台風や地震によってバイクが倒れてしまうと非常に悲しいので、駐輪時の転倒対策を考えてみるよ。

地震や台風に対しては、センタースタンドよりサイドスタンドの方が効果的

倒れる、とは

そもそもどうなったら倒れるかっていうと、物体が平衡状態を保てなくなる、つまり安定性を保持できなくなると倒れるってことらしい。

そこで重要になるのが支持基底面の大きさ重心の位置。外力によって、重心が支持基底面の外に出てしまうと、重心に掛かる重力によって倒れちゃう。逆に、倒れそうになっても重心が支持基底面の内側にあれば、重力によって元に戻ろうとするのね。

画像: 倒れる、とは

なので、支持基底面がより広く、重心位置がより低ければ倒れにくいはず。

というわけで、転倒対策で重要になるのは、支持基底面つまり接地面積の広さと、重心の位置になるはず。
これを踏まえて考えていくよ。

サイドスタンドとセンタースタンドを比較してみる

まずは駐輪の方法。センタースタンドとサイドスタンドだったら、サイドスタンドの方が倒れにくいと聞くけど、実際どう違うんだろ。

まずは接地面積、つまり支持基底面を見てみよう。実車だと大変なので、フジミの模型を使って、ソフト上で面積の計算をしてもらうことにするよ。

まずはセンタースタンド。
センタースタンド左右の接地部と、フロントタイヤを結ぶと画像上の計測で0.00017m2

画像1: サイドスタンドとセンタースタンドを比較してみる

お次はサイドスタンド。なんか実車より傾いてるような気がしなくもないけど、気のせいかな。
接地面積は、画像上の計測で0.00221m2

画像2: サイドスタンドとセンタースタンドを比較してみる

0.000117:0.000221ではなんぼなんでもわかりにくいので、もう少し見やすくしよう。
1:1.889になるので、約1.9倍

センタースタンドだと基本的に片輪しか設置しないので、おおよそ予想通りの結果な気もする。
つまり接地面積から見ると、サイドスタンドの方がだいぶ有利。

バイクの形状のままだとわかりにくいので、仮に特定の一点を頂点とした立方体にして見てみよう。頂点は暫定的にテールランプの上端中央ね。

サイドスタンドの傾きは約79度になったけど、自分のCT125はエンデュランスの強化サイドスタンドブラケットを装着してるので、ノーマルのスタンドだともっと倒れてるはず。さらにブラケットによって、サイドスタンドが横に張り出してるから、接地面積も大きくなってるはず。
ノーマルとは違ってしまうけど、ご容赦を。

画像: 前後タイヤとサイドスタンド接地部による三角錐

前後タイヤとサイドスタンド接地部による三角錐

画像: センタースタンドの2点とフロントタイヤ接地部による三角錐

センタースタンドの2点とフロントタイヤ接地部による三角錐

で、仮の立方体における重心位置を出せば、目安になるはず。

三角錐の重心位置を求めるには、各頂点座標の平均、らしい。もう難しくてお手上げ。
なんか色々調べたら高さの1/4の位置になるらしい。高さだけで考えれば良いのね。
そうなると、このへんかな。

画像1: 台風や地震など、万が一の災害時に備えて、駐輪時の転倒対策を考える。〈若林浩志のスーパー・カブカブ・ダイアリーズ Vol.288〉
画像2: 台風や地震など、万が一の災害時に備えて、駐輪時の転倒対策を考える。〈若林浩志のスーパー・カブカブ・ダイアリーズ Vol.288〉

重心位置が接地面積から飛び出すと倒れる。なので、接地部分約1.9倍の効果がかなり大きく見える。
画像だとわかりにくいけど、実際には傾いてる分重心位置も低くなってるはず。

底面積が広く重視位置も低い、ということでサイドスタンドの方が倒れにくという通説はやっぱり正しいんだな、という感じ。

ただ、バイクが傾いているということは、荷重の掛かり方も均一じゃないだろうし、左右前後斜め方向にも倒れるだろうし、タイヤやサスペンションによる外乱の吸収や重心の移動とか色々な要素があるので、あくまで参考までにということでお願いします。

よくわかんないので揺らしてみた

正直、これであってるかわかんないので、とりあえず模型を揺らしてみた。
模型だったら地面を揺らすのが簡単だからね。

画像: 揺らしまくってたらあちこち壊れた

揺らしまくってたらあちこち壊れた

左右に揺らしてみる

センタースタンドの場合、左右の揺れをセンタースタンドの幅で吸収しきれなくなると倒れる。幅が大したことないので割と簡単に倒れる。

サイドタンドの場合、左側=サイドスタンド側には揺れにくいものの、その反動で揺れは右側に出る。ただ、車体は左側に倒れてるので、意外と右には倒れない。倒れる時は、サイドスタンドの踏ん張りを越えた時。派手に倒れる。意外と右側には倒れなかった。

