まとめ:斎藤ハルコ/写真:夏目健司
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2024年11月号に掲載したものを一部編集して公開しています。
八代俊二×佐々木優太 開運ツーリングトーク
40年以上ずっと知らなかったサーキットと神社の関係
佐々木優太 (以下 佐々木) 今回はせっかく八代さんに「開運ツーリング」にご出演いただいたのに、走行距離わずか数キロの神社にご案内で申し訳ないです(笑)。
八代俊二 (以下 八代) いやいや。XR250でそんなに遠出するのもなんだし大丈夫。最初、伊奈冨神社と聞いた時は、鈴鹿市内⁉ って驚いたけどね(笑)。
佐々木 僕は八代さんのお住まいを知らなかったので、「もう伊奈冨神社しかない! 」と思って選んだんです。そしたらご自宅のご近所だったっていう(笑)。これまで何度か参拝にも上がられているとのことでしたが、どんな神様をお祀りしているかもご存じだったんですか?
八代 いや、知らなかったんですよ。神社行くの結構好きなんだけど、伊奈冨神社については4月にツツジが咲いてきれいとか、時節柄のことしか知らなくて。
佐々木 じゃあ伊奈冨神社の神様が最初に宿った場所がサーキット内なのも……。
八代 もちろん知らない知らない! ただ、神社の存在自体は知ってたのね。S字コーナーの外側、逆バンク手前の小高い丘にあるんだけど、昔はあの神社のあたりまでクルマで行けたんですよ。現役時代やテストライダー時代はね、鈴鹿サーキットは自分の家みたいなもんで、俺はそこら中を走り回ってたから(笑)。
佐々木 庭(笑)。僕はまだ東岡神社には参拝に上がったことがないんです。今は歩きでしか行けないみたいですね。
八代 当時は単純に、レースって危ない競技だから、安全祈願のためにサーキットに神社があると思ってた。でも今日はそうじゃなかったんだって知ることができて、すごく有意義だったな。現役当時、お参りに行ってて良かったと思ったもん(笑)。俺の知り合いでも、レースとかで亡くなった人は両手じゃ足りないからね。
佐々木 両手でも足りない……ですか。
八代 全然足りない。この業界に長いこといるからっていうのもあるだろうけどね。俺だって、一歩間違えば……っていうことが何回もあったから。俺は無神論者だけど、わからない何かに守られてるのかなって思ったことはあるよね。
佐々木 八代さんがレースをされてたのって、おいくつの時だったんですか?
八代 俺、レース始めるのは遅かったけど、辞めるのは早かったんですよ。21歳ぐらいから始めて、引退したのが29歳だったから。もともと「お願いしてまでレースやりたくない」ってずっと言ってたからね。
佐々木 その短期間で結果も残して、世界グランプリにも行って……ってめちゃくちゃカッコいいですね! ところで僕も子どもが3人いるからつい気になっちゃうんですけど、八代さんは双子の息子さんがいらっしゃるじゃないですか。息子さん達はバイクに乗らないんですか?
八代 うん。うちね、家の中にレースに関係するものが一切ないんですよ。トロフィーとか賞状とか全部捨てたし。
佐々木 へ~! それは奥さんとの約束だったとか、理由があるんですか?
八代 いや、現役やめてしばらくしたら俺がジャマに思っちゃったんだよね。
佐々木 でも現役時代とか、息子さん達から「お父さんカッコいい!」とか……。
八代 子どもが生まれてすぐレースやめたから、息子達は小学校に行くまで、俺がレースしてたことを知らなかったよ。
佐々木 そうなんですか⁉ じゃあ「お父さん、なんかバイクのお仕事してる」くらいの感じだったのかな。
八代 なんかバイクには乗ってるけど……ぐらいの感じだよね。家にいる時はずっといるし、いない時はずっといないしで、なんの仕事してるかはわかんなかったんじゃないかな。あと俺、レースやめて2年間は、働かないで育児してたんですよ。男の子の双子だったからね。
佐々木 あ~! 双子の男の子じゃ育児も相当大変でしたよね。じゃあレース引退後から2年以上して、モーターサイクルジャーナリストとして活動を始めたわけですね。今年からYouTubeを始めたのは、どうしてだったんですか?
八代 テレビの解説の仕事も長くしてるから、知り合いに制作会社の人とかいろいろいて、ずっと「やりませんか」とは言われてたんだけど、俺、あんまりプライベートをさらしたくないから断ってたのね。でも雑誌もテレビもどんどん予算がなくなって、俺はずっと鈴鹿に住んでるから、呼ぶとお金がかかるじゃない。そういうのもあって、「いよいよ自分でやんなきゃいけないな」って始めることにして。
佐々木 でも八代さんのこれまでの経験はレーサーとしても、ジャーナリストとしても、本当に濃いものでしょうから、取り上げるコンテンツには困らなそうですよね。
八代 まだまだレースの話が終わらないからねぇ……。俺としては、昔のレースの話とか、さっさと終わりたいけど(笑)。
佐々木 いやいや! 再生回数もどんどん伸びてるじゃないですか(笑)。自分もチャンネルやってるからわかりますけど、いまYouTubeを始めても、よっぽど目を引かないと再生回数ってほんと伸びないから、すごいと思います。
八代 あとはまだまだ穏やかな内容ばっかり話してるから、早く毒吐きたいかなぁ。だって俺、そんな優しい人じゃないからね(笑)。ハッキリ言うから「辛口インプレ」とか言われるけど、俺はウソはつかずに本当のことを言ってるだけだから、誰も文句は言えないんですよ(笑)。
佐々木 これからの八代さんの動画が楽しみです(笑)。再度のお伝えになりますが、今回参拝した伊奈冨神社の御祭神は食物の神様で、昔はお米が通貨だったと考えると、今でいう“商売繁盛”に直結する神様なんです。その神様にあやかって八代さんのYouTubeの登録者数や再生回数の増加に直結すればなと、神社ソムリエとしては願っております!
八代 なるほど、今日の参拝で劇的に増えるといいなぁ(笑)。でも本当にね、俺は40年以上も鈴鹿に住んで、鈴鹿サーキットに出入りしてるのに、東岡神社のことをちゃんと知らなかった。伊奈冨神社には何度も行ったし、釣り好きだから「つり上げ守り」を持ってたり、ちょっとした御縁はあっても、あまりに普通に近所の神社すぎて、普段は通り過ぎちゃってたんですよ。だから今日、伊奈冨神社とサーキットにはあんなに深い繋がりがあることを教えてもらって、すごく有意義な時間だったし、嬉しかったです。
佐々木 僕が言うのもなんですけど、伊奈冨神社と鈴鹿サーキットの関係って、全っ然知られてないんですよ(笑)。サーキットの近くには勝速日神社(かつはやひじんじゃ)という神社もありまして、“速”と“勝”が社名に入ってることから、海外のF1ドライバーとかにもすごく人気なんですね。もちろん「レースに勝ちたい」という方が勝速日神社に上がっていただくのはいいのですが、鈴鹿サーキットを走るのなら、まずは伊奈冨神社と東岡神社に参拝に上がらなくちゃ、ってなるくらい、この関係性をいろんなライダーに知ってほしいですね。
まとめ:斎藤ハルコ/写真:夏目健司
※神社境内での撮影は、特別な許可を得ています。
※この記事は、月刊『オートバイ』2024年11月号に掲載したものを一部編集して公開しています。