この記事では計8ブランドのジャケットとともに、プロテクターやグローブの注目製品をピックアップして紹介します。
文・写真:西野鉄兵/モデル:カナイメグ
※モデルの着用ジャケットはメンズサイズの場合もあるので、サイズ感はあまり参考にしないでくださいねー!
ヒョウドウプロダクツ|HYOD PRODUCTS
新たなレーベル「HYOD EVOKE」誕生!
バイクの聖地ともいえる静岡県浜松市に拠点を置き、ハイクオリティなライディングウエアを生み続けているヒョウドウプロダクツ。いまほどツーリングライダーのプロテクション意識が高くなかった頃から、画期的なプロテクター製品を発表してきたブランドでもあります。
2019年以来の出展となった2024年の東京モーターサイクルショーでは、新レーベル「HYOD EVOKE」(イヴォーク)の展開を発表しました。
アウター、ミドル、インナーウエアさらにキャップのトータルコーディネートを提案。イヴォークは、すべての製品がポケッタブル仕様、コンパクトに収納できるというのが特徴です。いずれのアイテムも街中で着ていてもかっこいいと思えるデザインで、アウターのプロテクターは別売としています。
その別売プロテクターがこのレーベルを支えるキモ。日本のライディングウエアメーカーとしては初めて導入するという、イギリスの「RE ZRO」プロテクションを採用しました。
このプロテクターは、プロテクションポケットを備えていないジャケットにも後付けが可能なんです! 通気性・伸縮性が高く、それでいて欧州基準のEC規格をクリア。しかも素材自体は土に還るという環境にいいものです。
新時代のプロテクターとともに展開される「HYOD EVOKE」、今後注目ですよ。キャップは2024年5月頃、ウエア類は7月頃に発売予定!
タイチ|TAICHI
2024年はアウトドアやミリタリーテイストの製品にも注目
正統派のスポーツツーリングジャケットを昔から得意とするTAICHI(タイチ)。数年前までブランド名も社名と同様にアールエスタイチでしたが、現在ブランドは「タイチ」となっています。
パーカータイプのジャケットは若者にも大人気。流行りだしたのは10年くらい前からですかね、SAやツーリングスポットで見かけるジャケットの代表格ともいえるほどで、モーターサイクルショーの会場でも「またタイチだ!」の連続でした。
さて、スタッフの方が教えてくれた2024年の新作を見ていきましょう。
今季は既存のラインナップとは異なるアウトドアテイストのモデルも用意されています。「オーバーラップ メッシュパーカ」は斬新なベストレイヤード風のデザイン。本体部分はフルメッシュ仕様で涼しさ抜群です。
ベスト部分は、前合わせは外せますが、縫い付けられているので脱着はできません。本体にもベストにもポケットが備わっていて便利そう!
「クイックドライパーカ」はどこかミリタリーのテイストを感じさせるパーカージャケット。表面に超撥水加工が施された、高強度エアスルーストレッチ生地を採用しています。
着心地の柔らかさと高い通気性が魅力。バックルなど細部のパーツもかっこいい!
タイチは胸部プロテクターをいち早く本格的に製品化したメーカーのひとつでもあります。東京モーターサイクルショー2024では最新モデル「ネックス エアー チェストプロテクター」が公開されました。
全面的に背景が透けて見えるほど、通気性抜群の設計。胸部プロテクターって真夏に使うと暑さで外したくなってしまうときがあるんですよね。そんな思いに対応した仕様です。
通気性の高さを追った結果、軽さも特長に。長時間のツーリングでも疲れにくいはず。また価格もお求めやすい設定となっています。
ライズ|RIDEZ
RIDEZらしさ全開の半袖レザージャケットを発表
神奈川県横浜市に本社を置くライズは、カジュアルなライディングウエアを主体にグローブやシューズ、ヘルメットまで展開しています。バイク乗りにぴったりのTシャツはとにかくデザインの種類が豊富!
同時に革製品も得意としており、2024年新作の「98 S/S ジャケット」はこれぞライズ! と呼べる製品です。
全面的にパンチング加工が施され、通気性を確保。冷感インナーなどと組み合わせるとより涼しさをアップできるでしょう。
パンド モト|PANDO MOTO
パンド モトは、欧州リトアニア生まれのライディングウエアブランド。強靭な生地を使ったハイクオリティなジャケットやパンツが定番のアイテムとして、日本でも流通しています。
モーターサイクルショーでは、輸入元であるモータリストのブースで見ることができました。この記事でモデルを担当してくれたカナイメグさんは、パンド モトのカタログモデルを務めていて、自身も愛用中。
夏にぴったりの製品はこちらの「コマンドー UH」。3Dコーデュラメッシュで通気性はばっちり確保、要所に強靭な素材を組み合わせ欧州のCE規格をクリアしています。
単体ではもちろん、インナーとして着るのもおすすめとのこと。大胆に配したウェビングを上手くデザインとして昇華しているのはお見事ですね。ミリタリーポーチを付けるのもいいかも。キャンプのときはカラビナを付けていろいろ引っかけてみたいと思いました。
まとめ
8ブランドの製品、いかがでしたか? 今回紹介したのは、東京モーターサイクルショー2024の会場で空いている時間帯に撮影できた一部の製品ですが、各社のアイデアや考え方のちがいをお分かりいただけたのではないでしょうか。
筆者がとくに興味深く感じたのは、プロテクション性能に対する考え方の変化です。胸部プロテクターが一般的になりだしてから数年前まで、胸部まで標準装備するジャケットがトレンドだったように思います。
ただ今年は、あえてプロテクターをなくす、肩・肘だけに戻す、というブランドが増えた気がします。それは安全面への意識の低下ではけっしてなく、“プロテクターは別売で高性能なものを”、“プロテクターはワンセット持っていれば流用できる”、“インナープロテクターと組み合わせて使える”などといった考え方から生まれた流れです。
ジャケットとプロテクターをセットにしなければ、その分価格は下がり、買いやすくなりますよね。筆者の自宅には、どのジャケットから取り出したのかさえ忘れてしまった各部のプロテクターが複数たまっています。「バイク用のジャケットはかさばるからもう買っちゃダメ」と、家族にしかられちゃう人も多い気がします。
今後はブランド別の個性や製品別の個性はさらに際立って、ジャケット選びはより自由にもっと楽しくなる予感がしました!
文・写真:西野鉄兵/モデル:カナイメグ