2023年7月28日〜7月30日にチェコのアウトドローム・モストでSBK(スーパーバイク世界選手権)2023年シーズンの第8戦が行われた。シリーズも終盤戦に突入した今シーズンのSBKは、第7戦を終えた時点でアルバロ・バウティスタ(ARUBA.IT RACING)がランキング2位のトプラク・ラズガットリオグル(PATA YAMAHA PROMETEON WORLDSBK)に70ポイントという大差をつけている。しかし前戦のようなノーポイントがあればバウティスタにとって安心できないレースが続くはず。緊張感が増してきた第8戦では今季初、3メーカーが優勝を分け合うレースとなった。

最終戦アルゼンチンGPの中止が決定 代替開催はスペインのヘレスサーキット

画像: 最終戦の舞台だったアルゼンチンのサーキット・サンファン・ビリクム。

最終戦の舞台だったアルゼンチンのサーキット・サンファン・ビリクム。

7月24日、FIMは今シーズンの最終戦である第12戦アルゼンチンGPの中止を発表した。

アルゼンチンでは10月22日に大統領選挙本選が行われる予定で、その影響は大きく、そして複雑な状況を引き起こすことが予想されるという。

そんな大統領選挙との日程が近いことを考慮され、FIMや地元政府などの協議により最終戦が中止することが決まったのだ。

そして最終戦の舞台に選ばれたのはスペインのヘレスサーキット。SBKでは2年ぶりの開催となる。熱狂的なファンが集まることで有名で、中低速コーナーで構成されたテクニカルなサーキットだ。

接近戦が演じられることが予想されるため、刺激的な最終戦になることを期待したい。

画像: SBKでは2年ぶりの開催となるヘレスサーキット・アンヘル・ニエト。

SBKでは2年ぶりの開催となるヘレスサーキット・アンヘル・ニエト。

レース1はジョナサン・レイが待望の今季初優勝を挙げる!

画像: 2023年シーズンの初優勝を手にしたジョナサン・レイ。

2023年シーズンの初優勝を手にしたジョナサン・レイ。

レース1は気温20度、路面温度26度のウエットコンディションの中で行われた。土曜日のスーパーポールでは、ラズガットリオグルがポールポジションを獲得。2番手はダニロ・ペトルッチ(BARNI SPARK RACING TEAM)、3番手はレミー・ガードナー(GYTR GRT YAMAHA WORLDSBK TEAM)が続く。転倒を喫したジョナサン・レイ(KAWASAKI RACING TEAM WORLDSBK)は5番手、黄旗のタイミングによりタイム更新ができなかったバウティスタは14番手と後方からのスタートとなってしまった。

22周のレース1は4番グリッドスタートのアクセル・バッサーニ(MOTOCORSA RACING)がホールショットを奪う。レインタイヤを履いていたバサーニは後続を置き去りにするようにトップを快走する。一方、ポールポジションスタートのラズガットリオグルは大きくポジションを落としてしまう。

しかし、周回を重ねる度に路面状況は回復。5周目にはインターミディエイトを履くレイがペースアップ。路面が濡れている箇所が多かったレース序盤に速さを見せたバサーニをはじめとするレインタイヤ組がタイヤ交換のためにピットストップを敢行。

ピットに入ったバッサーニに代わり、インターミディエイトを履くレイがトップ浮上。2番手はスコット・レディング(ROKIT BMW MOTORRAD WORLDSBK TEAM)、3番手にペトルッチがつける。そしてポジションを大きく落としていたラズガットリオグルもポジションを挽回し4位につける。

10周目、ペトルッチとレディングがバトルを行なっている隙をつき、ラズガットリオグルが2位に浮上。見事な追い上げを見せたラズガットリオグルだったが、トップのレイはすでに12秒前方を走っていた。

レイはトップを座を守り見事トップチェッカー。念願の今季初優勝を挙げた。2位はラズガットリオグル、ペトルッチが3位表彰台を獲得している。

2023 スーパーバイク世界選手権 第8戦モスト レース1結果

画像: 長く苦しいトンネルを抜けたレイが今季初優勝。

長く苦しいトンネルを抜けたレイが今季初優勝。

画像1: resources.worldsbk.com
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スーパーポールはラズガットリオグル、レース2はバウティスタが制し、3メーカーが優勝を分け合う結果に

