キャンプの定番レギュレーターストーブ
今回の記事は長いので、先に結論から。
レギュレーター機構が付いていると、低温下の点火性能について通常のニードル式より明確に有利。さらに低温時に限らず、ガス圧のコントロール、つまり安定性という面でも優位性があるのよ。
つまり結論としては、キャンプであれ山岳であれレギュレーターが付いている方が良いぞ。
結論
レギュレーター機構※は、点火性能、寒冷時性能、火力の安定性において圧倒的に有利なので、バーナー(ストーブ)を選ぶなら、レギュレーター機構付きが超オススメ。
レギュレーター及びマイクロレギュレーター
特にST-350にSOTOの最新CB缶であるCB TOUGH 220や125を組み合わせると、-5度まで対応。
これはもうCB缶ストーブの常識を超える寒冷時点火性能。
じゃあなんでレギュレーターがついてると良いのか。
そもそもレギュレーターってなんなのかを教えてもらおうってのが今回の記事。
実は取材前に色々調べたけど、正直よくわかんなかったのよね。
というわけでSOTO広報の坂之上さん、今回もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
レギュレーターとは
まずは、そもそもレギュレーターとはなんぞやってことから。
regulateつまり、整えるとか、調整するとかいう意味。レギュレーターは調節機構ってニュアンスね。自動で釣り合いを取ってくれる機構というイメージ。
バイクでレギュレーターといえば、なじみ深いのは電圧調整パーツ。
CT125とかスーパーカブはレギュレートレクチファイア。つまり電圧調整機(レギュレーター)と整流器(レクチファイア)を一体化したもの。
ちなみに内燃機関には燃圧レギュレーターとかフューエルプレッシャーレギュレーターという機構もあったりなかったりするよ。なんか検索してたらCBR929(SC44)にも、フューエルプレッシャーレギュレーターが装備されてるっぽい。
ほかには、ダイビングのボンベにもレギュレーターがついてる。これはボンベに入ってる高圧の空気を水圧に合わせて調整してくれる機構。
今回の主役、SOTOのバーナーについてるレギュレーターは、ボンベの内圧が高いときに減圧をすることでガスの出力を適切に調整するというもの。
比較的近いものだとプロパンガスボンベに使われる減圧器。これも構造的にはほぼ同じ考え方。逆に言えばガス圧レギュレーターの機構自体は昔からある構造なのよ。
ただ、これを小型バーナーに組み込んだ精度が凄いって話。
そういえばレギュレーターストーブってSOTOの特長的機構ってイメージがあるんですが、特許とかの問題ですか?
いえ、レギュレーターの機構自体は特許技術とかではないんですが、このサイズのものを作っているのは他では聞きませんね。
なんで低温時はガス圧が下がるのか
レギュレーター機構解説の前にもうひとつ前提として、ガス圧について。
さっきも軽く触れたけど、SOTOのレギュレーターストーブに装着されているレギュレーターは、ガスの出力をコントロールする機構なんだけど、具体的にはどういうものなんですか?
そうですね。
ガス圧が低下しやすい状態、つまり低温時やガス残量が減っている時にも、安定してガスを供給するという機構になります。
実際の使用感としては低温時にも良好な動作をするし、バーナーの炎も安定するという印象になるかと思います。
なるほどなるほど。
低温だったりガス残量が減るとガス圧が下がる理由についてもう少し教えてください。
わかりました。
ではまずCB缶の構造から説明させてください。
よろしくお願いします。
CB缶に充填されてるのはブタンで、弊社のパワーガスやCB TOUGHであればプロパンガスも配合されます。
ブタンは、より詳しく言うとノルマルブタン、イソブタンですね。
これらのガスは1気圧の常温では気体としてふるまいますが、気体のままだと内容量が凄く少なくなってしまいます。
内容量が少ないのは困りますね。
物質の三態つまり、個体・液体・気体の特徴として、気体は最も体積が大きいんですよ。
プロパンだと液体と気体の体積差は約250倍くらいになります。
逆に言えば、液化した状態で充填できれば内容量を多くすることができるわけです。
でも、1気圧の常温では気体になっちゃうんですよね?
