東京モーターショーが一新され、初開催されることになった「ジャパンモビリティショー2023」。10月28日より一般公開される数多くの展示の中で、我々ライダーに未来を感じさせてくれる朝日電装の出展内容を一足先にご紹介したいと思う。
文・写真:河野正士

ジャパンモビリティショー2023・朝日電装ブース、7つのコンセプトモデル

ジャパンモビリティショー2023の一般公開は2023年10月28日から11月5日まで。そこで朝日電装ブースを100倍楽しむために、鈴木さんに各コンセプトモデルを紹介していただいた。

無線ロックシステム

スマートフォンAppでアンロック操作を行い、それをパニアケースに設置したNFC(Near Field Communication/近距離無線通信)を介して解錠指示と給電することでケースを解錠できるシステムです。

ケース側にはNFCにくわえ、施錠システムとそれを動かすモーターのみで全システムを構築しています。すでにスマートキーシステム採用の車両が普及してきたいま、このシステムを搭載すれば、ケースメーカーのサイド&トップケースを付けたときにも、その開閉に鍵を使うことがなくなります。ケース側に電源がいらないことも大きな特徴です。

またこの装置は、パニアケースの開閉を想定して研究開発をスタートさせたましたがグローブボックスやシートなど、無線で施錠/解錠できる場所であればあらゆるアイテムに活用できます。

ADデジタルキーシステム

画像: ADデジタルキーシステム

Bluetoothを使い、スマートフォンAppとメインキーシステム、そしてハンドルロック本体を接続し、スマートフォンの操作でメインキーのON/OFFや、ハンドルロックを施錠/解除ができるシステムです。

このシステムを発展させれば、現在は車体との通信用にスマートキーシステムが採用しているキータブが不要になり、それをスマートフォンに置き換えることができます。

ただスマートフォン本体を持って近づいただけでメインキーがONになったりハンドルロックが解錠されたりするとセキュリティ上のリスクが高まるため、現在はスマートフォンを振るというアクションをシステム作動のトリガーにしています。もちろん、そのアクションは追加または新規設定することも可能です。

これが実現すると、ポケットやバッグからスマートフォンを取りだしAppを操作しなくても、たとえばポケットの中のスマートフォンを振ったり叩いたりするというアクションで、ハンドルロックの施錠や解錠、またはメインキーのON/OFFが可能になります。またBluetoothの接続にアクションを加えることで、リレーアタック対策にもなります。

近年、モーターサイクルは、メインキーシリンダーとハンドルロックシステムをセットにする必要があり、さらにはイモビライザーも内蔵したそのシステムはサイズが大きいのが現状です。

しかしこの新しいADデジタルキーシステムを採用すれば、ハンドルロックシステムだけをステアリングヘッド周りに装着し、メインキーシステムやイモビライザーは車体のどこにでも装着することができ、車体のデザイン性を向上させることも可能です。

ハプティクス・スイッチ(Haptics Switch)

画像: ハプティクス・スイッチ(Haptics Switch)

こちらはハンドルが振動する装置です。展示は動画のNAVI画面と合わせて提案しています。二輪用ナビゲーションシステムが広く普及していますが、二輪車はNAVI画面の配置場所が限られ、走行中に画面を見ながらライディングすることが難しいです。

そこでNAVIと連動し、次の右折や左折に合わせて、曲がる方向のハンドルを振動させることで、転回ポイントを知らせることができるほか、振動の回数やパターンを変更することで、転回点までの距離など異なる情報も知らせることができます。

このハンドルの振動は警告システムとして活用可能で、たとえばミリ波レーダーなどを利用した後方視界検知システム/BSD(ビハインド・スポット・ディテクティブ)では、ミラーの中やミラーの支柱に警告灯を出すことで、後方に近づく/後方に存在する車両の存在を知らせています。

しかし、このハプティクス・スイッチを活用すれば、ハンドルを振動させることで、前方視界を確保したままでも、後方から近づく車両の存在を知らせることや、後方車両の存在に気づかずウインカーを出したときにハンドルを振動させてその存在を知らせることができます。

現在はハンドルに2つのモーターをセットし複数の振動パターンを演出していますが、振動パターンを制限すればモーター1つでもシステムを稼働させられます。

ICE搭載車両の場合は、そのエンジンとの振動パターンを検証する必要があるが、動力源が振動を発生しない二輪車EVの場合は、より効果を実感できるはずです。

グリップスイッチ

画像1: グリップスイッチ

携帯電話はスマートフォンの登場で、その操作はとてもシンプルになりました。そのような時代に、バイクのスイッチ類もシンプルにできるのではないか、という考えのもとに、新しい提案としてこのハプティクス機能を採用した新しいハンドルグリップの開発に着手しました。

スイッチ類はグリップと一体化させました。新しいスイッチ類は、いままでよりも少ないストローク量で操作を完了できますが、操作感を高めるためにハンドル内にモーターを配置し、操作と連動した振動を加えています。

スイッチ操作は、その反応がとても重要です。現在もスイッチやボタンのストローク量やクリック感は、モデルごとに異なり、造り込んでいます。この新しいスイッチには、いままでと違う、でも確実なレスポンスを、モーターを使った振動で造り上げています。

画像2: グリップスイッチ

アクセル操作は親指レバーとしました。グリップ本体にスイッチ類を配置するため、そして、なによりツイストグリップが本当に的確な操作ができる方法なのかを再定義してみたいと考えました。

これらは二輪車EVに装着することを前提に開発しましたので、右グリップにある「A」はアクセル/前進、「R」はリバース/後進としました。

それらのボタンは、親指でアクセル操作をすると、手の平で隠れてしまう位置にありますが、走行中は操作しないことを前提としているのでこの位置でも問題ありません。またアクセルを操作している最中は誤作動しないような設定とし、安全性も考慮しています。

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