ホンダ「NX400」での長野県阿智村キャンプツーリング最終日、この日は2つの目的があった。飯田市で開催される「モトカフェ木沢小学校」、静岡県森町で行なわれるデイトナ「茶ミーティング2024」をハシゴする!
文・写真:西野鉄兵

癒しのバイクイベント「モトカフェ木沢小学校」

予定よりも30分ほど遅れたが目的地の飯田市・旧木沢小学校に10時過ぎに到着した。すでにライダーが集まってきていた。

画像7: ホンダ「NX400」でゆく2泊3日のキャンプツーリング|3日目

ここでは「モトカフェ木沢小学校」というバイクイベントが年に数回開催されている。2024年度は全4回で、この日(9月28日)は3回目の開催日だ。10月26日にも行なわれる。

2015年から不定期で開催されてきた同イベントの魅力は、“癒し”に尽きると私は勝手に思っている。

現地ではコーヒーやジュースがチケットを買えば飲める、コンテンツは以上といってもいい。バイクイベントで定番の集合写真の撮影も、じゃんけん大会もない。

画像8: ホンダ「NX400」でゆく2泊3日のキャンプツーリング|3日目

主催者はもともと目の前の道・国道152号線のツーリングを楽しんでいた有志の方々だ。長野県上田市から静岡県浜松市へと繋がる国道152号線は“酷道”区間もある、ロマンあふれる道。いくつもの峠を結び、各所でたびたび通行止めにもなる。

ここ旧木沢小学校がある遠山郷のエリアは、秘境感が強い。日本のチロルと表現される「下栗の里」や、日本の三大アルプスが一望できる「しらびそ高原」も近い。

そしてなんといってもこの木造校舎がいい! 昭和7年(1932年)に建てられ、平成12年(2000年)に廃校となった校舎が、地元の方々や有志の方々によって守られており、いまも自由に見学できる。

そこには昨年まで長年に渡って、旅人をもてなしてきた校長先生がいた。地域猫の“たかね”ちゃんだ。私は2015年からたびたび訪れてきたのだが、いつもお出迎えしてくれた。

画像9: ホンダ「NX400」でゆく2泊3日のキャンプツーリング|3日目

2023年11月7日永眠。それは2023年度モトカフェ木沢小学校の最終開催日の翌週のことだったという。最後の大事な行事をしっかり見届けて、その後は地元の方々へ挨拶を済ませ、集落の人目の届きにくいところで、静かに息を引き取っていたそうだ。

立派なお墓がつくられていた。校舎の中には、たかねちゃんへの想いをつづるノートも置かれている。旧木沢小学校に関わるすべての人に愛されたアイドルだった。周辺にはほかにも地域猫が多いというが、ここに居つく猫はいまも現れていないらしい。

校舎のなかを約2年ぶりに歩いてみた。机や黒板、オルガンやさまざまな備品はそのまま残されている。地域の交流の場として活用されていることもあり、いつも前に訪れたときと微妙に様子が変わっている。その変化を見つけるのも面白い。

今回、将棋セットが置かれているのを確認できたのは、個人的に嬉しかった。指しかけのようで、謎の局面のまま放置されている。誰かと指せないかな、と少し留まってみたが、将棋に興味を示す人はいなかったので、これはまた次の機会に期待したい。

教室によっては資料館としても活用されている。体育館はけっこうな規模のイベントスペースにもなっているという。こんな自由な空間がある地元の方々が羨ましい。

校庭には訪れたライダーたちの愛車が並ぶ。年々、車両が新しくなってはいるが、みなさん旅慣れた雰囲気があるというのは、いつ来ても変わらない。

画像10: ホンダ「NX400」でゆく2泊3日のキャンプツーリング|3日目

いかんせんここは都市部から遠い。気軽に来れる場所ではないのだ。飯田市役所から35kmも離れており、分岐も多く小一時間はかかる。高速のインターからも同等の距離。東京都心からは約300km・5~6時間、名古屋からも約170kmで3時間、浜松からも国道152号を使って約100km・2時間半はかかる。そして地図で見るよりも実際は道が険しい。

都市部からの遠さと行きにくさが“ふるい”となり、ある意味で守られているとも考えられる。

だからここに無事たどりつくと、達成感がある。そこで飲む一杯は格別に美味い。

画像: ▲前回訪れた際はアイスコーヒーを頼んだので、今回はりんごジュースをオーダーした。チケットは事前にウェブでの購入が必要だ。

▲前回訪れた際はアイスコーヒーを頼んだので、今回はりんごジュースをオーダーした。チケットは事前にウェブでの購入が必要だ。

 

静から動、「茶ミーティング」へGO!

