全部積んでセロー250で自走参加。三宅島の熟練スタッフにより保安部品にもテーピングが施されています。
トランスポンダーをつけたら、車検。ゼッケンの貼り付けやトランスポンダーの装着をチェックしてくれます。ブレーキの効きやチェーンの張り、スポークの緩みなどは基本的に自己責任で管理しましょう。トレールマシンの場合は保安部品のテーピングやサイドスタンドの固定方法(レース中にサイドスタンドが降りてしまうと危険なため上げた状態で固定するか取り外す)などもチェックしましょうね。
車検が終わったら、バイクをコンテナに預けます。このように前後交互に入れていき、一つのコンテナに大体5台。タイダウンでしっかり固定してくれますので、安心できます。マシンには一台一台ビニール袋を貼り付けてくれます。レースが終わった後にこの袋に汚れたウエアなどを入れておくと、マシンと一緒にここまで運んでくれます。
レース会場に運んでもらえる荷物はこの青いカゴに収まる分だけ。僕は工具一式とエアポンプだけ入れました。ガソリン缶は別で運んでくれます。人によってはここにプロテクターを入れてしまって、荷物を軽くする人もいましたが、そうするとレース会場に着いてから一度ウエアを脱いでプロテクターを装着する手間が発生します。しかしその分、先に送る荷物の送料を節約できるので、どちらでも好きな方を選べます。
140人もの参加者がたった4時間のうちにここに集まり、バイクと荷物を預けます。これを捌くことができるのは、過去10回の経験を培ってきた熟練スタッフさんだからこそ、と言えますね。
辰巳埠頭は駐車スペースが限られていて、次から次へと参加者がやってきます。自分の荷物を預け終わったら速やかに移動しましょう。トランポに乗って今度はお台場へ。お台場には三宅島レースのために貸し切っている駐車場がありますので、そこに車を停めておくことができます。
駐車場は某ドラマで有名な東京湾岸警察署のすぐ隣です。この後は20時30分から竹芝客船ターミナルでフェリーの乗船受付になるため、それまでは自由時間となります。
とりあえずダイバーシティでユニコーンガンダムを見て(世代じゃない。ガンダムは0080が至高)。
ゆりかもめの竹芝駅すぐそばのサウナで汗を流したら浜松町まで歩いてカンパイ! 今年は埼玉県のバイクショップNAGmotorsのメンバーとご一緒させてもらいました。そうなんです。お台場でトランポを駐車場に入れたら、翌日のレースまで運転しませんので、もうビールが飲めちゃうんです。
あっという間に20時。竹芝客船ターミナルの奥に受付カウンターが設置されています。
手作り感あふれる受付看板w
ここでフェリーの往復乗船券と記念Tシャツ、パンフレットなどをもらいます。このチケット、帰りのフェリー乗船時にも必要なので管理を気をつけましょう!! 僕は今回、三宅島エンデューロ参戦4回目にしてやらかしました……。まさかのホテルから東京へ送る荷物の中に帰りの乗船券を入れてしまって、そのことにフェリー乗船30分前に気づき、その場で事情を説明して現金で乗船券を購入。後日使わなかった乗船券と引き換えで返金、という面倒くさい手続きをお願いするハメに……。申し訳ありませんでした!
ここでは公式カメラマンさんがチームごとに記念写真を撮ってくれます。
そしてみんなで集合写真撮影。いくぜ、三宅島!
フェリーは鮮やかなイエローとグリーンのツートンカラーが目印の橘丸です。
追加料金で船室をグレードアップすることもできますが、一番安い二等客室はこんな感じ。22時に出航して翌朝5時くらいには到着しますので、基本は寝るだけです。なお、外海に出てしまうと揺れが激しくなるので、なるべく船が東京湾内にいるうちに眠ってしまうのが正解です。
あれ? 乗ってすぐに何を買ってるんですか?
カンパーイ!!
そうです。これが大人の修学旅行、三宅島エンデューロの醍醐味です。島に着いたら少しの仮眠ですぐにレースなので、お酒を飲んでサクッと寝てしまうのが正解。
レインボーブリッジの下を通過したら、いよいよ電波も怪しくなってきます。
三宅島に着きました!
オハヨウゴザイマス。眠い目を擦りながらフェリーを下船。チームごとに振り分けられた宿に向かうバスが4台用意されていますので、自分の宿に向かうバスに乗り込みます。三宅島観光協会の方でしょうか? まだ暗いうちから歓迎のために出てきてくれています。
今回お世話になったのは「プチホテルあいらんど」さん。めちゃくちゃ綺麗な部屋で、しかもトイレ・シャワーが部屋ごとに付いています。
宿のおかみさん曰く「うちに泊まるお客さんは毎年必ず何か当ててくるんですよ」と。まぁ景品もたくさん出るし、可能性としてはおかしくないですよね〜、なんて思ってました。この時はこの言葉を侮ってました。このフラグが後ほど表彰式でしっかり回収されることになるとは……。
6時くらいに宿に着いたら朝ごはんをいただき、仮眠。8時30分くらいに宿にバスが迎えに来るので、準備を終えておきます。
バスが来るまでにラジオ体操をして体をほぐしていました。怪我しないためにとても大事!
