レポート:西野鉄兵/提供:バイク王
ラジオNIKKEI『ライダーズ』とは?
バイク関連番組で唯一の全国放送、毎週火曜日20時20分オンエア
バイク好きのための番組『ライダーズ』は、ラジオNIKKEI第1で、毎週火曜日20時20分~50分に放送されています。短波放送のため対応したラジオなら全国どこでも聴取可能。またradikoでの配信もしていて、パソコンやスマートフォンで聴くこともできます。
放送開始から今年で10周年を迎えました。メインパーソナリティの“ステップ堀田”さんは2014年3月に「ライダーを一人でも増やしたい」という思いから、同番組をスタート。
「バイクに乗るきっかけは、周囲からの影響だと思うんです。それは友人や先輩、家族など身近な人だったり、映画やアニメ、小説などの作品だったり。そこにラジオがあってもいいのかなと思いました」
実際に『ライダーズ』がきっかけで、バイクを買ったというリスナーもいるそうです。「そういったメッセージが届き、それをまた放送で紹介、リスナーさんとの交流はラジオの醍醐味ですね」と堀田さんは嬉しそうに語ります。
番組はフリートークをはじめ、リスナーから寄せられたメッセージの紹介、注目のバイク関連ニュースのまとめなどがあり、30分間どっぷりとバイクの世界に浸れる構成になっています。
またラジオならではの“音”を活かしたコーナーも。「現在はヨシムラさんに協力をいただいてカスタムマフラーの排気音をノーマルマフラーの音と比較する企画を行なっています。過去にはBluetoothインカムの音質を伝える企画もありました」と堀田さん。
「はじめは半年続けられたら……と思っていました。リスナーの方、ゲストの方、スポンサーのみなさまに支えられて、10年間走ることができました」
10年間、一度も穴を開けることなく、2024年6月12日現在、計536回も放送してきました。もちろん人気が伴っていなければ続けられません。
そんな『ライダーズ』が満を持して、初のリスナーミーティングを開催。イベント直前の放送では「3人くらいしか来てくれないかも……」そう堀田さんは心配していましたが、会場のバイク王絶版車館には約70名ものリスナーさんたちが集まりました。
『ライダーズ』第1回リスナーミーティングの様子
関東だけでなく遠方からもリスナーが参加
ステップ堀田さんとともに番組内でコーナーを持つ、バイク女子の美環(みかん)ちゃんと、二輪ジャーナリストのノア セレンさんがイベントに登場しました。美環ちゃんは毎週出演、ノア セレンさんは第5火曜日のゲストとして、マニアックな絶版車トークを繰り広げています。
集まったリスナーさんの車種やバイクとの付き合い方はさまざま。スポーツ走行を重視する人から、ツーリングオンリーの人、カスタムと街乗りを楽しんでいる人など、共通点は『ライダーズ』を聴いていて、バイクに乗っているということだけです。
それにも関わらず会場には心地よい一体感がありました。イベントでは参加者の愛車自慢大会、クイズ大会、記念撮影タイムなどを実施。
参加者の方がラジオネームを告げると、ほかの参加者の方が「おお、あのハガキ職人さん!」とリスナーにしか分からない感動の出会いもありました。
イベント終了後の駐輪場では、ひとりでやってきたリスナーさん同士がお互いのバイクについて語り合っているシーンも目立ちました。なかには岩手県や愛知県からこのイベントのために駆けつけたという方も。
イベントの終盤に堀田さんが「また開催したら来てくれる人!」と呼びかけると多くの方が間髪入れずに挙手。1回目の開催まで時間がかかっただけで、きっと2回目はそれほど月日をおかずに開催されるはず! 好天にも恵まれ、とても温かい雰囲気のミーティングでした。
まだ『ライダーズ』を聴いたことがないという方、ラジオからも堀田さんの情熱と愉快さは伝わってきます。ぜひお楽しみください。
バイク王つくば絶版車館を見てみよう!