印象としては、センタースタンドはかなり倒れやすいけど、倒れる勢いは弱い。
サイドスタンドの場合は、センタースタンドよりかなり倒れにくいけど、倒れる時の勢いは強いって感じ。

前後に揺らしてみる

センタースタンドについては、前後に揺らすとセンタースタンドが外れて前に進んで倒れる。
直立してるからタイヤが綺麗に回っちゃう感じ。タイヤが回転して前後移動すると、センターは外れちゃう。

サイドスタンドは、前後の揺れにかなり強かった。サイドスタンドが外れて倒れると予想してたけど、意外と外れなかった。斜めになってるからタイヤが回りにくいのかな。あと、模型だからかも。
斜めに揺れた時に初めてサイドスタンドが外れる感じ。

総じて、センタースタンドよりサイドスタンドの方が、揺れや風などの外乱に対してして強いイメージ。ここでも、台風や地震対策でセンタースタンドっていう定番の意見はやっぱり間違いないみたい。ただ、これは模型なので実車でもやってみよう。

では、次に倒れにくくするためのアイテムを紹介していくよ。

フロントブレーキロックをしておこう

色々試した結果、タイヤによって前に進んでしまうってのが結構な問題なのよね。それによってスタンドが外れやすくなるわけで。
対策として、一番簡単なのはギアを一速に入れておくこと。とはいえ、ギア入れても少しは動くのよね。ブレーキなら間違いなし。さらにいえば、カブ系ってギアを入れても後方には動いちゃうよね、確か。なのでフロントブレーキロックがベストだと思う。

デイトナ(Daytona) バイク用 ブレーキロック 簡易パーキングブレーキ 傾斜地に駐車時の転倒抑止 フロントブレーキロック オレンジ 91712

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実際に車体を揺らして試してみたところ、センタースタンド、サイドスタンドのどちらにおいても一番効果の大きいアイテムだった。ギアを入れるのと違って全く微動だにしないのよ。揺らそうと思ってもそもそも動かない。

画像: そもそも前に動かないのでスタンドが外れない

そもそも前に動かないのでスタンドが外れない

装着も簡単だし、前後への動きをしっかりと予防できるし、コスパ最強。

イージーリフトアップスタンドで反対側からも支えておこう

左右に揺らしていると、揺れ続けてるうちにより大きく揺れやすくなるのよね。ブランコみたいな感じ。そのまま揺れ続けるといつかは破綻して倒れてしまう。
なので、サイドスタンドの反対側から支えることで、そもそも揺れないように支えてしまおうという考え。支持基底面を拡大するともいえるね。

デイトナ(Daytona) バイク用 メンテナンススタンド リア用 有効長255~370mm イージーリフトアップスタンド 97411

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サイドスタンドの反対側に付けたかったので、パイプ部分に付けてみた。
イージーリフトアップスタンドの先端部分は左右非対称なので、形状に合わせて向きを変えれるのが便利。

画像: イージーリフトアップスタンドで反対側からも支えておこう

これもブレーキロック同様、効果は絶大。
ただでさえセンタースタンドよりサイドスタンドの方が左右に揺らしにくいんだけど、イージーリフトアップスタンドで支えると、左右方向にはほとんど動かなくなっちゃう。

画像: 手で頑張ったけど、ちょっとやそっとでは揺れてくれない

手で頑張ったけど、ちょっとやそっとでは揺れてくれない

ただ、前後方向に動いてしまうとイージーリフトアップスタンドが外れやすくなると思うので、フロントブレーキロックとの併用することで真価を発揮するイメージ。

サイドスタンドの跳ね上げ防止

フロントブレーキロックがあればそう簡単にはスタンドが外れないけど、実際の台風とか地震だとタイヤが滑って動いして今うかもしれないし、そもそも外乱がどう影響するかは読み切れないわけで。
そこで、そもそもサイドスタンドが外れる方向に動かなくするアイテムがこれ。ケメコのサイドスタンド固定ベルト。

KEMEKO ケメコ 車両転倒防止サイドスタンド固定ベルト 地震対策 (ブラック)

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amazonが売り切れてたので公式オンラインストアのリンクも。

スマートだし、なんたって物理的にサイドスタンドが戻らなくなるってのは安心感が凄い。

とりあえずポチってみて、実際に装着してみるよ。
説明書によると、フォークに取り付けるよりも、フロントアクスルの方が安定するとのこと。幸いハンターカブにはアクスルカラーのおかげで十分な余裕があるので、そこに固定。