画像: レイとのバトルを制したラズガットリオグルがスーパーポールレースを制す。

レイとのバトルを制したラズガットリオグルがスーパーポールレースを制す。

日曜日の午前中に行われたスーパーポールレースは天候が曇り、気温19度、路面温度24度のドライコンディション。

10周のスプリントレースでも好スタートを決めたのはバサーニ。一方3番グリッドスタートのペトルッチはターン1のブレーキングをミスし順位を下げてしまう。続くターン2でロレンツォ・バルダッサーリ(GMT94 Yamaha)、フィリップ・エッテル(Team GoEleven)が絡み、ターン4ではアンドレア・ロカテリ(Pata Yamaha Prometeon WorldSBK)、後半セクションではシャビ・ヴィエルへ(Team HRC)が単独で転倒を喫すなど、オープニングラップから波乱の展開となる。

4周目、ラズガットリオグルが2位のレイをターン1でオーバーテイクし、トップのバサーニも同ラップのターン15でパスしトップに浮上。5周目のターン1でレイもバサーニを攻略し2位に浮上する。

14番グリッドから驚異的な追い上げを見せるバウティスタは4位までポジションを回復。そんな中ラズガットリオグルとレイのトップ争いが激化。しかしラズガットリオグルがトップの座を譲らずレースはファイナルラップへ。

3位バサーニの真後ろまでつけたバウティスタは最終手前のターン19でバサーニのインに飛び込みオーバーテイク。見事ポジションをポジションを11あげてポディウム獲得となった。

優勝はラズガットリオグル、2位にはレイが入り、各メーカーのエースライダーが表彰台を独占する結果に。ランキングトップのバウティスタに対し、2位のラズガットリオグルがポイント差を49まで詰めてきた。

画像: SBKで通算50勝目を上げたバウティスタ。

SBKで通算50勝目を上げたバウティスタ。

レース2は気温24度、路面温度31度のドライコンディションの中、22周で行われた。スーパーポールレースで3番グリッドを獲得したバウティスタがホールショットを奪う。2番手にバッサーニ、3番手にレイ、4番手にラズガットリオグルが続く。

バッサーニは積極的にバウティスタに仕掛けるも、2周目の1コーナーでオーバーラン。トップ争いから12番手に後退してしまう。

好調なバッサーニの後退により、トップ争いはドゥカティ、カワサキ、ヤマハのエースライダーたちが展開。ラズガットリオグルがレイを攻略しバウティスタを狙っていく。

3番手のレイはトップの2台についていくことができず、バウティスタとラズガットリオグルの一騎打ちとなる。ラズガットリオグルは様子見をすることなく、7周目の13コーナーでバウティスタをオーバーテイク。

緊迫したトップ争いは、武器であるストレートスピードをもってホームストレートで並びかけるが、ブレーキングを武器とするラズガットリオグルが1コーナーでトップの座を死守するという攻防が繰り返される。

バウティスタの猛攻を抑え込んでいたラズガットリオグルだったが、17周目の3コーナーでリヤが大きく流れハイサイドを喫し転倒。流れが傾きかけていた中での痛恨の転倒となってしまった。

これで労せずトップに立つことになったバウティスタは快走。2位にレイ、3番手はマイケル・リナルディ(ARUBA.IT RACING)となった。

3位に上がったリナルディだが、好調のペトルッチが背後に迫る。勢いに乗るペトルッチは残り3周の1コーナーでワークスのリナルディをパスし、3位に浮上する。

トップのバウティスタはそのままチェッカーを受け、今季18勝目。1シーズン中に挙げた優勝回数の歴代最多となる勝利数を更新した。また、バウティスタにとっても、この勝利はSBKにおける50勝目とメモリアルな優勝となった。

3位に上がったペトルッチはファイナルラップの最終コーナーの立ち上がりでレイを攻略し2位表彰台を獲得。ペトルッチにとって、SBKでのベストリザルトとなった。レイは3位でレースを終えている。

第8戦のスーパーポールレースまでランキング争いが接近していたが、バウティスタが優勝、ラズガットリオグルが転倒リタイアに終わったため、両者の差は74にまで広がっている。

2023 スーパーバイク世界選手権 第8戦モスト スーパーポールレース結果

画像: 3メーカーのエースが表彰台を分け合ったスーパーポールレース。

3メーカーのエースが表彰台を分け合ったスーパーポールレース。

画像2: resources.worldsbk.com
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2023 スーパーバイク世界選手権 第8戦モスト レース2結果

画像: ペトルッチはSBKでベストリザルトとなる2位を獲得。シーズン終盤面白い存在になるだろう。

ペトルッチはSBKでベストリザルトとなる2位を獲得。シーズン終盤面白い存在になるだろう。

画像3: resources.worldsbk.com
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レポート:河村大志

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