なかでも「空冷式ジーンズ」は、その名を多くのライダーに浸透させた看板アイテムだ。一般的なジーンズとは比較にならない涼しさでヒットしたこのパンツは、2024年型でさらに大きく進化した!
この記事では2024年モデルの特徴と、そもそも「空冷式ジーンズ」とはいったい何なのか、ということについてお伝えしたい。
文:西野鉄兵
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ジーンズ開発歴23年のプロがつくったライダーのための「空冷式ジーンズ」
BMCの「空冷式ジーンズ」は2022年に初めて発売された。キャッチーな名称とともに話題となったが、ブランドは超本格派だ。代表取締役のローリー青野氏は、デニムデザイナーとして23年間のキャリアを積んだその道のプロフェッショナル。国内大手メーカーのエドウインでも長年に渡って開発や企画に携わってきた。
BMCブランド自体は青野氏が2016年に立ち上げたのだが、ライダーへ向けた製品の展開は2020年から開始。その理由は、青野氏がその時期からバイクに乗り出したからである。
もともと一般アパレルや作業服の世界で名を馳せてきたBMCが、社長の趣味をきっかけにバイクアパレル業界に参入することとなった。これまでにデニム製品をはじめ、ネルシャツやツナギ、バッグなどさまざまなライダー向け製品を発表。クラウドファンディングサービスを活用しながら青野氏自身が欲しいものをつくってきたという。
そんなBMCが手掛けるジーンズの大きな魅力は、シルエットの美しさだ。かっこよさ、おしゃれさ、が第一のファッション業界で戦ってきた青野氏がつくるジーンズは、既存のバイク用品メーカーの製品とは出発点が異なる。細身で上品なシルエットは、一見バイク用とは思えない。
しかし、おしゃれなだけではない。青野氏自身がバイクにのめり込む中で、バイクに乗りやすいカタチと機能を突き詰めていった。
空冷式ジーンズをはじめとする、BMCのバイク用ジーンズは、ライディングポジションを取りやすいよう立体構造を採用。生地にはストレッチデニムを使用している。これらのおかげで動きやすく、疲れにくい。
またヒップポケットは深めにし、左太もも部分にはスマホ用ポケットを配備。膝には着脱できるプロテクターが標準装備されている。
プロテクターを外せば普段穿きが可能。このジーンズは、ユーザーのバイクに乗る頻度を問わない。バイクに乗る日が多い人も、たまにしか乗らないという人も、誰もがおしゃれに穿けるのだ。自転車に乗るときも脚を軽快に動かせる。
涼しさの秘密|「空冷式ジーンズ」は2024年型で「フィン付き空冷式ジーンズ」に進化した
夏場のジーンズでの乗車はつらい。一度でも夏にツーリングをしたことがあるライダーなら誰でも知っているはず。不快な蒸れは、やがて水滴になり、お尻や太ももの裏、膝裏などが濡れてしまったという人も少なくないだろう。
「空冷式ジーンズ」は、簡単に説明するとデニム生地のメッシュパンツだ。部分的に風を取り込んでいるのではなく、生地全体が高い通気性を持つ。
この画期的な生地を開発し、2022年・2023年に国内で計2000本を販売する大ヒット製品となった。
そして2024年型は「フィン付き空冷式ジーンズ」へと進化を遂げた。
生地の横糸の構造を変えることで、肌の接触面を少なくしたという。その形状が空冷エンジンのフィンのようであることから、その名が付けられた。
接触面が少なくなれば、蒸れづらくなり、取り込んだ走行風の抜けもよくなる。
それは通気性試験の結果にも現れている。一般的なデニムと比較し、約2倍の通気度を発揮。涼しいと評判だった2023年型の空冷式ジーンズと比較しても約1.5倍の通気度を誇る。目の粗さにもよるが、ナイロンメッシュのライディングパンツの通気性に迫るほどとのことだ。
ちなみにこの生地は、日本製。広島県にある国産デニムの老舗・カイハラで造られたもの。ジーンズに詳しい方ならその名を聞いたことがあるであろう。
生地の構造を変えることで、別のメリットも発生した。空冷式ジーンズはもともと涼しさとともに軽さや速乾性の高さも魅力だったが、「フィン付き空冷式ジーンズ」はさらに軽く、速乾性も高くなった。一般的なジーンズよりも25%ほど軽く仕上がったという。その分、洗濯後の乾きも早い。
生地全体がストレッチメッシュデニムでありつつ、膝まわりにはベンチレーションホールも設けられている。この穴の位置も前作からミリ単位で調整し、よりいっそう爽快感を増したそうだ。
装備される膝のプロテクターもメッシュ仕様。着脱式で、お手持ちのプロテクターと入れ替えることもできる。
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BMC「フィン付き空冷式ジーンズ」は現在ブルーリンスとブルーユーズドの2色
「フィン付き空冷式ジーンズ」はバイク用品店などの店頭に並ぶ前に、クラウドファンディングサービスのCAMPFIREで先行販売された。2月29日にプロジェクトは終了したが、その後ウェブショップ「BMC BLUE MONSTER SHOP STORES店」で販売されている。
カラーは「ブルーリンス」と「ブルーユーズド」の2色を用意。ブルーリンスは濃いインディゴが美しいワンウォッシュ。ブルーユーズドは、デニムの醍醐味である経年変化をはじめから楽しめる加工がナチュラルに施されている。
価格は「ブルーリンス」が税込1万5480円、「ブルーユーズド」が税込1万7480円。のちに市場に出まわる定価より安く設定されている。
サイズは、S(28inch/71cm)、M(30inch/77cm)、L(32inch/83cm)、LL(XL)(34inch/89cm)、3L(36inch/95cm)、4L(38inch/101cm)、5L(40inch/107cm)の7サイズ展開で、股下はいずれも80cm。生地は日本製で縫製は中国で行なわれる。発送開始時期は、ちょうどこのパンツを穿きたくなる2024年5月上旬から中旬の予定だ。
まとめ|猛暑対策にはもちろん、普段穿きなら春・秋にもいい
世の中の“定番”と呼べるものは、必ず“流行り”を経る。パソコンもスマホもタブレットもそう。バイク用品でいえば、Bluetoothインカムやスマホホルダー、ヘルメットのインナーサンバイザー、トップケースや、チューブ型のネックウォーマーだってそうだろう。
ライダーにとってジーンズは大昔から定番品だが、一歩踏み込んだBMCの「空冷式ジーンズ」シリーズは、夏場に特化したパンツだ。2024年は“流行り”から“定番”に変わる年になる気がする。
夏にジーンズで快適な街乗りやツーリングを楽しみたい方には、もちろんおすすめ。「どうせなら普段から穿けるおしゃれなジーンズがいい」という人には、もっと強く推したい。近年の尋常ではない夏の暑さは、きっと今年も、これからもやってくる。
青野氏は「冬場は穿くべきではない」と訴えているが、普段穿きなら、春から秋まで長く活用できるという。
もっと詳しく「フィン付き空冷式ジーンズ」について知りたい方は、青野氏みずからが解説しているYouTube動画をご覧いただきたい。
文:西野鉄兵
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