まるで名車の博物館、上質な絶版車が250台以上並ぶ
ミーティングの会場となった「バイク王つくば絶版車館」。全国に77店舗を展開するバイク王のショップの中でも随一の規模を誇るお店です。
特徴は絶版車館という名の通り、新車で手に入らなくなった車両のみを扱っていること。カワサキのZ1、Z2やホンダのCB750FOUR、ヤマハのRZ250、スズキのGSX1100Sカタナなど、1970~80年代の名車をはじめ、原付からオフロードモデル、アメリカン、ビッグスクーターなど2000年代までの国産車を中心にあらゆる排気量・カテゴリーのバイクが250台以上並んでいます。
同店リーダーの松田墾さんに話を伺いました。「ここをツーリングの目的地や待ち合わせ場所にされるお客様もたくさんいらっしゃいます」とのこと。
たしかに、まるで名車の博物館のようで、一台一台眺めているだけで楽しめます。しかも多くは30年、40年、50年前のバイクとは思えない状態の美しさ。ウェブや雑誌でしか見たことのないような貴重な名車が並んでいる光景は圧巻です。
「最近は中古車価格の高騰がいっときよりも落ち着いてきました。また絶版車のトレンドは月日とともに少しずつ変わっていきます」と松田さんは言います。
近ごろはホンダのスティード400やフュージョンなども人気だそう。20代のお客さんも多く、比較的手頃な250ccオフロードモデルやトラッカーモデルも並んでいました。
同じ車両でも価格に幅があるのが中古車の特徴。松田さんが「いいものから売れていく」と話していたのが印象的でした。
ちなみにバイク王つくば絶版車館は、整備の拠点としても機能しています。普段一般の方は見ることができないメンテナンスエリアも覗かせてもらいました。
ここでは、これから納車するバイクの整備をするのとともに、ユーザーの購入車両のアフターケアを行なっています。さらに各店舗では手に余る重整備も請け負っています。広々した空間で、整備が快適かつ効率よく行なえる工夫が凝らされていました。
ノア セレンが選ぶバイク王つくば絶版車館のおすすめ車両5選
さて、ここからは『ライダーズ』のイベントに登場したノア セレンさんが選んだおすすめのバイクを5台紹介します。
絶版車に精通したノアさんは、王道も好きだといいますが、ニッチなところも気になっていました。店内を何周もして、「とくにいいぞ!」と思った車両をピックアップしてくれました。
ノア セレンが選ぶおすすめ車両・第5位
“男のバイク”という呼称で有名なGS1200SS。1156ccの油冷DOHC4気筒エンジンを搭載しています。スズキ好きのノアさんは「館内全体でスズキ車が少なめなのは、寂しかった。だけどこのGS1200SSは200万円を超えた車両がここに3台もあり、しっかりと絶版車としての地位を築いていますね」とコメント。
「大型カウルを備える個性的なスタイルは発売当時こそ賛否両論だったと記憶していますが、いまステータスを得たのは嬉しいですね」。存在感満点のGS1200SS、街中でもツーリング先でも目立つはず!
ノア セレンが選ぶおすすめ車両・第4位
195ccの水冷2ストロークエンジンを搭載するSDRは、ノーマル状態の車重がわずか105kgという軽量さが特徴です。実車を目の前にすると、こんな細いバイク見たことない! と思う方も多いでしょう。
ノアさんは「完全に現行車にはないタイプのモデルです。絶版車のステータスを上げる一因に“いまはない”ということは挙げられます」とその個性を強調。
また、「現実的に絶版車でロングツーリングに出かけるのは覚悟がいるもの。故障だけでなく、盗難の心配もありますからね。だけど小排気量車なら割り切って、近場にふらっと走りに行くという遊び方で楽しめます。他の2スト250ccモデルだと100万円を超えることもザラななか、SDRは狙い目とも言えるかもしれませんね」と使い方や価格も考慮し、現実的な絶版車ライフを思い描きやすい一台として挙げてくれました。
ノア セレンが選ぶおすすめ車両・第3位
999ccの水冷V型2気筒エンジンを積んだスーパースポーツとして2000年に輸出車として製造開始されたVTR1000SP-1。日本では逆輸入車扱いだったため流通量は多くありません。
ノアさんは「これは買わないといけないバイク、今日絶版車館にある中でもっともお買い得だと思います。興味のある人はいますぐ買うべき!」と太鼓判。
スーパーバイク選手権・鈴鹿8耐・マン島TTレースなどを戦った当時の最先端マシンがこの価格で手に入るというのは、驚きだといいます。「初期の頃のインジェクションとは思えないほど完成度が高く、乗り味はビシッとしてます。完全にレーサーですよ」と当時を衝撃を振り返りながら、イチオシ!
ノア セレンが選ぶおすすめ車両・第2位
1994年にデビューし最終型が2006年まで製造されたアメリカンのVツインマグナ。249ccの水冷DOHC4バルブV型2気筒を搭載し、クラスを超えた大柄な車体が特徴です。
「アメリカンといわれるけど、マッスルカー的なイメージで造られたんです。だから速いし、スポーティな走りも充分に楽しめる。もちろん、のんびりツーリングをしたり、2人乗りも楽しみやすいモデルです」とノアさんは万能性と走りの楽しさを推しました。
価格に関しては「新車のレブル250と同等程度で状態のいい個体が流通しています。レブルはとてもいいバイクだけど、“あえて中古のVツインマグナ”そういった選択肢があるということを知っていてほしいな、と思います」と語りました。
ノア セレンが選ぶおすすめ車両・第1位
名車Z1の誕生から約7年後の1979年にデビューしたZ1000MKII。それまでの丸みを帯びたフォルムから一転し、角ばったスタイルを採用。1016ccの空冷4ストDOHC4気筒エンジンは93PSを発揮します。
「絶版車の王道ですよね。528万円はもちろん高価だけど、じつは落ち着いてきてます。感覚的には10年前とほとんど変わりません。もちろん状態にもよりますが、この絶版車館で売られているのだから安心できるはず」とノアさん。
数年前は800万円程度も当たり前だった車種で、今後の推移は分かりませんが、王道の一台に興味がある人は狙い目だと思えるとのことです。
以上、ノア セレンさんが選んだおすすめ車両5選でした。
今回はバイク王のなかでも象徴的な店舗である、つくば絶版車館を紹介しましたが、手厚い保証制度やサービス内容は全国77店舗どこでも共通です。
中古車販売店は、新車ディーラーとはまた異なるワクワク感があります。中古車との出合いは一期一会。つくば絶版車館も3カ月で2~3割程度は車両が入れ替わるそうです。