Vストローム250は『前後17インチホイール』だからこそ!
2023モデルでアップデートされた新エンジンの威力は絶大……バイクとしてのスポーティさだけでなく、Vストローム250の本質であるツーリングシーンにおいても有効だということが新たに判明した! というのが前回までのお話。
ここからは高速道路を降りて、ふらっと一般道を走っているような“普通のツーリング”になるのですが、リラックスして走っている中で『あれ? これってそういえば……』と気づいたことがありました。
それは、このバイクが前後に17インチホイールを履いているということ。そして、それによるハンドリングです。
ちなみに言うとですね……
スズキ初の電子制御サスペンション搭載! と鳴り物入りで登場した新型GSX-S1000GX。こちらも前後17インチホイールです。
そして堂々とGX(グランドクロスオーバー)と名乗ってる。
でも前後17インチという点はVストローム250も同じ。つまりVストローム250も、あえてジャンル分けするならば“クロスオーバー”ということになるかと思います。見た目はGXと違ってアドベンチャーっぽいですけど。
だけど一般道をトバすでもなく、フワ~ッとした幸せ気分で流している時にふと思いました。
Vストローム250って、良い意味で『意識せずに走りを楽しめる』んです。
例えば海沿いの爽快シーサイドラインとかって、ゆるやかだけどクネクネ曲がってたりするじゃないですか?
そういった旅先の『気持ちいい道だな~』と感じる場所を走っている時に難しいことを考えないままに思い通りの走行ラインでバイクを操れているんです。
これ、たぶん前後17インチホイールの為せる技だと思う。
ちなみに、そう感じるのにはちゃんと根拠がありまして……
こちらのVストローム250SXがその理由です。
SXはラフロードの走破性を強めに意識した車体構成でフロントに19インチホイールを採用。もちろんホイールサイズだけで決まる話ではありませんが、そのハンドリングは(オンロードにおいて)どっしり&おおらかです。
ただ、慣れるまではコーナーでフロントタイヤがイメージより外側を回っていく感覚があります。
だけどVストローム250にはそれがない。
これは個人的にはけっこう『ツーリングバイクとして大事なこと』だと思います。
だってこれ、旅先でライダーを疲れさせないままに「バイク楽しいな!」って思わせてくれるということですから。
ちなみに今回はワインディング区間もマイペースでした。
ライダーの人には共感してもらえると思うんだけど、コーナー手前では軽いブレーキで速度調整する程度で、あとはアクセルワークだけでスイッスイッとワインディングを走ってる時ってすごく気持ち良くないですか?
そして、そういう走りをしている時のVストローム250は本当にいい。何も考えずに、バイク乗りとしての幸せに浸っていられる時間を提供してくれます。
この点においては、基本的に従来型も新エンジン仕様の2023モデルも同じ。まぁ、アクセルを開けていく時の胸のすくような爽快感は現行モデルに軍配ですが、それでも基本は『Vストローム250』です。
これまではあまり意識してこなかったけど、Vストローム250が前後17インチホイールを履いているのって、やっぱり“正解”なんでしょう。
イメージ通りにバイクを操れることって、楽しさに直結しますから。
あと、もうひとつ。
新しくなったエンジンですが、高速道路だけでなく、ここまで言ってきたような一般道ツーリングペースでの走りにおいても有効だと確認しました。常用域となる5000回転付近のトルク増強ってこんなに効くのか……と舌を巻く思いです。
信号待ちからの再加速も、ワインディング区間で適度にスポーティを感じる時も!
(下に続きます)
あらゆるシーンで従来型エンジンよりも『楽しい!』を感じさせてくれます。そして、加速が力強いことがツーリングで乗り手を疲れさせないことにもつながってる。
昨年に新登場したVストローム250SXも良いけど、やっぱりVストローム250は250ccツーリングバイクにおける『王様』なんだろうな、って思います。もはや貫禄すら感じる。
いやホントにね?
もし二輪免許を手に入れたばかりの頃にVストローム250に出会っていたら、私はたぶん、このバイクの虜になってたんだろうナァ……って本気で思いますので!
【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】