文:太田安治/写真:赤松 孝
ヒットエアー「HDS-MS」テスト&レポート
普段使いできるエアバッグジャケット
1998年に世界初のエアバッグ内蔵ジャケットを完成させたのがヒットエアー。保護性能の高さは公的機関のテストで実証され、現在では世界各国の警察、国内外のバイクウエアブランドにエアバッグジャケット/ベストを供給している。サーキットはもちろん、ツーリングで着用しているライダーも確実に増加中だ。
ただし前後に配置されているエアバッグが走行風を遮るため、暑い時期の着用をためらうライダーが多いのも事実。ここで紹介する『HDS-MS』は表地をメッシュ素材として上半身全体の通風性を高め、暑い時期でも快適に着用できる。Lサイズの実測重量は約1.9kgとエアバッグ内蔵ながら軽量な仕上がりで、冬物ジャケットと同程度の着用感だ。
着用時はオートバイのフレームなどに装着したワイヤーをウエア側のバックルと接続するだけ。転倒などで約30kg以上の張力が掛かると、ボンベからCO2ガスが噴出して約0.1〜0.2秒でエアバッグが膨らみ、首、胸、背中、脇、臀部までを保護してくれる。
特に注目すべきはプロテクター類フル装備のライディングエアでも不可能な首(頸椎)の保護。ヘルメットを下から押し上げるように支えて首の可動域を制限するから、重い障害を招きやすい頸椎損傷やヘルメット帽体下部が当たることで起きる鎖骨骨折の抑止に大きな効果が期待できる。
CO2ボンベは自分で簡単に交換できるし、フード付きのカジュアルなデザインで街乗りやツーリングユースでも違和感なし。保護性能を優先する街乗りライダーにお勧めの一着だ。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
初期の製品から何度もテストしているが、新型が出るたびにエアバッグの展開時間、着心地、重量が確実に改良されていることを実感する。エアバッグユニット一式が簡単に外せるようになれば、家庭で洗濯して清潔・快適に着られそう。
文:太田安治/写真:赤松 孝