関東屈指の最難エンデューロコース、クロスパーク勝沼の地方選になぜかYZ450FXで挑んでしまった稲垣。完走の前に、はたしてコースから戻ってこれるだろうか
悔しくて1週間後に自己リベンジ、東日本勝沼
エンデューロ東日本エリア選手権 第4戦 クロスパーク勝沼
7月7日
PHOTO/クロスパーク勝沼
だいたい、アローザから1週間でもう一回レースとか走り過ぎちゃうの? と思いつつも、アローザが楽しかったことからおまけにもう1戦エントリー。15年以上前に雨の勝沼のクロスカップか何かで新品タイヤを履いたTT-R125LWで走ったら、仲間内で最速だったことがあって勝沼はイメージ的にいいコースなのだ。僕は自分が難しい路面を得意としていると思い込んでいた。だから、今回はOff1編集部の伊澤女史に僕のいいところを見せつけてやろうと思って、無理矢理勝沼にエントリーさせた(これを、モトハラと言う)。
会場に着くと多くの知り合いから心配された。まず、バイクがヨンゴーであること。そしてタイヤがFIMエンデューロタイヤ(GX20)であり、さらにムースであること。今思うと、なんでこの組み合わせだったのだろう。タイヤに規制がないのだから、おとなしくM5B(ブロックが超高いハイグリップタイヤ)とか履いておけば良かったのに。FIMタイヤは悪くはない。FIMタイヤを使いこなせない者が悪いのだ。
前日の雨のせいでコンディションはつるつるのウェット。こういう日の勝沼は、いきなり足下すくわれるんだよな。知ってます。前述した根拠の無い勝沼への自信は、レース始まってすぐのルートの下りであっさり崩れ去った。つるつるでなければなんてことはない下りが、もう何をしても止まらない下りに(てかよくありますよね、そのシチュエーション。いまさらかよ)。フロントブレーキをちょっとかけただけで谷側に転ぶ僕。あきれる周りの人々。もがいていたら5分後くらいにスタートしたはずの伊澤が坂の上に見えた。まずい。非常にまずい。ここからは、もう本当にどうしようもなく走れなかった。最後の最後まで、走れたな! という瞬間がなかった。だいたいこういった地方選は、いつも取材会場で出会うライダーのみなさんが運営側にまわっていたりするんだけど、今回も件の下りで安喰好二さんが待ち構えていて爆笑されたりした。しかもよりによって、このレースからかっこいいからという理由だけでクローズドハンドガードを止めたのがよくなかった。転倒する度に、スピードが出ていないからハンドルを地面に突き刺すことになる。ダートトラックの世界的ライダー大森雅俊さんに言われたことあるなぁ、コーナーはハンドルを路面に突き刺すようにして旋回するんです、と。大森さん、たくさん今日はたくさん突き刺せましたよ〜(ちがう)。この突き刺さったハンドルを抜くのに、めっちゃ苦労した。
勝沼のオンタイムエンデューロは難易度が高いことで知られており、地方選をやってもオンタイムどおりになかなかレースが進まないことから、簡易オンタイム制を採用するようになった。簡易オンタイムというのは、通常のオンタイムのように1周の持ち時間が決まっているのではなく、レースを通して1日の持ち時間が設定されていて、いつ次の周に入ってもいいというもの。だが、そのルールをもってしても僕は完走に至らなかった。結果はDNF。本来6周のところを僕は5周でタイムオーバー。問題はそれだけではない。完走している人は、すくなくともテストを3分30秒くらいで走っていて中には3分切る人もいるのに、僕は最速でも4分8秒。1周しかできなかった伊澤でも3分34秒である。
この結果に悔しすぎて枕を濡らした僕は、1週間後に封印を解いたYZ125に新品のモトクロスタイヤを履いて再び勝沼の地に立った。数名同じようにリベンジ(というかタイム計ってくれるっていうんで遊びに来てただけだけど)に来ていたんだけど、レース当日よりもコンディションは悪化。こんなんでいけんのかいな、と思いながらコースインすると、もののみごとに4分14秒。上りで引っかかったりしたのもあるけど、あまりにひどい。計測のバイトに連れてきた小6長男も笑う。とにかくラインを見定めるのだ。なんとか3分30秒は切って帰るのだ、とタイムアタックを続けること1時間、3分43秒まで到達。そんな様子を見かねたクロスパーク勝沼のオーナー青柳さんが、ちょうどXRで走りに来ていたトップライダー戸田学人さんに「ラインみてあげなよ」と声をかけてくれたりして、戸田さんのマンツーマン指導付きのタイムアタックに。「もっとスタンディングすれば、バイクを倒せて曲がれるはずですよ」と貴重なアドバイスをいただき、3分28秒をマーク。もうこれで満足です……。
というような感じで、毎週ヨンゴーを楽しんでいる2024年です。うまくなりたひ。