そうですね。
ですので、圧力をかけて液化させます。
具体的には、プロパンなら8~9kg/cm2、ブタンは2~3kg/cm2の圧をかけると液化するんですよ。
なるほど、液化させてガス缶に充填することで容量も増えるし、押し込んで圧がかかってるので外気との気圧差でぶしゃーっと出てくるわけですね。合理的すぎてしびれますね。頭良いです。
そういえば、プロパンってのはいわゆるLPガス。これLiquefied petroleum gas(リキファイド ペトロリウム ガス)の略で。ペトロリウムは石油スーパーメジャーのBP(ブリティッシュ ペトロリアム)のPと一緒。石油って意味ね。つまり液体石油ガスっていう意味らしい。
自分はてっきりプロパンのPだと思ってた。
脱線しちゃったすいません。
とりあえずCB缶の構造はわかった気がします。
いやもう少し続きます。
圧力をかけて充填された液化ガスですが、ガス缶内が液化ガスで満たされているわけじゃないんですよ。
新品のCB缶を振ると中で液体動くのがわかると思います。
つまり、液化ガスと気化ガスが同時に存在している状態なんです。
なるほど、液化ガスで満たされてたら気化するスペースないけど、例えば半分くらい液化ガスを入れると残った空間は気化ガスで埋められるわけですね。
充填についても色々ありますが、ざっくりというとそういうイメージですね。
気化すると体積が約250倍になるので、これ以上気化できないというところまで気化します。つまり気化ガスが飽和した状態ですね。
こういう感じですね。
そうですね。
ここで重要なのは実際に燃料として使用するのは気化ガスなんですよ。
CB缶の内部にはL字パイプがあり、そこから内部圧力によって気化ガスのみが出る構造になっています。
つまり、L字パイプが正しい向きにないと気化ガスがうまく出られないので、CB缶を使う時はくれぐれも正確な向きでの装着に注意してください。
向きというと、この切り欠きにちゃんとハマってて、かつ切り欠きが上に向くような位置にしないといけないんですよね。
では、このブロックの本題。なんで寒かったり、残量が減るとガス圧が下がるの教えてください。
まず寒さについですね。
1気圧の常温では気体としてふるまい、圧力で液化させるという話をしましたよね。
圧力を掛けると液化しますが、それだけじゃなく温度が下がりすぎると液化が進むという特性もあるんですよ。
ノルマルブタンでいうと、-0.5度で液化します。
プロパンについては、-42度で液化しますので、寒さに強いガスと言えます。
せっかく圧力掛けて液化させたのに、今度は液化しすぎてもいけないって因果な話ですね。
ガスストーブの燃焼は、予混合燃焼(よこんごうねんしょう)といって、気化ガスと空気をあらかじめ混合させて燃焼させます。ですので、ガスが気化していないと成立しないんですよ。
ブタンが主原料の場合は、液化により-0.5度あたりで使用不能になる理屈ですが、-0.5度に近づくにつれ液化しやすくなるので、実際にはもっと手前の温度でも動作の安定性は損なわれます。
なるほど、液化すると体積が少なくなるので外に出ようとするガス圧も下がるんですね。
そういうことです。
外気圧とガス圧の関係、外気温など、複合的な要素がありますが、単純に同じ気圧状況であれば、低温の方がよりガス圧が下がるということになります。
その抜本的な対策として、CB缶自体を寒冷地耐性のあるものにしたのがSOTOのCB TOUGHなんですよね。
その通りです。
ですがそれはまた後程。
はーい。
次は残量が少なくなった時ですね。
これはなんとなくわかります。内容量が少ないから押し出す力が減っちゃうんですよね。
いえ、すみませんちょっと違います。
内容量が減ることによって、温度変化しやすくなるのが問題なんです。
ガス残量が少なくなることで、残量が多かった時より外気の影響を受けやすくなります。
ここで問題になるのは外気温が低い場合ですね。
よりガスが冷えやすくなる、つまり低温時と同じ状況になりやすくなります。結果的にガス圧が下がりやすくなるということです。
また低温時でかつガス残量が少なくなれば、より温度低下が進みやすくなり、ドロップダウン(気化不良により点火や燃焼ができなくなること)が起こりやすくなるんですよ。
なるほど、冷えやすくなるということは、ガスが気化しづらくなるので、内部圧力が低下することにつながって、結果として満タン時よりも火力が落ちやすいってわけね。
なので低温や残量の減少によって、CB缶から噴出する圧力は下がる、ってことね。
レギュレーター機構を解説
さて本題。お待たせしました。
SOTOのレギュレーターストーブのレギュレーター機構について。
