2024年7月11日に開催されたインディアン・モーターサイクルの新型スカウトファミリー発表会で個性あふれる5モデルが国内初登場。いずれも基本コンポーネントを巧みに共有化することで、カスタムも自在に楽しめるのが特徴だ。
まとめ:オートバイ編集部、宮崎敬一郎/写真:南 孝幸、松川 忍

新型「スカウト」シリーズ 一覧

幅広い層のライダーから愛されるインディアン・モーターサイクルのスカウトシリーズは、手頃なサイズと力強い走り、美しいスタイリングが自慢のミッドクルーザー。その魅力を引き継ぎ、正常進化させたのが新型スカウトだ。

アイコニックなアメリカンスタイル、伝統的なパワーと扱いやすさの好バランス、ライダーのことを考えた最新テクノロジーという3つの柱を掲げ、新型はエンジンのみならず、車体関係まで一新。幅広いニーズに応えるべく、個性豊かな5つのモデルバリエーションを用意し、さらに仕様に応じたグレードも設定。コンポーネントの共有化で純正アクセサリーを組み合わせて楽しめる、カスタムの自在さも確保している。

画像: Indian Motorcycle 101 Scout 税込価格:268万円 101スカウトは、かつて3年間しか製造されなかった幻のプレミアムモデルの名を冠したフラッグシップ。倒立フォークやブレンボキャリパーを採用し、走りを鮮烈にアピールするカスタムモデルだ。

Indian Motorcycle
101 Scout

税込価格:268万円

101スカウトは、かつて3年間しか製造されなかった幻のプレミアムモデルの名を冠したフラッグシップ。倒立フォークやブレンボキャリパーを採用し、走りを鮮烈にアピールするカスタムモデルだ。

画像: Indian Motorcycle Scout Bobber 税込価格:STANDARD 196万円|LIMITED 211万円|LIMITED+TECH 218万5000円~223万5000円 シリーズ中最も手軽に楽しめるモデルがボバー。メカニカルパートをブラックアウトし、前後にチョップフェンダーを採用、ストリートで映える迫力のローダウンスタイルを実現している。

Indian Motorcycle
Scout Bobber

税込価格:STANDARD 196万円|LIMITED 211万円|LIMITED+TECH 218万5000円~223万5000円

シリーズ中最も手軽に楽しめるモデルがボバー。メカニカルパートをブラックアウトし、前後にチョップフェンダーを採用、ストリートで映える迫力のローダウンスタイルを実現している。

画像: Indian Motorcycle Scout Classic 税込価格:STANDARD 201万円|LIMITED 216万円|LIMITED+TECH 228万5000円 ディープなクラシックフェンダーとワイヤースポークホイールを持った、優雅なスタイルのクルーザーがスカウトクラシック。リラックスしたポジションで走りをゆったりと楽しめる。

Indian Motorcycle
Scout Classic

税込価格:STANDARD 201万円|LIMITED 216万円|LIMITED+TECH 228万5000円

ディープなクラシックフェンダーとワイヤースポークホイールを持った、優雅なスタイルのクルーザーがスカウトクラシック。リラックスしたポジションで走りをゆったりと楽しめる。

画像: Indian Motorcycle Super Scout 税込価格:241万円 大型ウインドシールドやサドルバッグを装備、サスペンショントラベルも伸ばし、快適な乗り心地を確保したツーリングモデルがスーパースカウト。随所にメッキを施した上質さもポイントだ。

Indian Motorcycle
Super Scout

税込価格:241万円

大型ウインドシールドやサドルバッグを装備、サスペンショントラベルも伸ばし、快適な乗り心地を確保したツーリングモデルがスーパースカウト。随所にメッキを施した上質さもポイントだ。

画像: Indian Motorcycle Sport Scout 税込価格:STANDARD 202万円|LIMITED 217万円|LIMITED+TECH 224万5000円 19インチのフロントホイールとクォーターフェアリング、削り出しの6インチハンドルライザーを採用し、流行のクラブスタイルで仕上げられたスポーティな1台がスポーツスカウト。

Indian Motorcycle
Sport Scout

税込価格:STANDARD 202万円|LIMITED 217万円|LIMITED+TECH 224万5000円

19インチのフロントホイールとクォーターフェアリング、削り出しの6インチハンドルライザーを採用し、流行のクラブスタイルで仕上げられたスポーティな1台がスポーツスカウト。

