2023年型「RC16」が初披露
Red Bull KTM Factory Racingは2023年1月27日のローンチイベントにおいて2023年型「RC16」が公開された。
同チームは2017年の最高峰クラス参戦から一貫してオレンジとダークブルーのオリジナルカラーとメインスポンサーのレッドブルのロゴが施されている。
例年通り今年もこのお馴染みのカラーリングに変わりはないが、23年型に関してはダークブルーからブラックに近い色合いとなった。オレンジ色にペイントされていたウイングレットもブラックに変更されている。
さらに昨年に比べエキゾーストパイプのレイアウトが大きく変わっている。また、アンダーカウルに施されていた「MOTOREX」のロゴが消え、新たに『Mobile1』のロゴが追加された。
これはRed Bull KTM Factory Racingが2022年まで使用していたスイス最大のオイルメーカーであるMOTOREXからアメリカのエクソンモービルへと燃料を変更したためだ。この契約により世界的ブランドであるMobile1のロゴを掲げることとなった。
また、Red Bull KTM Factory Racingはスペインの自動車メーカーセアトの高性能ブランド「クプラ」と公式モビリティパートナーになったことも発表。そのためアンダーカウルに施されたMobile1のロゴの下にクプラのロゴも追加されている。
ジャック・ミラー加入でさらなる飛躍なるか?
2022年はアプリリアが飛躍的な進化をみせ、チャンピオン争いに加わるなど躍進した。その陰に隠れてしまった感のあるRed Bull KTM Factory Racingだが、2017年の参戦以来、確実に進化を遂げている。
そして23年シーズンはこれまでのサテライトチームを含めた2チーム4台体制ではなく、ワークスチームのみの参戦となる。(GASGAS Factory Racing Teamが同じRC16を使用するため実際は4台体制だが、KTM名義としては2台体制)
23年のラインナップはブラッド・ビンダーが継続参戦、そしてドゥカティファクトリーからジャック・ミラーが加入し新たなコンビで23年シーズンに挑む。
ビンダーは2016年にKTMでMoto3クラスのチャンピオンを獲得。Moto2を経て、2020年に最高峰クラスに昇格し、デビューイヤーでいきなり1勝を挙げた。常にトップ争いには加われなかったが、毎年1勝は必ずあげており、22年シーズンは自己最多となる2勝を挙げてランキング6位に食い込んでいる。
今年からRed Bull KTM Factory Racingに加入するミラーは2014年にMoto3クラスでランキング2位を獲得すると、翌2015年にはMoto2を経験することなく最高峰クラスに飛び級でステップアップした。
2016年の第8戦ダッチTTでは大雨で上位ライダーの転倒が相次ぐ中、マシンを見事にコントロールし自身初の優勝を飾るなど、ウェットレースなど難しいコンディションで速さを見せることが多い。これはビンダーにもいえることであり、難しい荒れたレースでパフォーマンスを発揮するところは2人に共通しているところだ。
ミラーはホンダのサテライトからドゥカティのサテライト、そして2021年にはドゥカティのワークスチームに昇格し3勝をマークした。ちなみにミラーにとってKTMのバイクに跨るのはMoto3でチャンピオン争いをした2014年以来だ。
ウェットレースを含めた荒れたレースに強いという共通点がある2人だが、ライディングスタイルは異なる。ビンダーはレース中に確実に順位をあげていくレースが多い。
一方ミラーは序盤からハイペースで走ることができるが、終盤タイヤが終わってしまい順位を下げてしまうパターンが多い。この異なるライディングスタイルの2人に対しマシンを合わせこんでいけるかが上位進出の鍵になるだろう。
強力かつ個性的なコンビとなった23年のKTM陣営だが、KTMのマシンも他メーカーとは違うコンセプトを採用し、オリジナリティ溢れるものとなっている。車体構成はもちろん、MotoGPクラスでは唯一のスチールパイプのフレームやWP製のサスペンションを採用している。個性が光るチームでもあるので今シーズンもKTMから目が離せない。
朗報!「リトルサムライ」ダニ・ペドロサがスペインGPにワイルドカード参戦!
2023年4月28日から4月30日に行われる第4戦スペインGPにKTMのテストライダーを務めているダニ・ペドロサのワイルドカード参戦が発表された。
125ccクラスを制し、250ccクラスでは連覇、最高峰クラスでは31勝を挙げ、殿堂入りも果たしたスペインの英雄ペドロサ。惜しまれつつも2018年シーズンで引退したペドロサは2019年からKTMのテストライダーに就任。そこからKTMは最高峰クラスにおいて確実に飛躍していった。
MotoGPを盛り上げたトップ選手であり、KTMのマシンを進化させたペドロサは2021年第10戦スティリアGPに一度ワイルドカードで参戦しており、ワイルドカードとしては今回が2度目の参戦となる。サーキットを熟知したライダーによるフィードバックは今後のマシン開発に必要な情報であり、KTMにとってペドロサはこれ以上ない第3ライダーと言える。
前回はオーストリアでの参戦だったが、今回はペドロサの地元スペイン、しかも最も熱狂的で毎年多くのファンが足を運ぶことで知られているヘレスサーキットでの参戦。スペインのファンに長年愛され応援されてきたペドロサの参戦により、今年のヘレスサーキットはさらに盛り上がるに違いない。ヘレスでの第4戦では「3台目」のRC16にも大注目だ。
まとめ:河村大志