ちなみに、それ以外のバーナー、いわゆる基本的な方式は何かっていうとニードル方式。
キャブレターでもおなじみのニードルですよ。
一般的なニードル式の構造
カットモデル提供は新富士バーナーさん。いたれりつくせりでありがとうございます。
いえいえ。
向かって左が火力調整ツマミね。ツマミを回すとニードルが前後に動く。
ニードルの移動量に比例してガスの出力が決まる。簡単。
イメージとしてはこんな感じ。
ツマミは正ネジが切ってあるので、左に回すと緩む=ニードルが手前に移動するのでガスの出力が増える。
右に回すと、ニードルが奥に行って流路を塞ぎ、最後まで締めこむと火が消える。
これ、家庭用のガスコンロと同じ操作なのよね。よくできてる。
時計回りで火が弱くなる、反時計回りで火が強くなる。のちほど触れるから覚えといてもらえるとありがたい。
レギュレーター機構の構造
お次は今回の主役。レギュレーター機構。
こちらも新富士バーナーさんにあったカットモデル。
ちなみに、SOTOのストーブに使用されるマイクロレギュレーターは2サイズあって、下記のものは、ST-330やST-350、さらにOD缶利用のSOD300S、SOD-310、SOD-331に搭載されるよりコンパクトなマイクロレギュレーター。
まずは見てみて。
ニードル式と比較すると遥かに複雑になっててわけわかんない。
球があるし。大小のスプリングにはさまれてるのはダイヤフラムかな。
左の大きいスプリングがアジャスタースプリングで、右の小さなスプリングは特に名称がなくスプリングと呼んでいます。
アジャスタースプリングとスプリングの真ん中にあるのは、おっしゃる通りダイヤフラムです。
よかった、あってた。
ちなみにダイヤフラムってのはダイヤフラムキャブレターに使われたりもするので、わかる人にはピンと来るかも。ゴムパーツとかの弾性を持った素材で、密閉を保ったまま外的な力である程度動いてくれる部品。薄い立体構造の丸ゴムなんだけど、ボヨンボヨン動く感じ。
簡略化した概念図はこんな感じ。もっとわかりやすくしたいけどこれが自分の限界。
もう全体的にややこしいので、一個ずつ解決していくよ。
調整ツマミの内部構造が違う
まず調整ツマミの内部構造が全然違うんですね。
ニードル式では、ツマミの回転をするとガスの流路が開きます。つまり、ツマミの回転量とガスの量(流路の開度)は常に比例するという言い方もできますね。
SOTOのレギュレーター機構では、ツマミを締めこむと金属球を介して大きいスプリング=アジャスタースプリングにテンションを掛けるという構造になります。
ですので、ツマミの回転量とガスの量は必ずしも比例しない、とも言えます。
なるほど。ツマミの回転量=アジャスタースプリングへのテンション量であって、ツマミの回転量≠ガスの出力ということですね。
そういうことです。
わかりにくいのは、締めこんでテンションが掛かるとガスが出るってとこ。ニードル式だと締めこむと火が消えますよね。
そうなんです。
一般的なニードル式だとツマミをねじ込んでいくと火が消えます。
しかしレギュレーター機構では、ツマミをねじ込むと火が強くなります。
ですので、レギュレーター機構でツマミを正ネジにしてしまうと、ツマミの操作感が逆になってしまうんですよ。
それでは操作ミスが発生させやすくなってしまうので、あえてツマミ部分を逆ネジにしています。
同じ操作感で使えるように、そんなとこまでこだわってるんですね。
ガスは自身のガス圧と弁棒によって流路を閉ざされてる
ではレギュレーターの挙動ね。ツマミを操作すると、どうやってガスが出て、レギュレーターってのはどう働いてるのか。
まずは全閉時。
ガスは流路に向かって進もうとしますが、下の3つの矢印の先にある弁棒(べんぼう)が閉じているのでそれ以上進めません。
つまりスプリングとガス圧によって押し付けられることで、流路が閉じています。
これがツマミ全閉時の状態です。
じゃあツマミを回して、ガスを出します。
逆ネジなので、左回りにツマミを回すとネジが締めこまれていきますよね。そうするとアジャスタースプリングにテンションを掛かるってことですね。
そうです、あっています。
アジャスタースプリングにテンションが掛かることで、アジャスタースプリングに押されたダイヤフラムが変形します。
変形したダイヤフラムに押されることで、今までガスを止めていた弁棒が右に押し出されます。
こうしてガスの通り道である流路がつながります。
これがツマミを開けてガスが流れるようにした状態です。
あれ、ダイヤフラムが右方向に変形すると、ダイヤフラム右にある金属パーツで流路が閉じるような。
ここ閉じちゃわないですか?