画像: Introducing The All-New Indian Scout Lineup www.youtube.com

Introducing The All-New Indian Scout Lineup

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開発者インタビュー|オラ・ステネガルド氏

今回登場した新型スカウトファミリーのコンセプトと、5モデルそれぞれの魅力について、デザインを統括するディレクターのオラ・ステネガルド氏に聞いてみた。

画像: OLA STENEGARD(オラ・ステネガルド) 氏 Director OF INDUSTRIAL DESIGN,Indian motorcycle

OLA STENEGARD(オラ・ステネガルド)
Director OF INDUSTRIAL DESIGN,Indian motorcycle

シンプルでクリーンな造形で様々なスタイルを楽しめる

「インディアンは子供の頃から知っていました。アメリカからたくさんのブランドが生まれ、栄枯盛衰がある中で生き永らえてきた、強いブランドだと思います」

そう語るのはインディアン・モーターサイクルのデザインディレクター、ステネガルド氏。そんなインディアンのラインアップの中でも中核を担うミッドクルーザー、新型スカウトシリーズについて彼に尋ねてみた。

「スカウトシリーズは水冷エンジンを搭載した、スポーツライディングにフォーカスした位置づけのモデルです。企画当初からカスタムをキーポイントとして意識して、お客様が自分だけの1台を造って楽しめるよう、シンプルでクリーンな、真っ白なキャンバスのようなバイクを提供したいと考えました」

新型スカウトは全部で5モデルをラインアップしているが、その理由についても聞いてみたところ、このような答えが返ってきた。

「そのままですべてのお客様に100%満足していただけるということはありませんし、皆さん様々な使われ方をされ、色々なフレーバーを楽しんでいらっしゃいます。そこで、多種多様なニーズに合わせたモデル展開としました」

5つのラインアップに決めたポイントを尋ねる中で意外なエピソードも出てきた。

「実は、開発当初のラインアップは、スポーツ、ボバー、クラシック、スーパースカウトの4つだったんです。ただ、カスタムの重要性を考慮して、もうひとつあってもいいね、ということで誕生したのが101スカウトです。あのモデルは『ベスト・オブ・ベスト』と言うべき1台で、新型スカウトで『ドリームバイク』を造ったらどうなるか、というテーマで造ったモデルなんです」

新型スカウトシリーズは、スチールフレーム、エンジンといった基本コンポーネントを共有することで、アクセサリーの互換性を高め、さまざまな組み合わせでカスタムできるほか、幅広いライダーのリクエストにも応えられるようになっているという。

「これまでにはなかったミッドコントロールへの変更が可能になったのが大きな特徴です。ハンドルライザーの取り付けも可能になりましたし、体型的にもさまざまなライダーに楽しんでいただけるように進化しました」

画像: 新型スカウトのスタイリングイメージ。インディアンらしい造形のタンク上面からリアアクスルまでなだらかに伸びるキャラクターラインやS字を描くダウンチューブがポイント。

新型スカウトのスタイリングイメージ。インディアンらしい造形のタンク上面からリアアクスルまでなだらかに伸びるキャラクターラインやS字を描くダウンチューブがポイント。

アイコニックなスタイルを追求する一方で、スカウトシリーズは冷却フィンを持たない水冷エンジン。デザイン上、水冷であることをどう意識したかについても聞いてみた。

「チーフシリーズのような空冷エンジンは造形的にも特徴のある美しいエンジンです。ただ、水冷のスカウトシリーズにフィンを付けて空冷っぽく見せるようなことはしたくありませんでした。むしろ水冷であることにフォーカスし、コンセプトの核である、シンプルでクリーンな外観に仕立てようと考えました」

新世代のメカニズムを採用し、好みに応じて多様な楽しみ方が選べる新型スカウトシリーズ。最後に、ステネガルド氏に“お気に入りの1台”はどれか聞いてみた。

「カスタムイベントに出かけるならスーパースカウトですね。オールドスクールなルックスで、40年代後半のようなグラフィックが映えます。街に出かけるならクラブスタイルのスポーツスカウト。ドリームバイクの101でもいいですね。もっと気軽に出かけたいときはボバー、クラシカルなバイクショップに行くならクラシックを選びます…どれかひとつにしろ、というのは難しいですね(笑)」

画像: 川崎で行なわれた新型スカウトの発表会には、インディアン・モーターサイクルの副社長グラント・べスター氏(中央)、プロダクトマネージャーのカイル・ゴーデ氏(左)、デザインディレクターのオラ・ステネガルド氏(右)が登場。

川崎で行なわれた新型スカウトの発表会には、インディアン・モーターサイクルの副社長グラント・べスター氏(中央)、プロダクトマネージャーのカイル・ゴーデ氏(左)、デザインディレクターのオラ・ステネガルド氏(右)が登場。

「スカウト ボバー」インプレ(宮崎敬一郎)

精悍でスポーティな人気のボバーが10年ぶりに全面進化!

