前戦優勝のJ.マシアがポールポジション獲得
予選Q1は、雨は止んだものの路面は完全なウェットコンディション。日本人ライダーは山中琉聖(Valresa GASGAS Aspar M3)と古里太陽(Honda Team Asia)が出走する。
セッション中盤では山中がトップに立つ。しかし、ラストアタックでトップに立ったのは2分26秒187を記録したチャビエル・アルティガス(CFMOTO Racing PruestelGP)。
2分26秒598をマークした古里が2位、3位にジョエル・ケルソ(CFMOTO Racing PruestelGP)、4位に2分26秒740のフィリッポ・ファリオーリ(Red Bull KTM Tech3)が入り、上位4名がQ2進出を決めている。
山中はラストアタックでトラックリミットを取られてしまいラップキャンセルに。Q2進出が見えていただけに悔しいQ1敗退となった。
予選Q2もコンディションは変わらず、路面にはまだ多くのウェットパッチが点在。Q1トップ通過のアルティガスがセッション開始時に転倒、セッション後半では全体ベストを更新しながらトップタイム更新を目指したダニエル・オルガド(Red Bull KTM Tech3)も転倒するなど、ライダーにとって厳しいコンディションとなった。
そんな中、2分25秒072という全体ベストを記録したのはジャウメ・マシア(Leopard Racing)。2位には地元凱旋となるスコット・オグデン(Visiontrack Racing Team)、オルガドは転倒があったものの、3番手タイムを記録しており、決勝はフロントローからのスタートとなった。
佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)は最終アタックでタイムを伸ばすことができず6位、復帰戦となる鈴木竜生(Leopard Racing)は9位、鳥羽海渡(SIC58 Squadra Corse)は13位、古里はセッション終盤に転倒を喫してしまい決勝は18位からのスタートとなった。
驚異的な追い上げを見せたルーキーのD.アロンソが自身初優勝
決勝の天候は曇り、気温16度、路面温度21度という肌寒いコンディションの中で行なわれた。ウォームアップラップで2番グリッドスタートのオグデンがスタートできず、最後尾スタートに。母国GPのオグデンには試練のスタートとなった。
15周の決勝レースは、マシアがホールショットを決め、オルガド、佐々木、デニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)の4台でトップ集団が形成される。
先頭集団から抜け出すべく、ペースをあげ始めたマシアだったが、3周目の4コーナーで転倒。すぐにコースに復帰するも最後尾にまでポジションを落としてしまった。
マシアが脱落したトップ集団では多くのバトルが展開されたことにより、ペースが上がらず、20台近い大きな集団となる。
そんな中、佐々木が先頭に立ち逃げにかかる。しかし佐々木もペースが上がらず、ライバルたちを引き離すことができない。佐々木は一旦ポジションを下げ、タイヤを温存しながら周回。残り4周で佐々木が再びトップに浮上し、再度ペースを上げる。
ライバルのオルガド、予選27番グリッドから脅威の追い上げをみせたダビド・アロンソ(GASGAS Aspar Team)らとトップ争いを繰り広げる佐々木は残り2周でポジションを落とし、5番手まで後退。
しかしファイナルラップで順位を一気にあげた佐々木は、高速3連続コーナーのひとつ目、マゴッツでトップに浮上。しかしアロンソに抜き返され佐々木は最終的に2位でフィニッシュした。
ルーキーのアロンソはMoto3クラスで初優勝。26もポジションを上げての優勝とセンセーショナルな走りをみせた。3位にはランキングトップのオルガドが入っている。
日本人ライダーは鳥羽が14位、山中が15位と入賞。古里は19位、鈴木は残り3周の最終コーナーでマッテオ・ベルテッレ(Rivacold Snipers Team)と接触してしまい、復帰戦はリタイアに終わっている。
次戦は8月18日から20日に行われるオーストリアGP。全長が短く、高低差のあるレッドブル・リンク・サーキットはアクセル全開率が高いコースだ。毎年トラックリミットをとられるライダーが続出するほど、1周をまとめるのが難しいサーキットであるため、予選から決勝までミスのない走りが求められる。
チャンピオンシップ争いも激しさを増してきたMoto3クラス。毎戦目が離せないレースが続く。
2023 Moto3 第9戦 決勝結果
レポート:河村大志