レース会場に移動! ここでようやく島の景色を見ることができます。天気良くて最高!
バスで第一パドックへ連れてきてくれます。ここで辰巳埠頭で預けたバイクと再会。ここから白バイに先導してもらって公道を走り、レース会場へと移動します。
この時、絶対に後ろを振り返ってください!! これはとても大事です。レース会場は島の中央、つまり雄山の山腹にあり、坂を登っていくのですが、ここの景色がもう最高なのです。レースの後にはここを逆方向に降っていくので、その時にも堪能できますが、島の天気は変わりやすいので、帰りも天気が良いとは限りません。
レース会場に着くと、辰巳埠頭で預けたカゴとガソリンがゼッケンごとに置かれています。ここが自分のピットになりますので、よく場所を覚えておきましょう。そしてすぐに走る準備をして、まずはサイティングラップです。実際にレースで使うコースをゆっくり一周だけ走ることができます。自由参加ですので、その時間をバイクのセッティングや休憩に充てることもできますが、レース中は走りながら景色を楽しむ余裕がないので、いつも景色を楽しみながらゆっくり走ります。毎年少しずつコースも変わりますし。特に今年は3年ぶりということもあってウッズがかなり変わっていました。
そして開会式。大会会長の櫻田昭正村長や大会副会長の井澤幸男理事長、大会名誉顧問の三宅正彦議員、生稲晃子参議院議員らの挨拶が。残念ながら今年は大会名誉会長である小池百合子東京都知事は欠席でしたが、年によっては足を運んでスタートフラッグを振ってくれることもあります。
毎年素晴らしいMCで大会を盛り上げてくれるジャッキーさん。「僕が喋ると太陽が出てきます。今日もみんなのために一生懸命磨いてきました」と喋り出しからみんなを笑顔にしてくれました!
そしてレースがスタート。2時間30分全力で走ります。レースの様子は先にお伝えしたので割愛。
レースを終えたライダーからお弁当と、島民のみなさんが炊き出してくれるカニ汁にありつけます。このカニ汁の美味しいこと! どんなに疲れていてもこれだけは飲んで欲しいです。
そしてまた白バイの先導で第一パドックまで移動し、着替えを済ませて表彰式に出席する準備をします。替えのTシャツや靴などを持ってきていないとライディングウエアのまま表彰式に出ることになっちゃうので、気をつけてくださいね。
表彰式は感染対策
注目のバイク抽選で奇跡が!
例年ですとここにビールやソフトドリンク、オードブルが用意されていたのですが……今年は感染対策がしっかりと行われていました! 飲食はなく、椅子も距離を空けて並べられています。
そしてクラスごとに表彰が行われました。
チーム「フレアライン」が強すぎましたね。JNCCの常連であり、三宅島エンデューロも毎年大勢で参加している神奈川県のバイクショップです。そしてその他にもユニークな表彰がたくさんあります。
さて、表彰式のラストを飾るのは毎年これ。誰もにチャンスがあるバイクのプレゼント! なんとなんと、今年はカワサキのKLX110Lが2台! 男性から1名、女性から1名にプレゼントされます。
抽選方法はまず櫻田村長がゼッケン番号が書かれたクジを引いて5名を選びます。
選ばれた5名でジャンケン!
勝ったらバイクをGET! 宮森公史郎選手、おめでとうございます!
さて、女性は……ん? ちょっと松永さん、何ちゃっかり選ばれてるんですか?
勝っちゃった!!
なんと、2016年にRM85をもらい、今回はそのマシンで出場してレディースクラス2位に入賞した松永選手が今年もバイクをGET。ご本人は辞退されようとしましたが、あくまで公平な抽選とジャンケンの結果ですので、運営本部として「問題ない」との決断が下り、やり直しはなし。2台目の当選者はもちろんWERIDE三宅島エンデューロ史上初。しかもこの宮森選手と松永選手、チームメイトなんですよ……。そしてなんと、僕と同じ「プチホテルあいらんど」に宿泊しているんですよ。覚えていますか? 宿のおかみさんが「うちに泊まる人は毎年何か当ててくる」と言っていたのを……。
奇跡が起きる島、それが三宅島。
日曜日は自由時間を楽しもう
初めての人は島内ジオスポット巡りツアーがオススメ!
