予報から一転、灼熱のコンディションでのスタート

夜半から雨が降り始める、という予報でスタートした鈴鹿8耐の決勝レースは、心配された雨もなく、いつものように灼熱の鈴鹿でドライコンディション・スタート。戦前の予想通り、HRCとYART、さらにヨシムラ、TSRといったチームが序盤からトップグループを形成するレースとなった。

画像: 昨年に引き続き、スタートの名手、グレッグがロケットスタート! ヨシムラは開始3周でトップに立つ

昨年に引き続き、スタートの名手、グレッグがロケットスタート! ヨシムラは開始3周でトップに立つ

午前11時半にスタートした決勝レースでは、まず#12ヨシムラSERTのグレッグ・ブラックがロケットスタートを見せ、予選5番手からホールショットを獲得。#33HRC、#7YART、#104TOHOレーシング、#1TSRらが続く。
順位の入れ替わりが激しい、この第一スティントでは、#12ヨシムラ、#7YART、#33HRCがトップに立ち、一時は#7YARTがトップを奪うものの、#33HRCが再び首位を奪還。すると、また#7YARTがトップ、また#33HRCが返り咲き、と目まぐるしい展開。
12周目には#33HRCがトップを死守し、そのまま後続を引き離しにかかる。2番手以下は#7YART→#12ヨシムラ→#104TOHOレーシング→#76オートレース宇部→#73SDGホンダレーシングと続いていく。

画像: 序盤に激しいトップ争いを演じた#7YART 無念のトラブルで世界選手権ランキングもダウンしてしまう

序盤に激しいトップ争いを演じた#7YART 無念のトラブルで世界選手権ランキングもダウンしてしまう

レース開始から30分が経過したころには、#33HRC→#7YART→#12ヨシムラの3台が4番手以下を引き離してトップ争いを展開。その後は#33HRCが、徐々に2番手の#7YARTを引き離しにかかる1時間目となった。
最初のトップチームのアクシデントは#1TSR。18周目のシケインでマイク・ディ・メリオが転倒してポジションを大きく落としてしまう。トップは#33HRCがキープ、以下#7YART、#12ヨシムラが続き、4番手の#17Astemoホンダ以下は15秒近く後方。このあたりで最初の1時間を終え、最初のライダー交代の時間を迎える。

画像: スタートは高橋、2番手が長島、そして第3走者として走ったチャビ・ビエルゲ 8耐初出場初優勝!

スタートは高橋、2番手が長島、そして第3走者として走ったチャビ・ビエルゲ 8耐初出場初優勝!

#33HRCは高橋巧から長島哲太へ。すると、昨年の大会でも快走を見せた長島がまたもスーパーラップを連発し、31周目にこのレースの最速タイムとなる2分6秒902をマーク。どんどん2番手以下との差を広げ、40周を数えるころには、2番手#7YARTとの差は30秒を超えるまでになっていた。

13時を過ぎたころには、2番手を走っていた#7YARTのマシンにトラブルが発生。メインスイッチがオフのままになってしまうというトラブルで、スプーンあたりでマシンがストップ。バックストレートからシケインにかけてマシンを約20分も押して戻り、完全に優勝争いから脱落してしまう。

かわって2番手に浮上したのは#12ヨシムラ。しかし、トップまでの差は1分以上となり、53周目に首位の#33HRCが2度目のピットストップをする頃には、ピット作業を終えてコースに戻っても、まだ#12ヨシムラにパスされない大差を築くことになる。

レースの大勢は、ほぼこの最初の2時間で決したともいえ、周回数が100周を数えるころには首位#33HRCと2番手#12ヨシムラとの差は約2分となり、#33HRCは110周を消化したころに、全車を周回遅れにするという快走を見せ続けることになる。

画像: #104TOHOレーシングは8耐チームに加入した榎戸育寛が快走! 終盤の雨でも光る速さを見せた

#104TOHOレーシングは8耐チームに加入した榎戸育寛が快走! 終盤の雨でも光る速さを見せた

レースはその後、開始5時間ごろに多重クラッシュがおこりセーフティカーが介入するアクシデントがあったものの、各チーム順調に周回を重ね、#33HRC→#12ヨシムラのポジションは変わらず、その後方で#104TOHOレーシング、#76オートレース宇部、#71桜井ホンダ、#73SDGホンダらが表彰台争いを展開。しかし、やはりこのまま終わる鈴鹿8耐ではなかった。

画像: 金曜の走行で転倒し、首を負傷した名越だったが、見事にチームをまとめ上げ、好チームワークを披露

金曜の走行で転倒し、首を負傷した名越だったが、見事にチームをまとめ上げ、好チームワークを披露

レースが残り90分となる18時ごろ、西コースから雨が降り始め、一時は雷が鳴り、瞬間的に強い雨に見舞われる。チームはスリックタイヤのままウェット路面を走り続けるか、ピットインしてレインタイヤに履き替えるかの選択を迫られる中、18時20分ごろに2番手を走っていた#12ヨシムラがピットインし、レインタイヤで勝負に出るも、なんとレインタイヤを履いての1周目で転倒! マシンのダメージは大きく、ピット作業に時間を費やすことになってしまう。

画像: レース序盤に転倒し、一時は20番手あたりまでドロップした#1TSR 8時間をかけて驚異の追い上げを見せ4位に入賞し、世界選手権レギュラーチーム最上位でフィニッシュした

レース序盤に転倒し、一時は20番手あたりまでドロップした#1TSR 8時間をかけて驚異の追い上げを見せ4位に入賞し、世界選手権レギュラーチーム最上位でフィニッシュした

画像: ダン・リンフットと津田拓也の2人で走り切った#76オートレース宇部 9回ピットで5位入賞はお見事

ダン・リンフットと津田拓也の2人で走り切った#76オートレース宇部 9回ピットで5位入賞はお見事

これで独走の#33HRCに、2番手は#104TOHOレーシング、3番手には#76オートレース宇部を終盤で逆転した#73SDGホンダが入り、この1-2-3位の順でフィニッシュ。
#33HRCは昨年に続く2連覇を達成し、ホンダが表彰台独占をはじめ、トップ10に7台が入賞する圧勝。個人成績では、長島哲太が2連勝、高橋巧が8耐通算5勝目を挙げ、宇川徹さんと並ぶ鈴鹿8耐最多優勝記録タイをマークした。
世界選手権レギュラーチームでは#1TSRホンダが最上位となり、#37BMWモトラッド、#12ヨシムラの順。世界耐久選手権は9/16-17のボルドール24時間でフィナーレを迎える。

なお昨年までSSTクラスと呼ばれていたスーパーストッククラスは、今大会ではNSTKクラスと改称され、#86NCXXレーシングwithライダースクラブがクラス優勝、昨年の大会でSSTクラス優勝を果たした#64カワサキプラザレーシングが2位、今大会唯一のアプリリアを駆る#23TeamTATARAアプリリアが3位に入った。

画像: 予報から一転、灼熱のコンディションでのスタート

写真・文責/中村浩史

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