川北が自信溢れる走りで周りを圧倒、ファースト50クラス
ファースト50では、3コーナー手前でフィニッシュジャンプに向かうレイアウトのショートカットコースを使用。会場となったいなべモータースポーツランドは長いストレートが多いハイスピードコースですが、ショートカットコースではコーナーが増え、スピードを落とさずに走るコーナリングテクニックが求められました。そんな中、川北翔が強さを見せていきます。ヒート1とヒート2ともにスタートでトップに立つと、すぐに後方との差を拡大。その走りには、速さを裏付ける自信を感じました。スムーズなコーナリングと開けっぷりの良いアクセルワークで両ヒートともに1位を獲得。見事、総合優勝を果たし年間チャンピオン候補としての存在感を示しました。
また、今大会初参戦となったのが中川知哉。練習走行で転倒し心が折れる場面もありましたが、めげることなくレースに挑みました。しかし、ヒート1でも転倒してしまい「もう無理……」とコース脇へ。リタイヤするかと悩んでいた時、中川が大好きなマイカルチャンプがやってきて励まし、最後には一緒にゴール。ライダーたちが当たり前のように走っているコースですが、初めてレースをするとしたら怖いもの。その怖いという感情を素直に出しながらも、なんとか走りきった経験はきっと今後に生きるでしょう。
「優勝した川北選手は、アクセルの開けっぷりがさらに良くなっていました。前大会(ヒート1)で優勝したこともあってか、見ていて走りに自信がついてきたなと感じます。ミスもあったと思いますが、それでも両ヒート優勝できていて、今後さらに成長してくるんだろうなと楽しみです」
何が起こるかわからない、混戦を極めたスーパー50クラス
スーパー50クラスもショートカットコースを使用。特に、ショートカットしたことで作られた逆バンクコーナーに多くのライダーが苦戦しました。ヒート1は前大会で優勝した松井嶺央将がスタートで前に出ると、続いて熊澤蓮悟、片山太郎、森陽平が後を追います。5番手までがかなり僅差でレースが進み、一瞬たりとも隙を見せられない状況。しかし、ライダーたちはテクニカルなコースに翻弄され、各所でミスが目立つ場面も。
そんな中、3番手を走っていた片山は大きなミスをすることなく、安定感のある走りでトップに浮上。そのままトップを独走していきます。
一方、トップを走行していた松井嶺央将は逆バンクコーナーで転倒。すると後方から追ってきた松井昴頼と熊澤もその後ろに詰まってしまいます。一瞬呆気にとられた3人ですが、すぐにスタックを抜け出し追い上げていきます。結果、安定した走りを見せた片山が見事初優勝を獲得。2位には着実に順位を上げてきた森、3位には転倒から追い上げを見せた熊澤が入りました。
ヒート2では、コンディションの回復に伴い、コースの約半分を使用したミドルコースでレースが行われ、ヒート1よりもスピードが求められるレースとなりました。松井嶺央将、熊澤、齋藤稀、森という順番で1周目を通過。トップを走る松井嶺央将はスピードを乗せて後方を引き離しにかかります。しかし、熊澤も負けじと食らいつき約3秒差を保った状態でレースが進行。最後まで差が縮まることはなく、ミスなくトップを守り切った松井嶺央将が優勝を果たしました。総合結果は、1位から松井嶺央将、熊澤、森という順位。2大会連続で優勝を獲得した松井嶺央将を抑える者はいるのか、次戦のバトルにも期待が高まります。
「ヒート1で優勝した片山選手は今まで優勝経験のなかったライダーですが、アクセルの開けっぷりが良くなっていて、急成長してきたなと感じました。ショートカットコースはハイスピードというよりテクニカルなレイアウトだったので、ライン取りや相手の抜かし方を上手くこなせていたという点も勝利に繋がったのだと思います。このクラスはトップ5までのタイムがかなり拮抗していて、コーナーやジャンプで『負けたくない!』というライダーたちの気持ちが伝わってくるほど熾烈なバトルが見られてよかったです」
小磯が連勝記録を守る、リミテッド50クラス
両ヒートともに、広野康輝が勢いよくスタートを決めていきます。しかし、小磯銀士も負けじとアクセルを開けていき、ホールショットを獲得。小磯、広野、瀧本瑛介という順位でレースが進んでいきます。ヒート1はその後順位の変動はなく、小磯がトップを守り切りゴール。なんと昨シーズンの開幕戦から連勝を重ねており、卓越した速さと安定感を示しました。
続くヒート2でも小磯が独走。広野、瀧本という順で差が開いていたため、そのままの順位でレースが終わると思われました。しかし、ラストラップが近づくにつれて瀧本が広野に接近。最終周ではその差は1秒を切り、2番手争いを展開します。瀧本が仕掛け、広野が抑え……。見逃せない展開に観客も息を呑みます。結果、広野が最後まで2番手を守り切りフィニッシュ。ライン取りやスピードの乗せ方など、バトルを通して成長が見られたレースとなりました。
「小磯選手がスタートからトップを走って、やはり安定感がありますね。スピード、コーナリング、レースの組み立て方という点において、クラスの中でも群を抜いている存在だと思います。見ていると、広野選手と瀧本選手も小磯選手に引っ張られてレベルアップしていて、今後小磯選手に追いくついてくるのではと更なる成長が楽しみです」