文:山口銀次郎、アドベンチャーズ編集部/写真:西田 格/モデル:たはらかすみ、葉月美優
ウラル「ギアアップ」各部装備・ディテール解説
軍用サイドカー工場をルーツにもち、以降サイドカーの製作を行ってきたウラル。そんなウラルの代表的なモデルが普通自動免許で運転することができる二輪駆動のギアアップだ。今回試乗するのは、2022年モデルベースで日本に一台しかないフルカスタム&ハイグレード仕様だという。カラーリングも特別仕様な上に、サイドカーのインナーコーティング、アウターコーティングも特別カラーが施されている。また、アクセサリーのキャリアやバンパーをフル装備し、イギリスのハイグレードショックアブソーバーメーカーのナイトロン製ショックを装備する。
エンジン
軍用車の面影を残す749cc空冷フラットツインエンジン。長く熟成されてきたシンプルなメカニズムは高い信頼性と粘り強いパワー特性を備えるが、セルスターターも装備し、燃料供給もFI化されるなどの近代化もされている。ブラックにペイントされたエンジンは、ヘッドカバーのみ車体カラーに合わせアクセントを加える。
フロント足まわり
フロントフォークはテレスコピックではなく、サイドカーならではのリーディングリンクフォークが装着されている。ショックはイギリス本国仕様のナイトロン製。フロントブレーキにはブレンボ製対向4ポットキャリパーを採用し、Φ295mmのフローティングローターと組み合わせる。
リア足まわり
スチール製のフレームも、2本ショックレイアウトのリアサスペンションも古典的な構造だが、それだけに頑丈で信頼性は高い。リアショックもブラックアウト本国仕様のナイトロン製。リアブレーキはHB製シングルピストンキャリパー+Φ256mmローター。マフラーは左出しアップサイレンサー仕様。
ドライブシャフト
カー側のリアホイールハブから、サイドカー側のホイールに伸びるドライブシャフトが、ギアアップの最大の特徴である2WDシステムの証。ドライブシャフトのジョイントをオープンタイプの自在接手からクローズドタイプのCVジョイントに変更。
メーター
ヘッドライトケースに埋め込まれている160km/hスケールのアナログスピードメーター。大きなサイズとシンプルなデザインで視認性は良好だ。盤面には各種警告灯に加えて、距離計や回転計などの機能を備える多機能小型液晶パネルも埋め込まれている。
燃料タンク
シンプルなキャップやクラシカルな雰囲気のタンクパッドが目立つ、シンプルな形状の燃料タンクの容量は19L。メーカー公称で走行可能距離は約250~300kmとされている。
シート(ドライバー側)
フラット形状のエンデューロタイプのベンチートはイタリア製。分厚くクッション性が高く、長距離での使用でも安定した乗り心地を提供する。
シート(サイドカー側)
サイドカー側のシートは余裕のあるサイズ設定と上質な造りで、長時間走行も快適に過ごすことができる。
スペアホイール
サイドカーのトランクリッド上に搭載されているスペアホイール。サイドカー側はもちろんカー側の前後輪にも使用できるユニバーサル構造となっていて、トラブルへの対応性を高めている。スペアホイールの上には大型のラックを備え、大きなサイズの荷物も搭載することが可能だ。
ガソリン携行缶
サイドカーの後部左側にはキャリアを介して無骨なジェリ缶が搭載されている。ルーツが軍用サイドカーであることを感じさせるへビーデューティなディテールだ。
ウラル「ギアアップ」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 2510×1620×1380mm |
シート高 | 810mm |
最低地上高 | 173mm |
車両重量 | 331kg(乾燥) |
エンジン形式 | 空冷4ストOHV2バルブ水平対向2気筒 |
総排気量 | 749cc |
ボア×ストローク | 78×78mm |
最高出力 | 30.6kW(41HP)/5500rpm |
最大トルク | 57N・m(5.81kgf・m)/4300rpm |
燃料タンク容量 | 19L |
変速機形式 | 前進4段/後退1段 |
タイヤサイズ(前・後) | 4.00-19(3輪共通) |
ブレーキ形式(前・後) | Φ295mmディスク・Φ256mmディスク |
メーカー希望小売価格 | 306万8850円(消費税10%込) |
文:山口銀次郎、アドベンチャーズ編集部/写真:西田 格/モデル:たはらかすみ、葉月美優