そこは金属パーツに3ヵ所の突起が設けられていて、流路が閉じないようになっています。
ほんとだ。よく見るとこんな感じでポッチが付いてる。
流路を通ったガスが、空気取り入れ口から入ってきた空気と混ざり合います。
予め(あらかじめ)、燃料と空気を混合してから点火するので、予混合燃焼と言います。
予混合燃焼についてもうちょっと知りたいですが、またそれは別の機会に。
ともあれ、これで無事点火するというわけですね。
ところで、主役であるところのレギュレーター機構はどこに作用してるんですか?
低温時やガス残量が少なくても安定動作する理由
ツマミを回すと、アジャスタースプリングを経由して弁棒が右に押し出され、ガスの流路が開きますよね。
ですが、その時には弁棒の頭にもガス圧は掛かってるんですよ。つまり弁棒を押して流路を閉じさせようとする力です。
なるほど、確かに流路に流れ込むだけじゃなく、弁棒を押しますね。
ガス圧が低い場合は、この赤矢印の力が弱くなります。
すると、相対的にアジャスタースプリングの力が強くなります。
アジャスタースプリングの力が強いということは、弁棒の右側への開度が大きくなります。
その結果、ガス圧が低ければレギュレーター機構によって自動的にガスの流量が増えるということになるんですよ。
逆に、ガス圧が高いと弁棒を押す力も強いので、開度が小さくなります。
まさに釣り合いなんですね。
でもちょっと待ってくださいね、ややこしいのでもう少し説明してもらっても良いですか?
大丈夫ですよ。
左側、調整ツマミによってテンションをコントロールされるアジャスタースプリング。
そして右側、ガス圧と弁棒部のスプリング。
この2点に注目してみてください。
ふむふむ。
スプリング同士の釣り合いによって、ダイヤフラムや弁棒の位置が決まりますよね。
ですが、右のスプリングに掛かる力というのはバネの力だけではなく、弁棒の頭を押すガス圧もありますよね。
つまり、アジャスタースプリングとスプリング+ガス圧の釣り合いによって、適切な流路の大きさを作りだしているんです。
なんとなくわかってきました。
釣り合いで流路の大きさが決まる構造なので、ガス圧の変化によって自動でガスの出る量を調整できるってことですね。
ざっくり言うとそういうことです。
ガス圧が高いほどガスの流路を閉じ、ガス圧が低いほどガスの流路が開くということになります。
ガス圧に合わせた最適なガス量に調整することがレギュレーター機構の役割になります。
なるほどなるほど。ガス圧が高い時はツマミを絞り、ガス圧が低い時はツマミを開けるというのを勝手にやってくれてるんですね。
その結果、気温が低くても安定して燃焼するということですか。
そもそも残量の減りとかに対しても細かく調整するから、結果として低い気温でも点火しやすく、安定した動作をするってことなんですね。
そういうことです。
このレギュレーター機構、つまり調整機構はさまざまな面で働いています。
ニードル式ではガス缶からバーナーまで一定の開度で直結していますが、レギュレーター機構では、ものすごく細かいサイクルで調整し続けています。
結果として、安定した燃焼を生み出しています。
気温が低くても点火して安定した燃焼をするという印象だったんですが、実際にはガス圧にあわせた開度調整を自動で行ってるってことなんですね。
レギュレーターストーブって標高何mまで実績あるの?
そういえば低温時ってざっくり言っちゃってるけど、標高高くなると気温下がるじゃないですか。
雑談までに、SOTOのレギュレーターストーブのって、どれくらいの標高まで使用実績あるんですか?
標高が上がると気温は下がりますが、同時に気圧も下がるという点も大きなポイントです。
前述したように、気温が下がるとガス圧は下がりますよね。
しかし、気圧が下がるとガス圧は上がるんですよ。外気圧に対してガス缶内部の気圧が相対的に高い状態になりますから。
あっ、ややこしいですね。でもレギュレーター機構がうまいことしてくれるはず。
興味本位ですが、どれくらいの標高まで使用実績ありますか?
