誰もが予想できなかったカワサキとロウズの優勝
トップライダーの移籍、期待の新星、実力者の復帰、そして新しいレギュレーションなど開幕前から見どころが目白押しだった2024年のSBK。これらの要素が絡み合い、開幕戦ではアルバロ・バウティスタが席巻した2023年とは違い、多くのライダーがトップ争いを繰り広げる激戦となった。
そんな中、一番の輝きを放ったのがカワサキのエースになったアレックス・ロウズだ。SBKで前人未到の6連覇を果たし、数々の記録を塗り替えてきた絶対的エースのジョナサン・レイがヤマハに移籍。モンスター・エナジーのメインスポンサー撤退など誰もがカワサキの苦戦を予想していた。
しかし、開幕戦ではロウズがスーパーポールレースとレース2で優勝し、日曜日を完全制圧。ドゥカティ、ヤマハ、BMWを相手に一歩も引かない走りをみせた。特にレース2のバウティスタとの一騎討ちは圧巻だった。
コンセッションもカワサキの躍進の後押しになったことは間違いないが大きな結果をもたらしたロウズとカワサキ。しかし、ヨーロッパのサーキットとは違った特徴を持つフィリップアイランドでのレース、周回数が減算されたこと、そしてロウズの得意なサーキットであったことを考慮すると、カワサキがチャンピオン争いを繰り広げることができると考えるのはまだ早い。
第2戦から最終戦までヨーロッパラウンドとなるSBK。そして今大会の舞台であるカタロニア・サーキットはさまざまな特徴を兼ね備えたレイアウトで、テストでも頻繁に用いられるコース。総合力が問われるサーキットなだけに、各メーカーの真の実力は第2戦で見えてくるのではないだろうか。
ラズガットリオグルが移籍わずか2戦目で優勝!
レース1の前に行われたスーパーポールではトプラク・ラズガットリオグルが、BMW移籍後初のポールポジションを獲得。ルーキーのニッコロ・ブレガ、アンドレア・イアンノーネとドゥカティ勢が続く。バウティスタは11番手、ジョナサン・レイは13番手とチャンピオン経験者は苦戦が続いている。
気温21度、路面温度36度のドライコンディションの中、レース1がスタート。ラズガットリオグルがトップの座を守ったままターン1へ侵入。イアンノーネが2位、その後ろには好スタートを決めたサム・ロウズがつけ、早くもイアンノーネをパスし2番手に浮上する。
3周目にはラズガットリオグルをも攻略したサム・ロウズ。トップに立ったロウズは2位以下とギャップを広げていくが限界を超えてしまい転倒。2位に上がっていたブレガがラップリーダーとなった。
ロウズ同様、トップに立ったブレガはペースをあげ、2位のイアンノーネを引き離し、4秒以上のギャップを築いていく。
一方、チームメイトのバウティスタは怒涛の追い上げを見せていた。残り6周で4位までポジションを回復し3位のイアンノーネに迫る。そして残り4周でバウティスタはイアンノーネをパスし表彰台圏内にまで浮上した。
独走状態が続いていたブレガだったが、タイヤマネジメントに苦戦。前半にギャップを築いたツケが最終盤にきたのだ。急激にラップタイムが落ちたブレガに2位のラズガットリオグルが急接近。わずか2週で追いついたラズガットリオグルはファイナルラップでブレガを抜きトップに再浮上しトップチェッカーを受けた。
タイヤマネジメントに加え、唯一ハードタイヤを選択していたラズガットリオグル。経験値が出た結果となったが、ルーキーのブレガにとってほろ苦い2位となってしまった。3番手には強烈な追い上げをみせたバウティスタが入っている。
これでラズガットリオグルが移籍後初優勝。BMWにとっては2021年2021年ポルティマオのスーパーポールレース以来の優勝となった。
2024 スーパーバイク世界選手権 第2戦 レース1 結果
ラズガットリオグルがスーパーポールレースで劇的ウィン! レース2はバウティスタが今季初優勝
日曜日の午前中に行われた迎えたスーパーポールレースは、イアンノーネがトップに立ち集団を引っ張っていく。
レースの折り返し時点となる5周目、イアンノーネとアレックス・ロウズがトップ争いを繰り広げる中、一瞬の隙をついたラズガットリオグルが2台抜きでトップに浮上。
レース1同様、追い上げを見せるバウティスタは表彰台圏内に加わると、ファイナルラップでついにトップに躍り出た。
バウティスタ、ラズガットリオグル、イアンノーネ、ブレガのトップ集団は接近戦のまま出すとラップを駆け抜けていく。バウティスタがトップのまま最終コーナーに入るも、イン側からラズガットリオグルが飛び込み土壇場で再逆転。その隙をついたイアンノーネもバウティスタをかわし2位をもぎ取った。
2009年のMotoGP第6戦カタルーニャGPでヴァレンティーノ・ロッシがホルヘ・ロレンソを同じシチュエーションで優勝を飾っているが、それを彷彿とさせる逆転劇となった。
最終レースとなるレース2では、スーパーポールレースで優勝を逃してしまったバウティスタが躍動した。スタートでトップに浮上したバウティスタはイアンノーネ、ブレガを従えて周回を重ねていく。
連勝中のラズガットリオグルはスタートで出遅れるも、ブレガを捕らえ、2位のイアンノーネとバトルを展開。
そんな2位争いの2台をブレガが攻略し2番手に浮上、ドゥカティワークスによる1-2体制となる。2位に浮上したブレガはトップのバウティスタをも攻略しトップに浮上。隙を与えたくないブレガはペースをあげ独走体制に持ち込もうとするもバウティスタも喰らいついていく。
ブレガの独走を許さなかったバウティスタがレース折り返し時点でトップに浮上。3位のラズガットリオグルとの差は1秒以上に開いていた為、ドゥカティが余裕の1-2体制を構築。バウティスタは徐々にブレガとの差を開いていき、独走体制となった。
最終的にブレガに対し2秒のリードを築いたバウティスタがトップチェッカー、スーパーポールレースの借り今季初優勝を飾った。ブレガが2位、3位にはラズガットリオグルが続いた。
後方ではイアンノーネが転倒し、マイケル・ファン・デル・マークが4位でフィニッシュ。BMWはラズガットリオグルだけではなく、チームとしての底上げもなされていることも証明してみせた。今後も楽しみな存在になりそうだ。
2024 スーパーバイク世界選手権 第2戦 スーパーポールレース 結果
2024 スーパーバイク世界選手権 第2戦 レース2 結果
レポート:河村大志