2023年10月1日、MotoGP第14戦日本GPがモビリティリゾートもてぎで行われた。来場者数は昨年に比べ1万8000人も増え、盛り上がりをみせた日本GP。ランキングトップのフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)とランキング2位のホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)のポイント差は第13戦終了時でわずか「13」、ランキング首位が入れ替わる可能性もあり注目度の高いレースとなった。

勢いが止まらないマルティン!強烈な速さで8年ぶりのレコードブレイク

画像: 後半戦に入り、速さに磨きがかかったマルティン。

後半戦に入り、速さに磨きがかかったマルティン。

ライダーでは中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)、そしてマニファクチャラーではホンダとヤマハにとって母国凱旋となる日本GP。しかし、日本勢は予選でQ1から出走を強いられる厳しいスタートとなった。

予選Q1ではマルク・マルケス(Repsol Honda Team)、ファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)といったホンダ、ヤマハのエースが好タイムを記録しQ2進出圏内に入る。

しかし、セッション後半になるとラウル・フェルナンデス(CryptoDATA RNF MotoGP Team)がタイムを大きく更新し2番手に入ってみせた。

Q2進出をかけて各車ラストアタックを敢行。しかし、マルケス、フェルナンデスのタイムを越えることができずセッションは終了。Q1で4位のクアルタラロや8位の中上にとっては悔しい結果となってしまった。日本メーカーでQ2で出走することができるのはマルケス1人のみとなった。

予選Q2は開始直後のターン6でランキング3位につけるマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)がクラッシュ。幸いベッツェッキには怪我はなく、ピットに戻り、再度コースに復帰している。

大本命のマルティンはいきなり速さを見せつける。初日にホルヘ・ロレンソが持っていたレコードタイムを更新したブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)のニューレコードをあっさり更新。1分43秒198という頭ひとつ抜け出したタイムを叩き出したマルティンは2位以下にコンマ5秒以上の大差をつけた、

Q2後半にはバニャイアやジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)が自己ベストを更新するもマルティンには届かない。

セッション終了までマルティンを脅かすライダーは現れず予選Q2が終了。マルティンがレコードタイムを大幅に更新する圧巻の走りでポールポジションを獲得した。

2位にはランキング首位のバニャイア、3位には2022年の覇者ミラーがつけた。

画像: 2015年にうホルヘ・ロレンソが記録したレコードタイムを更新。

2015年にうホルヘ・ロレンソが記録したレコードタイムを更新。

スプリントマスターのビンダーを振り切りマルティンが優勝

画像: 誰も寄せ付けない走りを見せたマルティン。

誰も寄せ付けない走りを見せたマルティン。

9月30日土曜日に行われたスプリントレース。ポールポジションスタートのマルティンがホールショットを奪いトップを堅守。その後ろにはスタートに定評のあるKTMの2台、ミラーとビンダーがスタートを決め2位と3位につける。

マルティンが逃げる中、ビンダーがオープニングラップのダウンヒルストレートでミラーをオーバーテイクし2位に浮上。トップのマルティンと2位のビンダーが抜け出す形となった。

マルティンの背後につくビンダーだったが、オーバーテイクを仕掛けられる距離まで詰めることができない。前半の無理がたたったのか、マルティンとの差は徐々に拡大していった。

最終的にビンダーに対し1.5秒差のマージンを築いたマルティンが完勝。サンマリノGP以来のスプリントレースでの勝利を果たした。2位はビンダー、3位はミラーとのバトルを制したバニャイアが入っている。

第14戦日本GPのスプリントレース終了時のポイントランキングは変わらないが、マルティンはランキング首位のバニャイアとのポイント差を8にまで詰めることになった。

日本人ライダーの中上は17位と厳しいレースに。決勝での巻き返しに期待が集まった。

画像: 一度も首位の座を譲らなかったマルティンがスプリントで優勝。ライバルであるバニャイアとの間にはビンダーが食い込んだ。

一度も首位の座を譲らなかったマルティンがスプリントで優勝。ライバルであるバニャイアとの間にはビンダーが食い込んだ。

雨により決勝は予定周回数の半分で終了、マルティンが優勝しバニャイアに再接近

画像: コンディションなんて関係ない!雨でも首位を守り続けたマルティン。

コンディションなんて関係ない!雨でも首位を守り続けたマルティン。

決勝はスターティンググリッド上で難しい判断が求められた。各車ドライコンディションでのレースに備える中、フォーメーションラップ直前には雨足が強まる事態に。レースはウェット宣言され、マシンチェンジの許可が下りた。ピットでは天候悪化に備えてレインタイヤを装着したマシンの準備が整えられていた。

気温25度、路面温度28度、雨が落ちてきたため路面温度は大きく下がる難しいコンディションの中、レースはスタート。ポールポジションのマルティンがホールショットを奪う一方、後方ではアクシデント発生。ターン1でアウト側にはらんでしまったベッツェッキのあおりを受ける格好で、ヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)とマーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)が接触。ビニャーレスは転倒してしまった。

各車ドライセッティングでスタートしたものの、雨足は強まり危険な状況に。オープニングラップ終了時、各車一斉にピットインしマシンチェンジを敢行した。しかし、後方を走っていたミケーレ・ピッロ(Ducati Lenovo Team)やクアルタラロをはじめとする5台のマシンはステイアウトを選択。スリックタイヤで走るというギャンブルに出た。

しかし、クアルタラロは2周目終わりでピットへ向かいマシンを交換を決意。一方、ウェットタイヤに交換した組のトップはアレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)。2位にはマルク・マルケスがつけ、実質のトップを争っていた。

ステイアウトを選択したピッロだったが4周目に限界を迎えピットイン。これでエスパルガロがトップにたった。

マシンチェンジの際、ポジションを落としていたマルティンだったが、タイヤに熱が入るとペースアップ。ポジションをポジションをあげていき、6周目の90度コーナーでアレイシ・エスパルガロから首位の座を奪い返す。エスパルガロはペースがあがらず、のちにバニャイア、ベッツェッキ、ミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team)らにもパスされてしまう。

首位に立ったマルティンは安定したペースで走行。2位のバニャイアとの差を徐々に開いていく。その後方ではマルケスがベッツェッキをオーバーテイクし3位に浮上。マルケスはさらに2位のバニャイアを追うも雨足が強まり赤旗が掲示されレースは一時中断となった。

20分以上の中断を経て、15時50分にクイックリスタートでレースは再開。しかし、サイティングラップを終え、ウォームアップラップ走行中に再び赤旗が振られた。再開はなく、レースは成立。予定周回数の50%以上を走行したため、各ライダーにフルポイントが与えられることになった。

よってマルティンが優勝、2位バニャイア、3位マルケスの3名が表彰台を獲得。マルティンが優勝し、バニャイアが2位に入ったことにより、チャンピオンシップポイントで両者の差はわずが3ポイント差に接近。次戦インドネシアでリーダーが入れ替わる可能性が出てきた。

マルケスは2022年オーストラリアGP以来の表彰台獲得、今季初のポディウム登壇となった。中上は苦しみながらも雨を味方につけ11位でフィニッシュ。粘りの走りでポイントを獲得してみせた。

画像: 決勝レースでは今季初めての表彰台を獲得したマルケス。

決勝レースでは今季初めての表彰台を獲得したマルケス。

2023 MotoGP 第14戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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