レギュレーターストーブでいうと、OD缶を使用するSOD-310は確か標高約8,300mでも点火できたと聞いています。
8,300mってそれヒマラヤ山脈ですよね。地球上でそんな高いとこって他にないですよね。
そうですね、エベレストの山頂手前にある最終ベースキャンプで点火できたという話は伺っております。
たぶんですけど、大抵の人類はそこまで過酷な状況で使用しないような。
CB缶+レギュレーターストーブの場合は、標高何mくらいまで動作したとかってありますか?
これもエベレストですが、標高約4,900mのベースキャンプで動作したというのは確認されています。
8,300mよりはだいぶ近いような気もしますが、どっちにしろ凄い高さですね。
単純に標高だけでなく、気候やベースキャンプの状況などの要因でストーブ周辺の環境も変わりますので、一概に標高約4,900mで必ず点火できるとは言えないですけどね。
いや、そうかもしれないですけど、スケールがでかすぎてよくわかんないです。
確か日本で一番標高が高いキャンプ場がCAMP ONTAKEの標高2014mで、その次がしらびそ高原の標高1918mのはずなので、キャンプツーリング的にはなんかもうたぶん大丈夫だと思います。
低温でも動作するCB缶「CB TOUGH」
レギュレーターによる安定燃焼の理屈はこんな感じなんだけど、SOTOではストーブだけじゃなくCB缶自体についても性能を追求してるのよ。
最初の方で軽く出てきたやつね。
弊社ではもともとパワーガスという、通常のCB缶よりも寒冷地性能や強い火力を持ったシリーズをラインナップしてきました。
2024年はさらにCB缶のポテンシャルを追求した、CB TOUGHという、パワーガス以上の寒冷地性能を持ったガスボンベをリリースしております。
CB缶に対する熱い想いを感じます。
OD缶にはもちろんメリットがたくさんありますが、SOTOブランドについては、当初よりCB缶を使ったアイテムに力を入れていますし、思い入れもあります。
また、OD缶と比較して、価格面や汎用性の高さなど、CB缶の可能性を追求していきたいという想いは常にあるんですよ。
自分もCB缶大好きなので、すごく嬉しいです。
これがCB TOUGHですね。
そもそもCB缶は、OD缶と比較して低温時に弱いという側面があります。
これは構造的にOD缶の方が高圧に耐えることが可能な規格であるという点と、内部ガスの配合によるものです。
じゃあ構造から違うんですか?
構造的には、耐圧性能を高めるためにカシメ部分をより強度の高い構造にしています。また部材自体の厚みも、よりぶ厚い材料にしています。
耐圧性能を高めることで、SOTO製OD缶と同等のガス配合を実現し、さらにOD缶以上に軽量に仕上げられています。
通常のCB缶と比較して、缶の接合部、つまりカシメ部分がぎゅっと絞られてるのがわかるかな。
この構造により、これまで以上の高い耐圧性能を実現。そしてガスの配合もさらなる追求を進めることができたわけですね。まさに究極のCB缶って感じ。
ミーハーで申し訳ないんですが、個人的に気に入ったのがノズルカバーというか蓋の部分。通常のCB缶より凄くカッコ良いですね。
これも登山での使いやすさをイメージした部分です。
ザックにパッキングした際に、蓋が出ているとザック内で外れてしまったりするんですよ。ですので、フラットな形状にすることでそうしたリスクを減らしています。
また、CB缶特有の切り欠き部分をカバーすることで、怪我やギアの破損を防ぐようにしています。
カッコ良さじゃなくて機能なんですね。しかも使用時には底部分に引っ付けておくこともできる。これだけでも使う価値ありっていうくらい便利すぎるんですけど。
登山中に紛失してしまうのもリスクですからね。
耐圧性能の高いカシメにしたことで、蓋をクリップしやすくなってるんですよ。
全体的になにもかもが機能美すぎて、感覚がマヒしてきた。
もうひとつ、コスト的な面もすごく優れているんですよ。
OD缶は製造コストなどの点もあって、年々値上がりが大きくなっています。
そのため、近年ではCB缶のコスパの良さがより際立っています。
そうなんですね、では今以上にCB缶がキャンプや登山のスタンダードになっていくのかもですね。CB缶は、家のカセットコンロでも使えるし、ホンダなんかはCB缶発電機も出してるので、用途が広くて好きなんですよ。
最高の性能を引き出すためには新品を使おう
そうそう、CB TOUGHの寒冷地性能について教えてください。
寒冷地性能については、CB TOUGHとレギュレーターストーブTri Trail ST-350の組み合わせで -5度まで動作します。ただ、これはあくまでも新品のCB TOUGHを使用した場合です。
というのも、使用時には、より圧力の高いプロパンから先に出ていく性質があるため、使用していくとプロパンの配合率が低くなるんですよ。
なるほど、性能を発揮するには常に新品を持っていくのが重要そうですね。
でも、残っちゃったガスってもったいないですよね。
残ったガスについては、暖かい季節にお使いいただくことで問題なく利用できます。
また、弊社のHinotoをご活用いただくというのもオススメしたいです。
充填式のタンクに余ったガスを入れることで、ランタンとして無駄なく活用できますよ。
また欲しいもの増えちゃったじゃないですか。
CB TOUGHは凄くカッコ良いですけど、夏キャンプとかなら普通のCB缶でも良いんですよね?