表彰式が終わると後はもうお宿に戻って夕食をいただいて眠るだけです。仲間で集まってお酒を楽しみながらレースの感想を話し合う時間は、他のレースだとなかなか取れないですよね。
明けて日曜日の午前中は自由時間です。三宅島常連な人たちは釣りをしたり、レンタルバイクを借りて島内ツーリングをしたり、宿でのんびり疲れを癒やしたりしていますが、初めての人にオススメなのは近畿日本ツーリストさんが実施している観光バスツアーに参加すること。三宅島のジオスポットを案内してくれますよ。
1箇所目は島の南西部に位置する阿古地区にある火山体験遊歩道。ここでは1983年の噴火の時に阿古集落を飲み込んだ溶岩流の中に設置された遊歩道を歩くことができます。溶岩流を堰き止めた小学校の校舎がそのまま残されており、当時の被害の大きさを想像させます。
2箇所目は新澪池跡と、個人的にこのツアーの目玉だと思っている新鼻新山。新澪池はかつては綺麗な池でしたが、1983年の噴火で溶岩が流れ込み、激しい水蒸気爆発を起こして池の水がなくなってしまいました。その向かいの小道を海に向かって降りていくと目の前に広がるのが新鼻新山。こちらは1983年、海底火山の爆発によって一夜にしてできた噴石丘なんです。まるで他の惑星にでも迷い込んでしまったかのようなダイナミックな景色に大自然の脅威を感じられます。
バスは島内一周道路をぐるりと走り、北東へ。3箇所目は三七山とひょうたん山です。ひょうたん山は1940年の噴火で生まれた噴石丘。時間があれば噴火口を一周歩けるトレッキングコースもありますよ。三七山は新東京百景にも選ばれており、ロックバンドGLAYのプロモーションビデオのロケ地にも使われたことがあるのだとか。
最後は伊豆諸島最古の灯台がある伊豆岬。ここでは過去の噴火で堆積した地層を間近で見て観察することができるんです。
今回のルートにはありませんでしたが、他にも2000年の噴火で埋没してしまった鳥居が残されている椎取神社などもあります。
ツアーは島内を一周するとそのまま島市会場へ連れて行ってくれます。ここでは他のアクティビティで遊んでいたレース参加者たちとも合流し、お昼ご飯を食べ、市民会館に出店しているお土産屋さんで買い物が楽しめます。
今年はaideaの電動バイクAA-Cargoシリーズの試乗体験ができましたよ。
そこにゼッケンが貼られたセローで登場したお二人、森田全彦さん(写真左)と倉光陽介さん(写真右)。本来のフォーマットではバイクはすでにコンテナで東京に戻っているはずなのに、なぜ? と思いお話を伺ってみると、運営に交渉し、自分たちで全てを手配をすることでバイクをコンテナに積まずにフェリーに預け、三宅島でもう一泊してツーリングを楽しんで帰るという参加方法をしているとのこと。
しかしこの方法ですと三宅島に持ち込めるバイクは250cc以下に限られており、しかもフェリー1便につき2〜3台までという制限付きのため、かなり狭き門となっています。でも三宅島にも貢献できるし、島の魅力を余すところなく堪能できる、面白いアイデアだと思いました!
島市会場から再びバスに乗り込み、フェリーが発着する港へ。ここで大体13時くらい。三宅島には港が3つあり、風向きなどによってその日の港が決まります。今回は南東部にある三池港。ここで急に黒い雲が出てきて今にも雨が降り出しそうな雰囲気に。
ギリギリまで釣りを楽しむ濱原選手。
フェリーに乗り込んで島とのお別れを惜しみます。何度経験しても感動。さようなら、ありがとう、そしてまた来年!
そしてやっぱりカンパイ!
今回、WERIDE三宅島エンデューロレースに初参加した針木康行さん(写真左)と栃堀一政さん(写真右)。
針木さん
「初めての経験がたくさんできてとても楽しかったです。レースしている間は景色を見ている余裕があんまりなかったんですけど、後から公開される公式写真を楽しみにしたいと思います。船旅と宿とレースと、スケジュールの中で色々な要素があって楽しかったです。船で飲むビールは最高ですね。常連さんがたくさんいるのも納得でした。次はレースとは関係なく仲間たちと三宅島に行って、観光とか釣りとかダイビングとか、全く違うことを1日楽しむのもいいな、と思いました」
栃堀さん
「もう出発の金曜日からすごく楽しくて。レースはやっぱり展望台に登るヒルクライムが気持ちよかったです! レース中に一回止まって景色を見たんですけど、最高でした。僕もリアタイヤにダンロップのMX-14を使ったんですけど、サンドなヒルクライムだけじゃなくてガレでもガンガン登っていけることにすごく驚きました。宿の食事で出た明日葉が美味しかったのと、日曜日のジオスポット巡りも楽しかったです。本土では見ることができない景色で、特に断層とかはすごかったですね。来年は趣味で始めたSUPやバイクでのツーリングもやってみたいです」
天気が良ければ帰りのフェリーから伊豆大島に沈む夕日を見ることができるのですが、今回は雨模様でお預け。でもせっかくなので2019年の夕日をシェアしておきます!
そして竹芝桟橋でフェリーを降りたらその場で自由解散。各自電車やタクシーなどでお台場の駐車場に移動し、トランポをピックアップ。辰巳埠頭でバイクや預けていた荷物を受け取って本当に解散です。
これにて今年のWERIDE三宅島エンデューロレースは全日程が終了。金曜日の午後から日曜日の夜まで、みっちり楽しめます。今回参加された方も、参加できなかった方も、また来年の開催を楽しみにしておきましょうー。