文:太田安治、平嶋夏海、Ruriko/写真:南 孝幸
ワイルドウイング「ライディング用厚底ブーツ」特徴
ヒールだけではなく、つま先側も厚い「ハイソール」デザイン
オートバイの扱いに不慣れなビギナーや小柄なライダーにとって足つき性は切実な問題。いわゆる「立ちゴケ」の多くは足つきが不充分なことで起きる。日本人男性の平均身長は20歳〜30歳で約172cm(2018年厚生労働省調査)だが、立ちゴケの不安に怯えながら乗っている、あるいは乗りたいバイクを諦めるしかない、という人はかなり多いだろう。
そうしたライダーの支持を集めているのが厚底のライディングブーツ。
正直なところ、初めて現物を見たときは「マトモに乗れるのか?」と思った。しかしワイルドウイングの厚底ブーツを開発した社長の藤林氏は、全日本選手権でメーカー系チームのライダーも努めたライダーだけに操作性に対する拘りは人一倍強い。「厚底であってもペダル操作がしっかりできること」をテーマに、様々な車種と状況で走り込みながらソールの厚みとヒール形状をミリ単位で調整したという。
その結果は実際に厚底ブーツを愛用しているバイク女子2人が正直に語ってくれた、以下のインプレから伝わるはず。僕が見た目から想像していた操作性と、彼女たちが体感している操作性の乖離は思いのほか大きかった。
革やステッチ、シューレースの色までオーダー可能
ワイルドウイングのライディングブーツはショートタイプとロングタイプ各3種類の基本デザインがあり、これにサイズとソールの厚みを組み合わせてユーザーに合った一足を選ぶシステム。さらにカラーオーダーも可能で、ベース部分の革色、縫い目のステッチ、シューレース(紐)の色も個別にチョイスできる。
今回、平嶋夏海さんがオーダーしたのは、基本デザインが「スワロー」で、ソールは50mmの超厚底タイプ。ブラックのベースカラーにクレイジーブラウンのセカンドカラー、ステッチとシューレースはホワイトをチョイス。
以上の内容で価格は4万4440円、納期は約2カ月だ。ほかに暑い時期の蒸れを防ぐパンチングレザー加工もオーダーでき、「足元からライダーをサポート」してくれる。
楽天やヤフーの公式ショップでも購入できるが、初めて厚底ブーツを買うなら東京都台東区にあるワイルドウイング実店舗で藤林社長のアドバイスを聞き、フィット感とペダル操作性、歩きやすさの確認を薦める。
シート高800mmのGB350で足つきを比較。フラットソールだとつま先が僅かに接地する程度だが、超厚底仕様は指の付け根部分まで接地し、跨がったまま車体を前後に移動できた。
超厚底タイプになるほどペダル操作時に足首を曲げる量が増える。どんなオートバイでもペダル位置は調整できるので、操作感を確かめながら下げる方向に調整するといいだろう。
平嶋夏海(身長154cm)のレビュー
ツーリングや大型車の試乗では50mmソールの超厚底タイプを履くことが多いです。足が5cm伸びれば身長が10cmくらい高い人と同じくらいになるので車体の引き起こしが楽だし、停車するときの不安も格段に減ります。ツーリング先の駐車場は砂利や傾斜のある場所が多くて、厚底じゃなければバイクを倒していたな、と思ったことが何度もあります。
よく聞かれるペダル操作ですが、土踏まずがえぐれているのでシフトアップは問題なく、シフトダウンもすぐに慣れます。ただ、ブレーキペダルを踏む時間が長いと足首が疲れるし、足裏の感覚も鈍いので、エンジンブレーキを多く使います。つま先とカカト高さの差が少ないので歩きにくさもないですね。足つきが良くなることに比べれば、ブレーキの踏みにくさ程度は何ともないです!
Ruriko(身長161cm)のレビュー
ワイルドウイングのブーツは日本で一番履いている自信があります(笑)! つま先の厚さがバイクに跨って車体を起こす時の踏ん張りに大きく影響するので、乗るバイクによって13mm、25mm、35mm、50mmの4種類を使い分けていますが、ハヤブサに乗るときはもっぱら35mmですね。
デメリットは厚くなるほど地面やステップ、ペダル操作の感覚が薄くなることです。ペダルの上にずっとつま先を載せていると足が上を向いて脛がピンと張ってしまうので、ツーリング中はつま先をステップに載せ、ペダル操作のときは足を前にずらしてペタルの上に戻します。この方法でこれまで乗ったバイクの操作に不自由を感じたことはありませんが、50mmタイプを履くときや、ライディングポジションによってはペダルの高さ調整も有効だと思います。
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海