GASGASとして最高峰クラス初の表彰台、そして初優勝を狙う
KTM傘下のオートバイメーカーGASGASと名門チームのTech3がタッグを組み誕生したGASGAS FACTORY RACING。最高峰クラス2年目を迎える今シーズンはさらなる高みを目指す。
発表されたカラーリングは2023年のカラーリングを踏襲し赤が採用されている。変更された主な点は、エナジードリンクメーカーのレッドブルのロゴが追加されていることだ。
これまで長らくホンダのワークスチームであるRepsol Honda Teamのタイトルスポンサーだったレッドブル。しかし、マルク・マルケスの離脱もありホンダとのパートナーシップを解消することが決まっていた。今回の発表で明らかになったレッドブルとGASGAS FACTORY RACINGのパートナーシップ。タイトルスポンサーに就任したことで、マシンのフロントとサイドにレッドブルのロゴがペイントされている。
また、2023年までELFのエンジンオイルを使用していたが、2024年はELFからMOTULにスイッチ。マシンも24年型のRC16で戦うことが決まっており、2年目の躍進に向けて体制強化が図られている。
赤のカラーリングは変わらないが、レッドブルのロゴが加わり引き締まった印象に。
A.フェルナンデスと大物ルーキーP.アコスタの若手2名によるラインナップに
26歳のフェルナンデスと19歳のアコスタという若いラインナップで2024年シーズンに挑む。
ライダーラインナップはMotoGPクラス、そしてGASGAS FACTORY RACINGで2年目となるアウグスト・フェルナンデスが継続参戦。
そして2023年のMoto2クラスで圧倒的な強さでチャンピオンに輝いたペドロ・アコスタが新加入し、若手2名で2024年シーズンを戦うことになった。
2023年はエースのポル・エスパルガロが開幕戦ポルトガルGPの初日に転倒し負傷。肺挫傷に加え、脊椎と顎の骨折という大怪我を負うなど長期離脱を強いられることになった。
さらなる飛躍を目指すMotoGP2年目のアウグスト・フェルナンデス。
ただひとりのルーキーとしてMotoGPクラス初年度を迎えたフェルナンデスだったが、デビューイヤーにも関わらず、チームメイト抜きで戦うことになる。そんな中、フェルナンデスは随所で光る速さを見せ、第5戦フランスGPでは自己最高位となる4位でフィニッシュ。ルーキーにしてチームを引っ張り続けた。
表彰台や優勝がないものの、新チーム、最高峰クラス初年度、エースの不在など厳しい環境の中だったことを踏まえると、フェルナンデスの初年度の成績は関係者も納得のいく内容だったのではないだろうか。
そして2024年、GASGAS FACTORY RACINGのライダーとして、そしてルーキーとしてMotoGPクラスに参戦するのがアコスタである。
アコスタは2020年にレッドブル・ルーキーズ・カップでチャンピオンを獲得し、翌年2021年に世界選手権に参戦。初年度でチャンピオンに輝く離れ業をやってのけ、新しい才能の出現に世界中が沸いた。
僅か1年でMoto3クラスを卒業したアコスタは翌年Moto2クラスにステップアップ。Moto2初年度はマシンの乗り換えに苦労し、転倒も目立つようになった。それでも第8戦イタリアGPでの同クラス初優勝を含む3勝を挙げたアコスタはMoto2初年度をランキング5位で終えた。
MotoGPクラスに昇格したペドロ・アコスタ。
Moto2クラス2年目となる2023年はアコスタの独壇場に。シーズン序盤はトニー・アルボリーノとの熾烈なチャンピオン争いを繰り広げ、中盤から後半にかけてアコスタが一気に抜け出し第18戦マレーシアGPでチャンピオンを決めた。
アコスタの最高峰クラス参戦が決まったことで、2023年のレギュラーライダーであったエスパルガロがテストライダーに就任。エスパルガロは2024年までの契約を結んでいたものの、世界選手権に参戦して僅か3年で2度も世界王者となった逸材の流失を恐れたKTM陣営が決断し、このような動きとなった。
2人の若手ライダーに、新型マシン、経験豊富なベテランによるマシン開発と今シーズン注目のチームであるRed Bull GASGAS Tech3。2024年はGASGASとして初の最高峰クラスでの表彰台、そして優勝する記念すべき瞬間が見られるかもしれない。Moto2チャンピオンコンビに注目だ。
レポート：河村大志