もちろんその通りで、弊社でもレギュラーガス、パワーガス、CB TOUGHとラインナップしておりますので、用途に合わせて選んで頂ければと思います。
なるほど、なんとなくレギュレーターの凄さがわかってきました。
今回もありがとうございます。
レギュレーター機構を採用したCB缶対応シングルストーブ(バーナー)リスト
さて、レギュレーター機構について教えてもらったけど、じゃあ実際にレギュレーター搭載ストーブって何種類あるのか。CB缶に絞ってリストアップしていくよ。
いずれも名作揃いなので、使用シーンや好みに合わせて選択すると良いと思うよ。
SOTO レギュレーターストーブ ST-310
SOTOの代名詞的な存在であり、キャンプツーリングにも最適で、数多くのライダーに愛され続けている名作ストーブ。
ゴトクを兼用した脚は、デザインと機能性を両立させた構造。マイクロレギュレーターの採用による安定した火力と点火性能は、キャンプツーリングの頼もしい相棒だ。
SOTO レギュレーターストーブ FUSION ST-330
マイクロレギュレーター搭載でCB缶対応のストーブラインナップ中、唯一の分離型。ホースがある分、重そうに見えるが実際にはST-310やST-340よりも軽量。特にフライパンを使った焼きや炒め調理では、輻射熱によるガス缶の温度上昇が起こりやすいが、そうした場面でも分離型のメリットが発揮される。
SOTO レギュレーターストーブ Range ST-340
ST-310と似たスタイルだが、火口部分をΦ66mmの大口径にすることで火力を増大。調理器具に対してより広範囲に加熱することで、料理の効率もレベルアップ。また、点火アシストレバーの装備も嬉しいポイント。
SOTO レギュレーターストーブ TriTrail CB TOUGH 125セット ST-350TB
最新モデルのTriTrail。今年のはじめ頃、ものすごく話題になってたのでネットニュースやYouTubeなどで知った人も多いかも。
CB缶だけど登山にも対応。CB TOUGHと組み合わせることで高地や低温下でも動作可能だし、なんといっても超軽い。なんと重量135g。軽いだけでなく、点火アシストレバーの採用など、使い勝手も非常に高い。ゴトク兼脚部分はなんとチタン製。性能だけじゃなく、所有欲も満たしてくれる。最高。
さらにCB TOUGH125が同梱されたお得なST-350TBというセットも販売されてるよ。これは数量限定なので、お早めに。
さらに各機種の発熱量、使用時間、重量をまとめるとこんな感じ。
発熱量 | 使用時間※ | 本体重量 | |
ST-310 | 2,500kcal/h | 約1.5時間 | 330g |
FUSION ST-330 | 2,200kcal/h | 約1.5時間 | 250g |
Range ST-340 | 2,800kcal/h | 約1.4時間 | 360g |
TriTrail ST-350 | 2,200kcal/h | 約1.5時間 | 135g |
まとめ
レギュレーター部分の構造はもう本当に合理的すぎて、感動すら覚えた。機械的な構造なんだけど、圧に合わせて自動で調整し続けるってもはや芸術。
レギュレーターストーブを使用してる人はほんと自慢していいと思うよ。まじで凄いから。
レポート:若林浩志/取材協力:株式会社新富士バーナー