文・写真:山口銀次郎
旭鉄工
旭鉄工株式会社は、自動車部品製造業でトヨタのティアワンメーカーだ。現在取り組んでいるのは、 BtoC(企業から消費者)の商品を開発して、そこからBtoB(企業から企業)の部品に拡販していくという試み。
それまでの自動車部品ではない作り方(工法)をBtoCの商品で楽しみながらチャレンジしているという。
その一例が、チタン製のまな板やステンレス鍛造の調理器具、チタン製のマッサージオブジェ等。
それまで旭鉄工では行ってこなかった工法で製品化が進められたという。そして、その新たな技術を、BtoB製品に活かしていこうという、わけだ。
実際にチタン製の製品は、自動車部品では高価なために使用されないが、BtoCで培った技術を活かして、医療関係の医療器具などに拡販されていったという。確かな技術とチャレンジ精神があるからこそ、成功したといえる「BtoCtoB」の見本的なビジネスモデルだろう。
山田ドビー
株式会社 山田ドビーは、高速精密プレス機械の開発、製造、販売を行っているメーカーだ。
通常のプレス機械は、金属をプレスして成形するといったボンヤリとしたイメージだが、文字通り高速かつ精密に抜く機械が「高速精密プレス機械」とのこと。
今回の展示では、そんなプレス機械で仕上げられた部品を紹介していた。
ちなみに、展示されていた数々の部品や製品は、工作機械の専門展示会では披露することはないとのこと。知識ある同業者が見れば、そのノウハウをわざわざ流出させてしまっている事と同じだからだという。
展示されている物に、バイク乗りなら身近に感じるドライブチェーンのプレートも用意されていた。また、最も身近なものでいえば「500円硬貨」。その製造にも、山田ドビーの技術が活かされている。
今回の目玉製品というか、なかなかお目に掛かることができない部品が、ハイブリッド自動車のモーターの鉄心の部分だ。さらに、トヨタ・アクアの燃料電池のコアにある、酸素と水素を反応させ電気を発生させるフルセルスタックそのものも展示。
どちらの部品も小型化を目的にしているので、非常に薄いプレートにとても細かな加工が施されている。
コンパクトなスペースにより多く詰め込むために、機能部品を極限まで薄くそして細かく仕上げる。そんな製造過程で、山田ドビーの高速精密プレス機械が活躍していることが良くわかる展示であった。
また、普段見ることの出来ない貴重な部品の数々を前に、なにか作り手の執念まで感じられ、素直に感動してしまった。