新規チーム2年目の挑戦へ
まだまだ寒い1月下旬、MotoGPのプレシーズンテストも目前に迫って、いよいよ球春ならぬ「輪春」が始まろうとしていますね。
年明けすぐに全日本ロードレースの大型移籍話も発表されて、いよいよ全日本ロードレースのエントラントもシーズンインへの準備が急ピッチで始まっているようです。
そんな中、昨年に結成され、あらたに全日本ロードレースに参戦をスタートした「TeamTATARA」の2023年シーズンへ向けてのキックオフパーティが開催されました。
TeamTATARAは、江口謙/豊田浩史の両ベテランライダーを擁して22年シーズンに新規参入。使用機材はアプリリアRSV4で、シーズン途中からは負傷の豊田の代役に和田留佳も加入。無事に1シーズンを乗り切りました。
「まったく初めてのアプリリア、マシンの仕上げもセッティングも、レースと同時進行という厳しいシーズンでしたが、シーズンが進むにつれてだんだん仕上がってきて、目標タイムもクリアできるくらいまで仕上がってきました」とは、22年のメインライダーを努めた江口。
さすがに新規チームでデータもなにもないアプリリアではポイント獲るのも難しいんじゃない?――という大方の予想を裏切って最高位12位、ランキングは江口が24位、豊田が32位、和田が34位という結果でしたが、2年目に進む光が見えたようなのです。
そして2023年は、江口がECUテクニシャン兼現場責任者となり、豊田と和田が継続参戦。和田は代役参戦から正ライダーの座をつかみ取りましたね。
さらに新たに新庄雅浩をライダーに起用し、豊田と新庄がJSB1000クラスへ、和田がST1000クラスに参戦することになります。
もちろん鈴鹿8時間耐久もターゲットのひとつで、豊田は鈴鹿8耐までのシーズン前半戦、マシン開発やデータ取りを目的に参戦するという形になるかもしれません。
新庄は22年にRS-ITOHからカワサキZX-10RでJSB1000クラスへ参戦。全日本ロードレースはもちろん、テイストofツクバでのZRX1200による激走でおなじみのライダーです。
「レース歴20年にもなって、もうベテランってポジション。僕の今までの経験やスキルを活かして、新しく迎えてくれたTeamTATARAの役に立ちたいです」と新庄。
さらにビッグニュースとしては、今シーズンから新たに特別申請車両としてアプリリアRSV4Factory1100がJSB1000クラスに参戦OKとなったこと。
JSB1000クラスは、文字どおり日本独自のレースということで、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの車両はJSB仕様に仕立て上げるキットパーツが存在しますが、アプリリアとなると世界統一に近いスーパーストックのレギュレーションキットは存在するものの、さらに造範囲の広いJSBへの対応は難しい、とされてきました。
これはドゥカティを使用したいチームにとっても高い壁で、そのため市販車としてラインアップされている1100ccバージョンでの参戦がOKになった、ということです。
この優遇措置はいいですね。たとえば鈴鹿4耐に「ちょっと古い」600ccスポーツがST600Rというカテゴリーで参戦できるように、たとえば生産から数年が経過した「ちょっと古い」1000ccスポーツにもなんらかの優遇措置を施して改造範囲を広げてあげると、参加台数も増えるかもしれないです。
その意味で、アプリリアの特別申請車両認定はファインプレーだと思います。パニガーレもレース仕様で1000ccのV4Rが発売されているけど、そうでないV4Sは1100cc――こっちも参戦OKにしちゃえばいいのにね。
ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキのマシンに加えて、チームSUGAIもライダー須貝の負傷から復活参戦、そしてTeamTATARAがアプリリアで参戦と、JSBもSTも見どころがひとつ増えましたね!
写真・文責/中村浩史