これまで巡った神社の数は1万数千社を超えるという神社ソムリエの佐々木優太が、バイク好きのゲストにぴったりの神社へとご案内しているこの連載。WGP125ccクラスの元世界チャンピオンにして、現役のオートレーサーであり、一般社団法人『SSP』代表として社会貢献活動にも取り組む青木治親選手の登場です!
まとめ:齋藤ハルコ/写真:森 浩輔
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2024年3月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

青木治親さん×佐々木優太 開運ツーリングトーク

画像: 「日本中にSSP支部を作ることと世界に活動を広げることが夢」(青木治親) 「もっとたくさんのSSP賛同者をどんどん増やしていきましょ!」(佐々木優太)

「日本中にSSP支部を作ることと世界に活動を広げることが夢」(青木治親)
「もっとたくさんのSSP賛同者をどんどん増やしていきましょ!」(佐々木優太)

障がい者も健常者も一緒にただオートバイを楽しみたい

佐々木優太(以下佐々木) 今日治親さんをお連れした安房神社は、事前アンケートの回答をいただいた時、すぐに思い浮かんだ神社だったんです。

青木治親(以下治親) 安房神社がお祀りする神様がやってきたことと、僕がずっと現役ライダーとして、場所は変わってもキャリアを積み重ねてきた姿と重ね合わせてくれたことに、まず「あ、すごいな」と感動して。神社は昔から興味あったけど、やっぱり自分が知らない領域だし、知る機会もなかったから、あらためていろいろ聞けたのは本当に良かったです。ただ初めて聞く単語が多過ぎて、理解はできても覚えきれないし、自分の中で整理するのが全然追いつかなかったけど(笑)。

佐々木 よく言われるんですよ。神社ソムリエした相手に、最後は「もうお腹いっぱいです」って(笑)。でもそれこそ治親さんのライダー人生もお腹いっぱいと言いますか、一冊の本になるくらい濃密じゃないですか。なんたって世界王者を2連覇ですから。しかも治親さんは、地方選手権からいきなり世界選手権に行ったわけですよね。

治親 俺ね、すごい恵まれてるの。たぶん運も持ってると勝手に思ってるんだけど。子どもの頃からレースやってて、その勢いで世界選手権でレースしてた感じで、それこそ秋ヶ瀬サーキットで一緒に走ってたメンバーがそのまま世界選手権に上がっていった時代だし、125、250、500と各クラス合わせたら、20人も30人も日本人ライダーがいたからさ。そういう日本人同士の戦いをずっとしてきた中でね、なんか未来を考えちゃったんだよ。

佐々木 それは突然だったんですか?

治親 うちらの時代って30歳ぐらいでみんなレース辞めて、その後は実家の家業を手伝ったり、オートバイに全然関係ない職業についたりしてたのね。で、俺は24歳くらいの時に「あと4、5年でどうなるのかな」って急に考え出して。当時まだ世界選手権を走れる状態だったけど、40代、50代になった時に自分が何をできるかなって考えた時に、オートレースの道もあるぞと。自分の培ってきたものを活かせる職業だと思ったから、受かるかわかんないけど募集試験を受けることにしたの。それで世間を騒がせながら(笑)、無事に受かって今に繋がったわけだけど。

佐々木 きっとまだまだ世界で走ると思ってた人が、大半でしたよね。

治親 そうね。だから誰にも相談しなかったんですよ。うちの親父にも言わなくて、阿部光雄さん(元オートレース選手。故・阿部典史選手の父)だけに相談したのと、あとはうちの嫁さんと話し合って決めましたね。

画像1: 青木治親さん×佐々木優太 開運ツーリングトーク

佐々木 そうだったんですね。今年はオートレーサー生活20周年ですが、当然、まだまだ現役生活は続行予定ですよね。同時に、今いちばん熱心に取り組み、願っていることが2020年に始まった『サイドスタンドプロジェクト(SSP)』の成功と継続であると。

