GSX-S1000GXを理解するには時間が必要
スズキ初の電子制御サスペンション搭載! というトピックスに加え、だれが見てもカッコいい! と惚れるフェイスマスクで登場したイケ面グランドクロスオーバー(GX)のGSX-S1000GX。
私(北岡)は今年2024年3月の初対面の際に、このバイクを『全自動おまかせ快適バイク』として盛大に誤認。その後にどうやらそれは正しくないことが発覚しました。その時の顛末は以下の過去記事の通りですが、以来、再戦を心に誓って今日まで過ごしてきたのです。
しかし注目の新型バイクのため、なかなかスズキさんからバイクを借りることができず悶々とした日々……でもその間に、シリーズの中核とも言えるネイキッドGSX-S1000に再び乗ってみて『スズキのGSXらしさ』を再認識することができています。
そうして、ついにこの日が!?
やっとお借りすることができましたGSX-S1000GX! しかもグリーン!?
この色なんかスゴい……アタマ良さそう~。
グリーン系っていうと、私的には(クルマのイメージが強いかもしれないけど)英国ムードを感じます。鋭い眼光なんだけど落ち着いているというか『大人の乗り物です!』っていう雰囲気を全身から醸し出してる。
まさしく高級車の佇まい。
その上品さに気後れしそうになりますが、過去の過ちを正すためにはそんなことを言ってられません。今度こそ、このバイクの本性を見極める必要があります。
なので走り始めてから、即座に私は体内のスズキセンサー感度を最大に設定しました。
高速道路で『動き』をチェック!
私はこのバイクを「街乗りで使う」というイメージがどうにも持てないので、今回は速やかに高速道路へ。
そこで行ったのは電子制御サスペンションの設定を変えることで「バイクの動きがどう変わるのか?」の検証でした。
ここで最も注意していたのはサスペンションのプリロード調整を担当する「オートマチックリヤサスペンションモード」です。
前回、私はこれの「AUTOモード」に翻弄された……そういう認識でいます。ちなみにAUTOモードではプリロードと減衰力が両方とも、走行状態によって自動で調整されます。
おそらくコレが判断を誤った最大の理由だと思っています。
わかりやすく言ってしまうと「AUTOモード」で走った場合、多くのシーンでバイクの動きがまったりして感じられるケースが多いということ。
そして、その動きは私個人として「あまりスズキのスポーツバイクらしくない」と感じてしまうものだったんです。
ええと……これは要するに『電子制御化されたプリロード調整機構』ってことだから……まずはそれをマニュアルモードに。
マニュアルモードでは「一人乗り」、「一人乗り+荷物積載」、「二人乗り」の3モードが選べるんですが、上の写真の「一人乗りモード」を基準として考えます。
ちなみに、これはあくまで走行時の積載の状況を示すものだと感じました。私の場合、なんとなく「一人モードが一番スポーティに走れそう」というイメージを持ってしまうんですがそうではない様子……
ということはマニュアルモードでは「一人乗りモード」がプリロード最弱。ここで重要なのが車体の姿勢です。
リアサスペンションのプリロードが最弱設定……そしてプリロードは弱めるほどに車高が下がります。
ということは「一人乗りモード」は、いちばんリア側が下がった状態になる。プリロード調整の影響は様々ですが、それによってハンドリングがまったりと感じられるのではないか? と考えました。
そこで!
荷物も積んでいない&二人乗りもしていない状態にも関わらず、サスペンションモードを「二人乗りモード」に変更!
普通の感覚だとこれはやらないと思います。ですが想定の通りならば、マニュアルモードでの二人乗りモードが「いちばんリア側の車高が上がった状態になる」はずなんです。
そうして高速道路上で、安全確認をしつつ軽く車体をゆすってみたり、車線変更してみたり……
やっぱりだ……動きが軽くなる。
この後に「一人乗り+荷物モード」も試してみたんですが「二人乗りモード」よりも車体の動きがわずかに優しく変化したように感じました。
ははーん、そういうことか!?
(下に続きます)
ちょっと見えたぞ、GSX-S1000GXの本性を暴くための道筋!
検証するために高速道路を降りてワインディングへ突撃! そして、そこで感じたのはちょっとした衝撃でした。
でもそれは、GXというバイクの『序章』に過ぎなかったのです……
【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】