カッコいいオヤジたちの本気レース!

画像: パッと見、なんだこのバイク!って感じの390DUKE。白×グレーは岩城さんの好きな色です

パッと見、なんだこのバイク!って感じの390DUKE。白×グレーは岩城さんの好きな色です

JP250<www.autoby.jp/_ct/17705630>、J-GP3<www.autoby.jp/_ct/17705818>のレースの模様をお伝えした全日本ロードレース・筑波大会ですが、もうひとつ併催イベントの模様を紹介しますね。
すでに前回のエントリでお伝えしたように、この筑波大会は全日本ロードが2クラス、それに併催イベントの「マイスター250」「DUNLOP杯HRC筑波ミニ60分耐久ロードレース」「ポケバイレースエキシビジョン」が日曜のみの1Dayで行なわれました。

すると、日曜のパドックに人だかり発見。ナンダナンダと近づいてみると、岩城滉一さんとチームイワキのスタッフの皆さんを、遠巻きにファンのみなさんがのぞいていたのです。そう、岩城さん、この併催イベントである「OVER60Kid's」に出場しているんですね。
OVER60Kid'Sは、文字通り60歳以上のライダーによるレースで、ライディングスポーツの青木淳編集長とか、ブリヂストンモータースポーツの代表、佐藤潤さんが出ていたり。

画像: 予選が終わったピットにはたくさんのお客さんが ファンのみんなには気持ちよく対応していました

予選が終わったピットにはたくさんのお客さんが ファンのみんなには気持ちよく対応していました

そこに岩城さんもエントリーしている、というわけです。岩城さん、いつまでも歳とらない人だから……と思っても、実はもう73歳! 今大会の最年長ライダーなのです。
何度か取材でお世話になっているので、たぶん顔覚えてもらっているだろうとご挨拶。岩城さん、いま全日本ロードレースST600クラスの最強チームである「スクアドラ・ティグレTairaPromote」の、去年までのチームオーナーさんですから、全日本ロードにもよくいらっしゃってます。

画像: リーンウィズの力みないフォームで走る岩城さん ゼッケン51=コーイチ、はもうおなじみですね

リーンウィズの力みないフォームで走る岩城さん ゼッケン51=コーイチ、はもうおなじみですね

――岩城さん、コンチワ。きょう気をつけてくださいね。
「おぉ、なんだオマエ最近ぜんぜん顔見せねぇで」
いきなりちょっとおっかないですけど、これ岩城さんなりの親愛表現(だと信じてます)。
――暑いですけど、体調大丈夫ですか?
「うん、実は金曜に軽く熱中症になって、病院に行って点滴打ってもらってきたんだよ。無理しないように走るよ」

実は岩城さん、レースに出るのは8年ぶりだそう。たしか前回は、もて耐に出ていたんじゃなかったっけなぁ。つい最近は、鈴鹿のde’LIGHTさん主催の走行会に行ってサーキットランをしてきたようです。カン取り戻すのに練習してきたんだな、きっと(笑)。

その岩城さんが乗るのは、KTMの390DUKE。岩城さん好きそうなグレーにペイントされたストックスポーツ仕様で、エンジンはノーマルのままなんだそう。あんまり他で見ないようなイジり方、岩城さんっぽい。色使いも普通じゃないからカッコよく見えちゃうんだよなぁ。
「いいね、この390は。乗りやすい、壊れない、低コストで練習できるから、うちのメンバーも何台か乗ってるんだよ。パワーがあるわけじゃないから、上手に乗らないとだけど、大変だけど楽しいよ、このバイク。KTM川崎中央で作ってもらったんだ」

画像: 5番手あたりでレースをスタートした岩城さん その後の周回も無理せずあせらず、楽しんでいた感じでした

5番手あたりでレースをスタートした岩城さん その後の周回も無理せずあせらず、楽しんでいた感じでした

日曜朝の公式予選では、岩城さん徐々にペースを上げて周回。1分15秒あたりからスタートして、12秒、11秒と徐々にペースアップして、最終的に1分11秒185で予選4番手を獲得! 力みのないスムーズなフォームは、昔っから岩城さん、変わらないなぁ、って見ていました。しかもノーマルエンジンの390DUKEで11秒アタマって、なかなか速い!
「やっぱりパワーがないからトップスピードが伸びないよ。同じKTMでも、やっぱりRC390は速いな。でも、これくらいがちょうどいいんだ、DUKEだからアップハンっていうのもラクでいいよ。でも4番手かぁ、もっとタイム出たけどなぁ」