治親 そうですね。このプロジェクトって、ぶっちゃけ「拓磨にまたバイクに乗ってもらいたい」ってとこから始まってて。でも世界中を探しても、こういう活動をしてる団体ってうちらしかいないんですよ。で、俺はいつまでも拓磨と一緒に走りたいし、オートバイという楽しみを他の障がいを持つ人達にも同じように届けたい。今までのオートバイ業界は、そんなの無理だって考えが当たり前だったけど、それって健常者の思い込みなんだよね。みんなが協力して手を貸してあげれば、一緒にオートバイを楽しめるんですよ。

佐々木 日本のバイクメーカーにもSSPの活動に賛同して欲しいですね。

治親 たとえば障がい者も公道を走れるようにしたいとなると、それは国が法規制を変えたり、メーカーが倒れないオートバイを作ることが必要になってくるんだけどね。うちらはただ純粋に、サーキットとか安全な場で、みんなでオートバイを楽しむことをやりたい。だからSSP仕様車も車種を限定したくないし、いろんなバイクに取り付けられるようオリジナルステーを作ったりして頑張ってるんです。障がい者の方も好きなバイクを選んで乗って欲しいし、一緒に楽しみたいから。

佐々木 これまで何人くらいの方がSSPの走行会に参加されたんですか?

画像2: 青木治親さん×佐々木優太 開運ツーリングトーク

治親 これまで延べ170人くらいの障がい者の方が乗ってて、今は約50人の新規の方が参加を待っている状況です。最近は視覚障がい者の人の申し込みが多いんですよ。皆さん自分がバイク操作ができるなんて考えてなかった方ばかりだから、乗ると「風が気持ちいい」「最高だね」って言うんです。

佐々木 うわー。想像するだけで何か胸にこみあげるものがあります。それだけ待ってる方がいるなら、SSPの活動は絶対続けていきたいですよね。

治親 俺の夢としては全国に支部を作って、どこに住む人でも走れる状態にしていきたいし、オートバイは世界中に流通してる乗り物だから、やっぱり世界中の障がいを持つ人に夢を叶えてもらいたいって願望もあって。でもそのためには、安定的な資金収入がないと続けていけないんです。だから今は、どのようにSSPの活動をもっと多くの人に知ってもらえるか。もっと多くの企業さんや、個人サポーターの皆さんに賛同してもらうにはどうしたらいいのか、頭を悩ましてる最中なんです。

佐々木 なんていうんだろう。僕は今日、治親さんと一緒に走れたことが喜びでもありますし、治親さんの情熱とか頑張りを誌面を通じて1人にでも伝えられたらいいなって思います。僕も今度、治親さんの走るオートレースで見に行きたいですし、SSPの体験走行会も一度ぜひ伺わせてくださいね。

治親 ぜひぜひ! 来て来て来て!

今回の食事処

Bluto’s Cafe
千葉県南房総市白浜町滝口5786-1

画像14: 元WGP世界王者の現役オートレーサー青木治親選手とゆくバイク旅【神社ソムリエ・佐々木優太の開運ツーリング】

南房総のお洒落なゲストハウス『白浜クラブ』内にあるカフェで、リーズナブルでボリュームたっぷりの食事や手作りスウィーツが楽しめます。しかもオーナーはなんとMotoGPライダー・中上貴晶選手の御親戚! 思い出のツナギやトロフィーなどが展示された「TAKAコーナー」も併設されています。

画像15: 元WGP世界王者の現役オートレーサー青木治親選手とゆくバイク旅【神社ソムリエ・佐々木優太の開運ツーリング】
画像16: 元WGP世界王者の現役オートレーサー青木治親選手とゆくバイク旅【神社ソムリエ・佐々木優太の開運ツーリング】

まとめ:齋藤ハルコ/写真:森 浩輔
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2024年3月号に掲載したものを一部編集して公開しています。

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