2023年型「YZR-M1」がアンベール
2023年の3月に開幕を控えるFIM ロードレース世界選手権「MotoGP」。今年は11チーム22名のライダーが参戦することが決まっているが、全チームに先駆けヤマハ発動機株式会社が23年型マシンを発表した。
2023年1月17日、ヤマハはインドネシアのジャカルタでYamaha Indonesia Motor Manufacturing 2023「3Sディーラー・ミーティング」を開催。ヤマハのワークスチームである「Monster Energy Yamaha MotoGP」が新しいカラーリングを発表した。
アンベールされた2023年型YZR-M1には、これまで通りメインスポンサーであるMonster Energy社の象徴であるモンスター・クローが大々的に施されている。
2013年からヤマハとオフィシャル契約を結び、2019年からはタイトルスポンサーとしてヤマハをサポートしている同社。2022年にはヤマハと複数年契約を結んでおり、今後数年はこの強力なパートナーシップが続く予定だ。
カラーリングに関してはカムフラージュ柄になり、グレーが追加されている。またスクリーンの両端にはイタリアの工具メーカーであるBeta Toolsのロゴが施されている。Beta Toolsのオフィシャルカラーであるオレンジ色が映えるスクリーンは22年型と違った特徴のひとつだ。
チャンピオン奪還なるか?参戦メーカー唯一の2台体制で臨む23年シーズン
2021年にファビオ・クアルタラロとともにチャンピオンを獲得したが、2022年シーズンは21年にチャンピオン争いを繰り広げたドゥカティとフランチェスコ・バニャイアにタイトルを奪われてしまったヤマハ。
タイトル奪還を目指すべく、今年もライダーラインナップの変更はなし。21年のチャンピオンであるクアルタラロとフランコ・モルビデリの布陣で23年シーズンに臨む。
2019年に最高峰クラスにステップアップしてきたクアルタラロはヤマハのサテライトチームから参戦。サテライトながら速さを見せつけ、史上最年少ポールポジション記録を更新。6度のポールポジション、7度の表彰台を獲得する活躍を見せた。
21年にヤマハのワークスチームに昇格するとシーズン5勝をあげチャンピオンに輝き、名実ともにヤマハのエースライダーとなった。
2018年に最高峰クラスにステップアップしたモルビデリは2019年にヤマハに移籍。サテライトチームでヤマハの1年目を過ごしたモルビデリだったが、チームメイトであるクアルタラロの後塵を拝する形となってしまう。
しかし2020年シーズンは初優勝を含む3勝をマークし、ランキング8位に終わったクアルタラロに対し、ランキング2位という好成績を残した。21年途中からヤマハのワークスチームに昇格している。
強力なラインナップだが、22年シーズンはヤマハ陣営の成績はかなり偏っている。クアルタラロがチャンピオン争いを繰り広げポイントも248ポイントを稼いでいるが、チームメイトのモルビデリ、そしてサテライトチームのライダー3名が稼いだポイントは全員分を合わせて79ポイントに止まっている。
クアルタラロだけが活躍した22年シーズン。23年はサテライトチームであるRNFがマシンをヤマハからアプリリアにスイッチしたため、ヤマハ陣営はワークスであるMonster Energy Yamaha MotoGPのみの2台体制となった。データ収集という面では参戦するマシンが多いほうが有利だが、メーカーとして2台だけに注力できる環境となった。
モルビデリに関しては21年に大怪我を負い長期離脱をしており、怪我の回復途中にワークス入りといった環境が大きく変わってしまうなど不調をきたす要因がいくつもあった。
しかしライバル勢の進化がヤマハを上回っていたのも事実だ。弱点であるトップスピードの改善をヤマハの持ち味である扱いやすさ、高い旋回性を損なわず両立できるかが2台揃って上位に進出する鍵となるだろう。
気になる23年型YZR-M1のポテンシャルは、シーズン前にマレーシアのセパンとポルトガルのポルティマオで開催されるプレシーズン・テストでみることができる。
テストでは「Yamaha Factory Racing MotoGP Test Team」のカル・クラッチローも参加しデータ収集に務める予定だ。王者奪還に燃えるヤマハ陣営から目が離せない。
まとめ:河村大志