モトカフェ木沢小学校に後ろ髪を引かれるも、次の予定がある。静岡県森町のデイトナ本社で開催されている「茶ミーティング2024」をのぞきに行くのだ。

時刻は11時過ぎ、15時にイベント終了となる。14時くらいには着きたいと思い、ナビをセットすると、ぴったり14時着と表示された。行くぜ、茶ミ!

まっすぐ国道152号線を南下するのかと思っていたら、知らない道へずんずん案内される。朝やらかしたばかりなのに、まあいっかと思ってしまう。きっと国道152号線の難所・青崩峠を越えるよりもいい道があるってことでしょ。

画像11: ホンダ「NX400」でゆく2泊3日のキャンプツーリング|3日目

クルマが通れる吊り橋があったので、何となく渡ってみたくなった。パッと見には余裕だと思ったのだが、欄干の低さに怖気づく。

橋自体の幅はクルマ一台分だが、実際に走る板の幅は60cmほどのしかない。震えつつ「これがリアル一本橋か」と思いながら、下を見ないよう渡り切る。

渡った先は、とても大通りに繋がっている雰囲気ではなかった。戻らなくてはならない。教習車に採用されたバイクであることが頼もしく感じられた。

画像12: ホンダ「NX400」でゆく2泊3日のキャンプツーリング|3日目

国道418号から国道151号にスイッチする。たしかに国道152号よりペースはいいが、えらく遠回りしている感は否めない。

三遠南信道に入った。時間に余裕はある。あとはこのまま新東名に入って、浜松SAを越えて、遠州森町PAでスマートインターを下りれば、すぐデイトナだ。

「って、ETC車載器付いてないから、スマートインター降りられんだろがい!」

ナビがいけないんじゃない、私が悪いのだ。NX400にはETC車載器を標準装備してもいいじゃないでしょうかホンダさん、とは思う。いや全部、私が悪いんだ。

14時20分、デイトナ「茶ミーティング」会場着。あと40分でイベント終了だが、とりあえず間に合ってよかった。歯抜けに駐められているバイクを見るに、ピーク時はかなりの台数だったことがうかがえる。

ブースの展示数もすごい。そんでもって山を降りてきたから、ひどく蒸し暑く感じる。昨日おとといと貸し切りのようなキャンプ場や展望台ばかり訪れていたから、人の多さに動揺する。メインステージから聞こえる音の大きさにも、ひとりでブルブル怯えていた。

画像13: ホンダ「NX400」でゆく2泊3日のキャンプツーリング|3日目

オートバイ女子部のステージには、ぎりぎりで間に合ったが正面のスペースはすでに埋め尽くされていたので、端からパチリ。webオートバイのライブ配信チームがせっせと駆け回っている。仲間たちにやや申し訳なさを感じるも、風呂は昨日の昼が最後、全身汗だく髪べとべと、たぶん臭いもそれなりにするだろうから、あまり人には近づかないように広い場所を見つけて、遠目に見ていた。

 

落ち着いたモトカフェ木沢小学校もいいし、活気みなぎる茶ミーティングもいい。バイクイベントはさまざま、ツーリングのあり方もさまざま。だらっとキャンプからのイベントハシゴツーリング、この2泊3日はいろいろあって、いい旅だった。

画像: ▲茶ミーティングからの帰りはズバッと新東名で120km/h走行。NX400は一般道を60km/hで走るのも、高速を120km/hで走るのもどちらも気持ちいい。これが250ccでも大型バイクでもない400ccの素晴らしさだ。

▲茶ミーティングからの帰りはズバッと新東名で120km/h走行。NX400は一般道を60km/hで走るのも、高速を120km/hで走るのもどちらも気持ちいい。これが250ccでも大型バイクでもない400ccの素晴らしさだ。

画像: ▲新宿の自宅アパートに着いたのは19時17分。最終日の走行距離は420km、総走行距離は847kmだった。

▲新宿の自宅アパートに着いたのは19時17分。最終日の走行距離は420km、総走行距離は847kmだった。

This article is a sponsored article by
''.