Vストローム650XTの快適性が引き起こした不思議すぎる感覚
日の出と共に東京出発し、ソロで伊豆1周ツーリング。
あまりにも快適すぎて『Vストローム650XTってバイク乗りをダメにするバイクなんじゃ……』なんて思いはじめていたのですが……この後、すこし状況が過酷になっていきました。
過酷になった理由は気温を読み切れなかったこと。そして今回がぼっちツーリングで写真撮影もなにも全部ひとりでこなしていたこと。そのふたつです。
この記事を公開するころはもう気温もすっかり秋になっているだろうけれど、このツーリングの日は10月上旬でした。日によっては夏日レベルに暑い日もあった頃合いです。
快調に伊豆スカイラインを全線走り切って、それでもまだ午前9時前後。
こんなんじゃ日が高いうちに伊豆1周が終わっちゃうんじゃないの!? なんてタカを括っていた私(北岡)は標高の高い伊豆スカイラインから海沿いに降りた直後、ひとつの問題に直面したんです。
……暑い。
日が高くなるにつれて『なにこれ真夏!?」 っていうレベルにまで気温が上昇。
このツーリングの前の二日間くらいで一気に冷え込んだので「これは寒さ対策を万全にしないと!」と警戒した私はツーリングバッグ内に薄手のダウンジャケットを忍ばせていたくらいだったのですが……
夏用フルメッシュジャケットのほうがふさわしい高温の中、私はお気に入りのスズキ×クシタニ コラボジャケットを着ていたんです。
だってバイクの色が『ブルー/ホワイト』だったんだもん。お気に入りのジャケットが似合う予感しかしなかったんだよ……
煌めく太陽の光を受けてエメラルドブルーに輝く海の美しさの傍ら、私は汗だくになっていました。
なにもしていなくてもジリジリと体力が削れていく感じ……しかもこの先はまだまだ南下を続ける予定です。気温上昇、待ったなし。
私のライダー本能が『これはちょっと危ないぞ』と告げてくるので、暑さを少しでも避けるべく標高を上げてみようと細野高原を目指しました。勢い込んでソロで走りに出て熱中症……じゃ目も当てられません。
ちなみに細野高原へアプローチする道は細くて凸凹なのですが、Vストローム650XTはそんな道でも余裕です。足まわりのしなやかさとギア2速で走る際のエンジンの粘り強さがライダーを助けてくれます。
そのうえで木々の間を抜けていく間は日陰効果もあり快適! 大正解だと思って意気揚々と高原を目指しましたが……
ダメだ……直射日光を浴びる環境では暑さから逃げられん。
細野高原は中腹だと標高400mくらいなので、それほど下界との気温差が無いというのもあります。景色は最高なんですが、この日は無風だったので風も抜けません。
ここは無理せず、ジャケットを脱いで近くの四阿で水分補給と休憩を長めに。しかし、ミッション達成のために自らを叱咤し、再び走り出し……そこで気づいた。
なんか……走っている時のほうが身体がラクなんだけど……
適度な走行風でクーリングできているいうのも理由のひとつですが、それ以上に『快適な椅子に座って休憩している』ような感覚が強くあったんです。バイクで走っている最中にも関わらず!?
ホッとするような感じ。走っている間に休めるってこと? そんなことってある!?
実際の話、バイクを停めている間は写真も撮っていたりするのでけっこう動き回ります。バイクを撮影に適した場所に置いて、ファインダーを覗いて……これは私(北岡)のような立場に限定した話ですが『バイクを停めている時間』はある意味「仕事の時間」となる訳です。
でもわかった! すごい……Vストローム650XTなら移動中に休める!?
ソロだし無理は禁物ですが、その移動中休憩を有効活用しつつ下田を超え、南伊豆へ。
時間は正午を回って午後1時。時間的にも場所的にも暑さがピークに達するタイミングですが、熱中症を回避するための水分補給と物理的休憩に加えて『走りながら休む』という新技を駆使して伊豆半島の南端をクリア!
この時点で私はVストローム650XTのとんでもない快適性があるからこそ、ここまで来れているという認識を持っていました。
(下に続きます)
私の場合はあまり一般的ではない「普通のツーリングとは違う状況」かもしれませんが、旅の中でVストローム650XTは『つらい時に乗り手を助けてくれるバイク』だということが、少しでも伝わればいいなと思っています。
だってこの時、私の中でのVストローム650XTは完全に『頼れる相棒』だったから。
いける、コイツが一緒なら! 日帰り500km伊豆1周ツーリング……この旅は……俺はもう「ぼっち」じゃない!