文:太田安治/写真:島村栄二/モデル:平嶋夏海
フリーズテック「氷撃+ 充電式氷嚢ベスト」テスト&レポート
ペルチェデバイス採用で体幹部を直接冷却
「猛暑」を超える「酷暑」に見舞われている今年の夏。熱風をいくら浴びても涼しくはないし、信号待ちや渋滞は灼熱地獄。そうしたライダーの危機的な状態を緩和するために、電動ファンによる送風や気化熱を利用する冷却ウエアの人気が高まっている。
さらに近年注目されているのが、電圧を掛けると吸熱と放熱が起きるペルチェ素子を使用して積極的に温度を下げるアイテム。今回試したのは、各種の冷感ウエアがライダーに支持されている『フリーズテック』の新製品。シンプルな形状のベストに3個のペルチェ素子ユニットを配し、走行風を取り込めない背面から体を冷やす仕組みだ。
モバイルバッテリー(別売)を接続してスイッチを入れるとユニット表面の温度が急激に下がりだす。排熱用ファンからは稼働音が発生するが、オートバイに乗っているときはまったく気にならない程度のもの。テスト時の表面温度は外気温に近い32℃台だったが、1分後には16℃台に低下。電動ファンや気化熱利用ウエアのように胴体の温度をまるごと下げようとするのではなく、3箇所からの冷たさが背中から徐々に広がる感覚。
モードは「強」、「中」、「弱」と、強で10分稼働→2分間休止→強で再稼働を繰り返す「間欠」の4パターンがあり、連続使用時間は容量1万mAhのモバイルバッテリーと接続した場合、「強」で約3.5時間、「弱」で約6時間と発表されている。
ただし、通気性のないジャケットの下に着るとペルチェ素子背面からの排熱がジャケットの外に逃げにくくなり、効果が落ちる。個人的には冷感アンダーウエアと通気性の高いメッシュジャケットの間に着ることをお勧めする。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
ショルダー/チェストのベルト幅を広げれば着用感が軽くなるはずだし、長さの調整範囲がより大きくなれば体型に合わせやすい。発展形として最初から冷却ユニットを組み込んだライディングジャケットを開発してみてはどうでしょう?
文:太田安治/写真:赤松 孝、南 孝幸、島村栄二/モデル:平嶋夏海