ここからは新型「スカウト」シリーズのうちの一台、「スカウト ボバー」の試乗インプレッションをお届けしよう。

画像: Indian Motorcycle Scout Bobber 総排気量:1250cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒 シート高:665mm 車両重量:246kg発売月:2024年7月 税込価格:STANDARD 196万円|LIMITED 211万円|LIMITED+TECH 218万5000円~223万5000円※撮影車両はLIMITED+TECHのカラーNara Bronze Metallic(223万5000円)

Indian Motorcycle
Scout Bobber

総排気量:1250cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
シート高:665mm
車両重量:246kg発売月:2024年7月

税込価格:STANDARD 196万円|LIMITED 211万円|LIMITED+TECH 218万5000円~223万5000円※撮影車両はLIMITED+TECHのカラーNara Bronze Metallic(223万5000円)

力強さと扱いやすさを兼備する充実の進化

インディアンの大人気モデルであるミッドクルーザー「スカウト」ファミリーがフルモデルチェンジした。エンジンは新設計で、そのルックスからして違う。排気量も1133ccから1250ccに拡大されて、パワーも前モデルの90HPから105HPに増強。トルク特性もフラットかつ強力になっている。

フレームもアルミのごついキャストフレームからスリムな鋼管製のものに変更された。つまるところ、まるで違うバイクに生まれ変わったわけだ。

スカウトファミリーには5モデルあり、装備内容によってそれぞれにグレードも設定され、ラインアップは非常に充実している。このボバーにもスタンダード、リミテッド、リミテッド+テックと3グレードが用意される。今回試乗したこのリミテッド+テックは豪華装備の最上級グレードになる。

そのルックスは、インディアン独特のエッジの効いたタンクをアピールしたワイルドなスタイルなど、発するオーラはこれまでのスカウトを踏襲。「らしさ」は十分に引き継いでいる。ただ、このボバーの車体は短くて低い。ボブフェンダーなどの効果だろうが、実にコンパクトなミッドクルーザーなのだ。デフォルメされることなく、スマートな雰囲気にまとめられているのも特徴だろう。

そして見た目通り、驚くほど軽い。重心の低さで取り回しも軽く、走り出してもクルーザーとは思えないダイレクトなハンドリングだ。もともとスカウトはカッチリしたフットワークが特徴のシリーズだったが、この新型はもっと機敏なのだ。

画像: 「スカウト ボバー」インプレ(宮崎敬一郎)

車体剛性バランスも大きく変わっているはずなので一概にはいえないが、サスも良くなって、乗り心地が向上している。短いリアショックのトラベル量はなんと51ミリ。さすがに大きな衝撃を喰らうのは苦手だが、それ以外の衝撃吸収能力がすばらしく、高速道路などの良路を走っている時は、まるで快適なツアラーのような乗り心地なのだ。

エンジンも軽快で、スタンダードモードでは6000回転あたりまで、スポーツバイクのパラツインのように、程よいパルスとクセのない軽やかで吹ける。さすがに増強されたというトルクのコシの強さもスゴく、クルーザーらしい「コク」ともいうべき味わいある。これまでとは微妙に違うキャラクターだが、軽快でスポーティな回り方は健在だ。

扱いやすく、6速で2200回転くらいから自在に使えるが、6000回転を越えるとパワーが爆発する。猛烈な吹けで8500回転あたりまで力を増やしながら勢い良く吹け、スポーツモードでは4000回転くらいから爆発するような特性。気楽に操るにはややパワフル過ぎるが、これが実に面白い。

生まれ変わったスカウト・ボバーは、力強く、扱いやすく、取り回しやすくなっただけではなく、スカウト本来の魅力をも引き継いでいた。いい進化だと思う。

画像: Scout Bobber | The All-New Indian Scout www.youtube.com

Scout Bobber | The All-New Indian Scout

www.youtube.com

「スカウト ボバー」ライディングポジション・足つき性

シート高:665mm
ライダーの身長・体重:176cm・68kg

画像1: 「スカウト ボバー」ライディングポジション・足つき性

試乗車はオプションのミッドコントロールを装着していた。スタンダードはフォワードコントロールで少し遠く感じていたが、ミッドでは自然に踏ん張れるし、かつヒザにも無理がない。足つきはこのクラスで一番いい。

