ランキングトップのマシアが圧倒的な速さでポールポジションを獲得
予選Q1に出走する日本人ライダーは鳥羽海渡(SIC58 Squadra Corse)、古里太陽(Honda Team Asia)の2名。佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)と山中琉聖(Gaviota GASGAS Aspar Team)はフリー走行のコンバインドタイムでQ2進出を果たしている。
Q1では前戦初の表彰台を獲得した古里が上位につける走りを披露。しかし、ライバル勢もタイムを更新し、古里はQ1を6番手で終え、Q2進出を逃してしまった。
同じく鳥羽もQ1で苦戦。タイムを詰めることができず11番手でQ1敗退となった。
ポールポジションがかかるQ2ではランキングトップのマシアが躍動。ライバル勢に大きな差をつけトップタイムをマークする。セッション後半になってもマシアのタイムを上回るライダーは現れず、レコードタイムを樹立したマシアがポールポジションを獲得した。
2番手に佐々木のチームメイトであるコリン・ベイヤー(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)、3番手にはマッテオ・ベルテッレ(Rivacold Snipers Team)が入った。
マシアに先行を許した佐々木は5番手で予選を終了。ギアのセッティングミスにより最高速が伸びないというアクシデントの中、優勝を狙える位置で予選を終えることができた。これを踏まえ決勝ではマシアとのバトルになることが予想された。
ベイヤーがMoto3クラス初優勝! 佐々木は2位、マシアが3位に入りポイント差は「13」に
気温32度、路面温度47度という亜熱帯気候ならではの過酷な環境の中、決勝レースは15周で行われた。スタートでは2番グリッドスタートのベイヤーがトップを奪うも、マシアが首位の座を取り返し佐々木は3番手でオープニングラップを終える。
決勝に向けて「マシアにプレッシャーをかけていく」ことを意識していた佐々木は、2周目にベイヤーを、そして3周目にはマシアに追いつき、トップの座を奪いにいく。
5周目のターン4で多重クラッシュが発生。今季最多の優勝回数を誇るダビド・アロンソ(Gaviota GASGAS Aspar Team)がハイサイドを喫し転倒。直後を走っていたディエゴ・モレイラ(MT Helmets MSI)やダニエル・オルガド(Red Bull KTM Tech3)、古里など複数台が巻き込まれる事態となった。
チャンピオンの可能性を残していたアロンソとオルガドにとっては痛恨の転倒。これにより実質的なタイトル争いはマシアと佐々木に絞られることになった。
トップ集団は佐々木を筆頭にベイヤー、マシア、デニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)、ベルテッレの5名で形成。特に佐々木、ベイヤー、マシアの3台は順位を入れ替えながら周回を重ねていく。
5台によるトップ争いに動きがあったのは残り3周。最終コーナーで先頭集団に追いついたホセ・アントニオ・ルエダ(Red Bull KTM Ajo)がマシンのコントロールを失い、チームメイトのオンジュを巻き込み転倒。ベルテッレも減速を強いられた為、優勝争いは佐々木、ベイヤー、そしてマシアの3名に絞られた。
ベイヤー、佐々木、マシアの順で最終コーナーに飛び込むも順位は変わらず。ベイヤーがMoto3クラス初優勝を挙げた。またしても優勝とはならなかった佐々木だったが、ライバルのマシアの前でチェッカーを受けることに成功。これによりポイント差はわずかに縮まり残り2戦で両者のポイント差は13となった。
その他日本人ライダーは山中が10位入賞、鳥羽は大幅に順位を上げるも残り4周のターン14で転倒を喫し、リタイアに終わっている。
第18戦終了時のポイントランキングはマシア264、佐々木233、アロンソとオルガドが205で続いている。Moto3では優勝すれば25ポイントが付与されるため、数字上はアロンソとオルガドにも可能性が残されているが、ライバルの結果次第になってしまうため可能性は低い。
佐々木にとって次戦カタールGPが正念場となる。最終戦前に25ポイント以上に差が広がってしまえばその時点でチャンピオンの称号はマシアの手に渡るからだ。最終戦での逆転チャンピオンというシナリオを実現するには、今回以上にマシアとのポイント差を詰める必要がある。今回初優勝を飾った佐々木のチームメイトであるベイヤーの存在がチャンピオンシップ争いを大きく左右するかもしれない。