画像1: サイドスタンドの跳ね上げ防止

サイドスタンド側も都合良く輪っか部分があるので、こちらもぎゅっと固定。

画像2: サイドスタンドの跳ね上げ防止

そしたら前後のベルトを接続して完成。構造上、そこまで強く絞り上げることはできなかったけど、サイドスタンドの跳ね上がり防止としては十分な感じ。あんまりぎゅうぎゅうに絞り上げると、バイクの負担大きそうだし、ちょうど良いのかも。

画像3: サイドスタンドの跳ね上げ防止

見た通りの効果で、左右にゆすってスタンドが跳ね上がりそうになるのをとどめてくれる。
実は今回、手でゆすってみた分にはサイドスタンドは外れなかったんだけど、実際に台風や地震だと力のかかり方も違うだろうから、自分だったら災害時の転倒対策としては必ず装着しておくかな。

画像4: サイドスタンドの跳ね上げ防止

タイダウンでも代用できるかも

専用品じゃなくても、ロープやタイダウンでも代用できるかも。
ただ、タイダウンだとかなり強くテンションを掛けれてしまうので、サイドスタンドを壊さないためにもテンションを掛けすぎないのが重要っぽい。

ディーアールシー(DRC) T2カムバックルタイダウン 2本入り 傷付き防止ストラップ 外れ防止フック 車両固定 トランポ レッド D6422(旧品番:D36-05-430) ダートフリーク DIRTFREAK

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実際にやってみたけど、ケメコの車両転倒防止サイドスタンド固定ベルトよりだいぶゴツくなってしまった。
距離が短いし、タイダウンのラチェット機構もかえって使いにくいので、専用品のが良いね。

画像: タイダウンでも代用できるかも

強化サイドスタンドブラケットでサイドスタンドの安定性アップ

試していて思ったんだけど、自分のハンターカブについてるエンデュランスの強化サイドスタンドブラケットの効果も大きい気がした。
ノーマルのサイドスタンドって、寝すぎてるのでキャンプ場とかでひっくり返りそうだし、駐輪場でも傾きが強くてなんかイヤだったのよね。

で、装着してみたんだけど正直最高。唯一の欠点は、ちょっと思い。できればバイクを重くはしたくないんだけど効果が大きすぎて手放せない。ほんとオススメ。

画像: エンデュランス 強化サイドスタンドブラケット CT125・ハンターカブ JA65 amzn.to

エンデュランス
強化サイドスタンドブラケット
CT125・ハンターカブ JA65

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画像: エンデュランス 強化サイドスタンドブラケット CT125・ハンターカブ JA55 amzn.to

エンデュランス
強化サイドスタンドブラケット
CT125・ハンターカブ JA55

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寝すぎを改善してくれるだけじゃなく、設置位置も横にオフセットされるので安定性もアップしてるはず。

台風の時はバイクカバーも外しておこう

台風の場合は、強風による転倒なのでバイクカバーがついてると、より大きく風を受けちゃうのよね。
雨でビタビタになるのはイヤだけど、ひっくり返るよりはましなので、バイクカバーを外しておくのがオススメ。

実際にハンターカブで試してみた

揺らしてどうなるかって、写真だと伝わりにくいので動画にしてみたよ。

画像: ハンターカブの倒れやすさを試してみた|SUPER CUBCUB DIARIES - YouTube www.youtube.com

ハンターカブの倒れやすさを試してみた|SUPER CUBCUB DIARIES - YouTube

www.youtube.com

実際やって思ったのは、センタースタンドは前後にも左右にも簡単に倒すことができる。でもブレーキロックを使うことで前後方向にはかなり強くなる。
とはいえサイドスタンドよりは倒れやすい。横方向の弱さを対策できないからね。

サイドスタンドに関しては、エンデュランスの強化サイドスタンドブラケットとJA65用サイドスタンドのおかげか、手でゆすったくらいではサイドスタンドは外れなかった。一瞬外れるけど復活しちゃうのよね。ただ、そうは言っても外れたら倒れちゃうので、固定ベルトは装着しておくのがベストだと思う。
で、こちらもフロントブレーキロックは絶大な効果で、さらにイージーリフトアップスタンドを使うことで、横方向にも相当倒れにくくなった。

まとめ

色々試してみた結果、前後の揺れに対してはフロントブレーキロック、左右の揺れに対してはイージーリフトアップスタンドが物凄く効果絶大だった。
さらに車両転倒防止サイドスタンド固定ベルトを付ければ対策としてはかなりレベルが高いんじゃないかな。

抜本的な解決でいうと、そもそも倒れることができないようタイダウンなどで地面に固定したいところだけど、それは持ち家でないとさすがに難しそうなのよね。

レポート:若林浩志

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