文・写真:西野鉄兵
※CL250のツーリング性能が気になる方は2ページ目の【レビュー】をご覧ください。
【レビュー】ホンダ「CL250」の旅性能
ノーマル状態の積載性
泊まりがけでツーリングをするなら、リュックを背負うよりリアシートにバッグを積んだ方が圧倒的に楽。というわけで積載したのだが、CL250は荷掛フックの類のものがひとつも備わっていなかった。
シートを外して、シートバッグの取り付けベルトやロックストラップを通せる場所を探した。多くの車種の場合シートレールに通すことができるのだけれど、CL250はシートレールの後方部分が溶接で埋められていて隙間がない。左右2カ所、2cm程度のベルトを通す隙間を開けておいてくれたらどれだけ助かったことか。
仕方なく前方の隙間にロックストラップを通した。積載できないことはないが、荷物の位置が前目となり、本来座りたいスペースをバッグに奪われてしまう。
今回のツーリングでは、ロックストラップを使用して、防水仕様のバッグを積んだ。ロックストラップはゴムパーツ部分に柔軟性があり、座ったのちにお尻でグイグイ荷物を後方に少し追いやることができる。
またCL250のようなトラディショナルな雰囲気も持つバイクは、システマチックな四角いバイク用シートバッグより、今回積んだバッグやダッフルバッグなどを上から押さえつけて積む方がかっこいい。最近そうあらためて思った。
中身を取り出すときにすべて荷解きしないといけないから、不便だけどね。
大荷物を積みたい人は素直にリアキャリアを装着するのがおすすめ。純正品もトップケースとともに用意されている。ちょっとした荷物を頻繁に運ぶなら、サドルバッグサポート+サドルバッグもあり。マフラーと逆側の片方にサドルバッグを装着しているスクランブラーは、それはそれでかっこいいと思う。
燃費・航続可能距離・燃料計
3日間のツーリングで、総走行距離は774kmだった。高速道路の走行が9割近くになると思う。メーターに表示された平均燃費は27.7km/Lだった。
給油は3度行なった。
【実測燃費】
・1回目の給油:249.4km÷8.23L=約30.3km/L
・2回目の給油:315.5km÷11.17L=約28.2km/L
・3回目の給油:209.5km÷6.5L=約32.2km/L
※油種はレギュラー
私の体重は68kg、装具・荷物を合わせて約75kgといったところ。無駄にスロットルを開けたりせず、交通の流れに合わせて走っていた。実測燃費はいずれもセルフのスタンドで上限まで給油したつもりだが、メーターで表示された数値よりもいい結果が出た。
1回目の給油時の燃費には12kmの渋滞の分も含まれるが、2回目よりも数値はいい。これは帰り道に、新東名で120km/h走行をしていたことによって生まれた差だと思う。3回目は新東名→東名→首都高を比較的穏やかに走った結果、燃費が延びたようだ。
2回目の給油前は、残量ぎりぎりまで粘ってみた。燃料計は目盛りが残りひとつになったのち、その状態で点滅をする。点滅したときは残量が約2.5Lなのだと、取扱説明書に記されていた。
そしてリザーブ燃料の消費量が0.1Lごと、カウントアップされはじめる。315.5km走った際、カウントアップされた数値は1.1Lだった。つまり2.5L引く1.1Lで、約1.4Lほど残っていると読み取れる。とても親切な燃料計だ。
しかしCL250の燃料タンク容量はカタログデータで12L。2回目の給油では11.1L入った。あれ、計算が合わない。燃料タンクが実質0.5Lほど多めに入るのか。私がパツパツに入れすぎてしまっていた可能性もある。
高速道路走行なら、250km~300kmを目安に給油を心がければ、まず燃料切れをおこすことはないだろう。今回もっとも燃費がよかった32km/Lの走行を続ければ、ワンタンクで384kmも走れることになる。
ちなみにWMTCモード値の燃料消費率は、34.9km/L。交通量の少ない一般道を50~60km/h、もしくは高速道路でも70~80km/hあたりをキープすれば、今回の計測値よりも伸びるのだろう。
快適な巡航速度と120km/h走行について
今回のツーリングでは、首都高でも東名でも新東名でも、空いているときは制限の上限まで速度を上げることを心がけていた。
もっとも心地よかったのは90~100km/h。エンジンが無理をしている感じがいっさいなく、安心して走れた。新東名での120km/h走行は、出だしは体感的にややつらかった。慣れてくると続けられないこともない。
110km/hを超えると手まで振動がはっきりと伝わってくる。おそらく最高速は140km/h以上出るので、120km/h巡航でも余裕はあるはずなのだが、まあまあふり絞っている感じがして、気持ち的に疲れるのだ。
また105km/h程度のペースで走るクルマを抜くのも少し大変で、その都度抜くか後ろに付くか迷った。
ライディングポジション・シートの座り心地・レブル250とのちがい
シートは乗った瞬間に、ちょっと硬い、というか薄い? と感じたのだが、長時間を走ることで蓄積されるつらさやお尻の痛さはまるでなく、不思議な感覚だった。なので座り心地に文句はない。
ただ今回のツーリングでは、積載の関係で前目に座ることになったのは、ちょっときつかった。つねにお尻とバッグが押しあっている状態だったので、普通に乗れたらうんと快適だったはずだ。
身長175cm・体重68kgの私の場合、ライディングポジションはジャストフィットと思えるもの。もともとレブル250も大好きだが、レブルで長距離を走ると「もっとポジションの自由度が高ければ楽なのになあ」とはいつも思っていた。その願いをまさに実現してくれたのがCL250だった。
レブル250の場合は、ちょっとお尻をずらすためにステップに立ち上がるのも難しい。CL250はダートの走行を想定しているだけあって、スタンディングのしやすさも特長。走行時にリフレッシュがしやすい。
またレブル250と比較すると、足まわりのちがいも大きい。高速走行をしている際に、橋のつなぎ目などちょっとした段差の捉え方がだいぶ異なる。
レブルだと「あ、段差があるな」と気づいて構えるような場面で、CL250では意識さえせずに済む。1日の走行距離や走行時間が延びるほど、この差は大きく感じるだろう。
今回はダート走行をしていないが、ちょっとした砂利道や土の路面もCL250なら誰でもひょいひょい走れるはず。
軽くてハンドルの切れ角があり、ライポジの自由度も高い。高速道路も250ccの中では得意な方で、ダートもいけちゃう。燃費だっていいし、航続距離も充分すぎるほど。積載問題を各々の望むかたちで上手くクリアできれば、最高の250cc旅バイクとなるはず!
文・写真:西野鉄兵
【諸元】ホンダ「CL250」の主なスペック・製造国・価格
全長×全幅×全高 | 2175×830×1135mm |
ホイールベース | 1485mm |
最低地上高 | 165mm |
シート高 | 790mm |
車両重量 | 172kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 |
総排気量 | 249cc |
ボア×ストローク | 76.0×55.0mm |
圧縮比 | 10.7 |
最高出力 | 18kW(24PS)/8500rpm |
最大トルク | 23N・m(2.3kgf・m)/6250rpm |
燃料タンク容量 | 12L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 27゜00′ |
トレール量 | 108mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/80R19M/C 59H・150/70R17M/C 69H |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
乗車定員 | 2人 |
燃料消費率 WMTCモード値 | 34.9km/L(クラス2-2)1人乗車時 |
製造国 | タイ |
メーカー希望小売価格 | 62万1500円(消費税10%込) |