予選が終わって、決勝レースまでの数時間も、岩城さんのピットにはたくさんの関係者が挨拶に見えたり、ファンのひとがやってきたり。それに対応している岩城さんも、なんだか楽しそう。
「今回、これに出るって決めて申し込んでからもさ、筑波のひととかサポートしてくれるみんながすごくよくしてくれて、ありがたいよ。プライドワンでエアバッグつきのツナギ作ってもらってさ、久しぶりにツナギに着替えると、やっぱりしゃんとするね。やっぱりサーキットは楽しいよ」

画像: 決勝は12周 周回を重ねるごとにコーナリングスピードが上がっていました

決勝は12周 周回を重ねるごとにコーナリングスピードが上がっていました

そして決勝レースでは、山崎武(67歳)が好スタートを決めてホールショットを獲ると、新井亮一(66)、樋口幸博(63)、吉田功(62)に続いて、岩城さん5番手あたりでオープニングラップをスタート。山崎は去年のこの大会でも優勝しているライダーです。
その後、渡辺章二(60)、円谷伸(60)、久保隆(60)らを抑えて走っていた岩城さんですが、無理せず前に出して、結局13位でフィニッシュ! レースを終えた岩城さん、すごい楽しそうにヘルメットを脱いでいました。

――お疲れさまでした。
「おう、疲れたよー(笑)。暑かったなぁ、しんどかった」
――最初5番手くらいで走ってたのにね、後ろにいた人、前に出してましたね。
「うん、無理できねぇからな。CBRとかRC390、速いよな。それに前のレースがオイルもれで赤旗終了だっただろ、その残りが何か所かあって、すごい危ないトコもあったんだよ」
――いや、決勝も予選とほとんど同じベストラップでしたね。
「無理せずに、これくらいのペースで走れるバイクだよな。疲れたけど楽しかったよ」
――でも速かったっすよ、やっぱ岩城さんすげぇ、ってファンのみんな言ってた。
「バカ言え! 13位だぞ! 遅いじゃねぇか(笑)」
――でも最年長なんだから(笑)調べたら70歳代ではトップでしたよ。OVER70Kid’Sだったら優勝じゃないですか!
「そうやって年寄り扱いしてろよな、オマエは!(笑)」
――いやいや、たぶん日本一速い73歳ですってば!
「でもな、これだけみんなよくしてくれて『岩城が出るから盛り上がる』って言ってもらえたらな、また出ようかなって思っちゃうよな。いつまでもバイク乗っていたいしさ、レースももっと続けたいよ」

画像: 「月刊オートバイだろ オレを表紙にしろよな」って岩城さん わかりました、優勝したら表紙空けときます、って言っといたので、嘘はつかずに済んだようです

「月刊オートバイだろ オレを表紙にしろよな」って岩城さん わかりました、優勝したら表紙空けときます、って言っといたので、嘘はつかずに済んだようです

最後はニッコリと笑って締めてくれた岩城さん。実際、73歳でほぼノーマル390DUKEで筑波を11秒アタマで走るなんて、誰にでもできることじゃないし、ほんとすげぇなぁ、と。
いつまでもバイクに乗っていたい、レースももっと出たいなんてカッコイイこと言われちゃった、OVER60Kid’sだったのであります。こういうカッコいいオヤジ、私もなりたい。

岩城さんのバイクライフは、youtubeチャンネル「#51TV」でご覧になれます。かっちょいいセンパイのyoutubeチャンネル、ぜひ見てみて、チャンネル登録してみてください! このレースの模様も、きっとアップされると思います。

写真・文責/中村浩史
取材協力/#51TV https://www.youtube.com/@51tv52

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