画像2: 「スカウト ボバー」ライディングポジション・足つき性

「スカウト ボバー」各部装備・ディテール解説

画像: 従来型の面影も残しながら、精悍なフォルムに進化。3種類のグレードに合わせてボディカラーも設定され、ラインアップは全7色。

従来型の面影も残しながら、精悍なフォルムに進化。3種類のグレードに合わせてボディカラーも設定され、ラインアップは全7色。

画像: 実車は非常にコンパクトで取り回しも良好。試乗車はナラ・ブロンズメタリックの最上級グレード「リミテッド+テック」。

実車は非常にコンパクトで取り回しも良好。試乗車はナラ・ブロンズメタリックの最上級グレード「リミテッド+テック」。

画像: シリーズ中唯一、ヘッドライトナセルを備えた独特なフロントマスクが特徴。灯火類はすべてLEDで、バーエンドミラーも標準装備。

シリーズ中唯一、ヘッドライトナセルを備えた独特なフロントマスクが特徴。灯火類はすべてLEDで、バーエンドミラーも標準装備。

画像: 「リミテッド+テック」グレードのメーターは4インチの円形カラーTFT。3種のライドモードやスマホ連携機能なども備える。

「リミテッド+テック」グレードのメーターは4インチの円形カラーTFT。3種のライドモードやスマホ連携機能なども備える。

画像: 「リミテッド+テック」グレードは、いわゆるスマートキーである「プッシュスタート」を装備。キーフォブの仕上げも上質だ。

「リミテッド+テック」グレードは、いわゆるスマートキーである「プッシュスタート」を装備。キーフォブの仕上げも上質だ。

画像: 1250ccに排気量をアップした新設計エンジンのパワーは105HPに向上。試乗車はステップ位置を12cm後退させたミッドコントロール(オプション)を装備。

1250ccに排気量をアップした新設計エンジンのパワーは105HPに向上。試乗車はステップ位置を12cm後退させたミッドコントロール(オプション)を装備。

画像: 新型スカウトシリーズは全モデルとも右出しの2in1エキゾーストを採用。各モデルで仕上げは異なり、ボバーはブラックアウト仕様。

新型スカウトシリーズは全モデルとも右出しの2in1エキゾーストを採用。各モデルで仕上げは異なり、ボバーはブラックアウト仕様。

画像: 従来のアルミキャストに代わり鋼管製の新作フレームを採用。オプションでミッドコントロール(6万6260円、工賃別)も選択できるようになった。

従来のアルミキャストに代わり鋼管製の新作フレームを採用。オプションでミッドコントロール(6万6260円、工賃別)も選択できるようになった。

画像: ボバーはフロントに16インチのキャストホイールと130サイズのファットタイヤを採用。試乗車の装着タイヤはピレリ製のMT60RS。

ボバーはフロントに16インチのキャストホイールと130サイズのファットタイヤを採用。試乗車の装着タイヤはピレリ製のMT60RS。

画像: ネックからリアアクスルに向けてなだらかな弧を描くフレームに合わせ、リアショックもレイダウン。ショックはプリロード調整が可能。

ネックからリアアクスルに向けてなだらかな弧を描くフレームに合わせ、リアショックもレイダウン。ショックはプリロード調整が可能。

画像: シートはスポーティなソロシートが標準だが、全5モデルでシートレールを共通化しており、タンデム仕様に変更することも可能。

シートはスポーティなソロシートが標準だが、全5モデルでシートレールを共通化しており、タンデム仕様に変更することも可能。

「スカウト ボバー」主なスペック・価格

ホイールベース1562mm
シート高665mm
車両重量246kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ60度V型2気筒
総排気量1250cc
ボア×ストローク104×73.6mm
圧縮比12.5
最高出力79kW(105HP)
最大トルク108N・m/6300rpm
燃料タンク容量13L
変速機形式6速リターン
レイク角29.4°
トレール量125.2mm
ブレーキ形式(前・後)Φ298mmシングルディスク・Φ298mmシングルディスク
タイヤサイズ(前・後)130/90B16・150/80B16
メーカー希望小売価格STANDARD 196万円|LIMITED 211万円|LIMITED+TECH 218万5000円~223万5000円(消費税10%込)

まとめ:オートバイ編集部、宮崎敬一郎/写真:南 孝幸、松川 忍

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