スーツのオーダーメイドのように、ヘルメットも製品・店舗によってはその人の頭の形に合わせた「フィッティング・サービス」が行なえる。この記事では、フィッティングを受けるメリットや、具体的に何をするのかなどについてお伝えしよう。アライヘルメットのテクニカルプロショップであるナップス新横浜店に伺った。
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海/取材協力:ナップス新横浜店、アライヘルメット

アライヘルメットの「フィッティング・サービス」の内容とメリット

画像: アライヘルメットの「フィッティング・サービス」の内容とメリット

「頭の外周サイズ」だけではフィッティングは決まらない!

どんなに高価なヘルメットでも、ライダーの頭に合ったサイズを被らなければ本来の保護性能と快適性を発揮しない。そしてサイズが適正かどうかを判断するのは多分に本人の感覚。2サイズほどを試着して「こんなものだろう」で片付けるライダーが多いはずだ。

ヘルメットのサイズは額から後頭部にかけての周囲長を基準にしているが、頭の形には縦長/横長があり、顔の幅/形も千差万別。より高いフィット性を求めるならイージーオーダーのスーツを作るときのように、プロの経験と技術で各部を調整することが必要。

採寸から調整まで、手軽に確実に行ってくれるのが、アライヘルメット認定プロショップによる『フィッティングサービス』だ。

フィット感、着脱のスムーズさが大幅にアップする

フィッティングは最初に頭の外周、幅、長さを採寸し、まずは外周に合わせてヘルメットのサイズを選択。これがいわゆる「吊し」の状態だ。そして実際のフィット性を大きく左右するのが額から側頭部、後頭部までに接するシステム内装。採寸した値と対応表の数値を照らし合わせ、規定から外れていたら厚みの異なるシステム内装に変更する。

モデルの平嶋夏海さん私物のアストロGXは55-56サイズだが、「長時間被っているとオデコが痛くなる」とのこと。計測すると頭の周長と幅は標準的ながら前後にやや長いため、標準より5mm薄い内装に交換するか、ヘルメット自体を57-58サイズにしたほうがいいという結果に。今回はマイナス5mmのシステム内装に交換し、全体に薄くなったことで隙間が空く部分には調整モルト(ウレタンフォーム)を追加。逆に頬から顎部分に接するシステムパッド(チークパッド)は当たりが強めだったため、標準で着いている薄いウレタンフォームを一枚剥がして均一なフィット性とした。

調整したヘルメットを被った平嶋さんは、「頭の上の方がフワッと包まれる感じになって、被り脱ぎもすっごくスムーズになりました!」と大満足だった。

画像: アストロGXの55-56サイズは標準で厚さ7mmのシステム内装が装着されている。平嶋さんの場合は厚さ5mmの内装に交換して額まわりの窮屈さを解消したが、逆に「少し緩くてグラつきが大きい」と感じる人には厚さ10mmと12mmの調整用パッドで対応。必要があれば、さらに部分的な調整を加えていく。

アストロGXの55-56サイズは標準で厚さ7mmのシステム内装が装着されている。平嶋さんの場合は厚さ5mmの内装に交換して額まわりの窮屈さを解消したが、逆に「少し緩くてグラつきが大きい」と感じる人には厚さ10mmと12mmの調整用パッドで対応。必要があれば、さらに部分的な調整を加えていく。

画像: プロショップには一般に市販されていない調整用のシステム内装、部位別のウレタンスポンジパッドなどが豊富に用意されている。

プロショップには一般に市販されていない調整用のシステム内装、部位別のウレタンスポンジパッドなどが豊富に用意されている。

画像: システム内装の交換だけでは不充分な場合はパッドを追加したり、厚さを増減させて微調整。プロの経験と技術が活きる作業だ。

システム内装の交換だけでは不充分な場合はパッドを追加したり、厚さを増減させて微調整。プロの経験と技術が活きる作業だ。

画像: アライヘルメットはMotoGPなどのライダーにも特別な帽体や内装は使わず、プロショップと同じ手法でフィッティングさせている。

アライヘルメットはMotoGPなどのライダーにも特別な帽体や内装は使わず、プロショップと同じ手法でフィッティングさせている。

画像: 部位ごとに用意されているウレタンスポンジを削いだり貼り重ねたりすることで、頭全体を包み込みような被り心地が得られる。

部位ごとに用意されているウレタンスポンジを削いだり貼り重ねたりすることで、頭全体を包み込みような被り心地が得られる。

画像: 被った状態でグラつきや隙間、アタリの程度をチェック。平嶋さんのアストロGXはツーリング用なので、若干緩めに仕上げた。

被った状態でグラつきや隙間、アタリの程度をチェック。平嶋さんのアストロGXはツーリング用なので、若干緩めに仕上げた。

画像: 右はノーマル状態、左は加工後の内装。調整用の−5mmシステム内装に交換したことで前後のフィット性が上がったが、頭頂部と側頭部に少し隙間が空いた。これを補正するため、部位別スポンジを最適な厚さに削ってから内装に追加。このキメ細かな調整作業はプロショップならではの技術だ。

右はノーマル状態、左は加工後の内装。調整用の−5mmシステム内装に交換したことで前後のフィット性が上がったが、頭頂部と側頭部に少し隙間が空いた。これを補正するため、部位別スポンジを最適な厚さに削ってから内装に追加。このキメ細かな調整作業はプロショップならではの技術だ。

画像: システムパッド(頬からアゴまでに接するチークパッド)は、平嶋さんの「インカムでの会話で楽に喋れるように」というリクエストにより、標準装着のスポンジを一枚剥がしてやや緩めにした。逆にスポーツ走行用にしっかりしたフィット性にすることもできる。

システムパッド(頬からアゴまでに接するチークパッド)は、平嶋さんの「インカムでの会話で楽に喋れるように」というリクエストにより、標準装着のスポンジを一枚剥がしてやや緩めにした。逆にスポーツ走行用にしっかりしたフィット性にすることもできる。

画像: 頭を前後左右に振ってブレをチェック。微調整により、快適性とホールド性のバランスが取れた仕上がりになった。

頭を前後左右に振ってブレをチェック。微調整により、快適性とホールド性のバランスが取れた仕上がりになった。

今回訪れたお店はこちら

ナップス 新横浜店

画像2: ヘルメットの被り心地は「フィッティング」で劇的に変わる! アライヘルメット“テクニカルプロショップ”取材レポート

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TEL:045-642-8917
[営業時間]平日:10:30〜20:00、土日祝:10:00〜20:00
[定休日]無休(年末年始・臨時休業日を除く)
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文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海/取材協力:ナップス新横浜店、アライヘルメット

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