まとめ:大冨 涼
次世代のモビリティを担う様々な企業が参加、各社の取り組みを共有し合う場に
2024年10月15日に千葉県幕張メッセで開幕した「ジャパンモビリティ―ショービズウィーク2024」。今回はクルマやバイクなどのモビリティだけでなく、IT・エレクトロニクス産業を中心に行う企業の展示会「シーテック2024」と併催されました。
会場には、大企業からスタートアップまで200以上の企業がずらり。各社を代表する製品や次世代を担う新技術などを展示。
また、気になる企業同士で商談をすることができる「ビジネスマッチングエリア」など、産業の枠を超えて繋がることができ、企業向けの展示会ならではの工夫がなされていました。
国内4メーカーでは最新の電動モビリティを展示
国内のバイクメーカーであるホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4メーカーも今回のイベントに出展。サステナブルな社会の実現に向けて、EVモデルや特定小型原付モデルなどを展示していました。
以下では、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4メーカーの展示車両を紹介します。
ホンダ
クルマ・バイクがまとめて展示される区画では、2023年8月24日に発売された電動スクーター「EM1 e:」と、交換式バッテリー「ホンダモバイルパワーパック e:」のバッテリーステーション「ホンダパワーパックバッテリーチャージャー e:」が展示。
ブースでは"乗れるロボット"「UNI-ONE」が実演展示されていました。
一人乗りパーソナルモビリティとして1989年から開発が進められてきたこのモデルは体重移動で操作が可能です。実際の歩行者と同等のスピードで移動することができるため、子どもやお年寄り、足の不自由な方でも外出を楽しめるモビリティとなっています。
今回はこの「UNI-ONE」に乗りながらARコンテンツを体験。コンテンツ内では海の生き物たちに近づいたり、止まってエサをあげたりしましたが、AR内での動きと同じように「UNI-ONE」が動くので、体を動かしている感覚が味わえ楽しかったです。
ヤマハ
2024年1月12日~14日に開催された「東京オートサロン2024」でお披露目されたコンセプトモデルが進化して展示。以前は壇上での展示でしたが、今回はより近くで見ることができました。
このコンセプトモデルは、2人乗りのコンパクトモビリティで、畑や不整地などの悪路でも軽快な動きができるように設計されているそうです。
スズキ
クルマ・バイクの展示区画には電動スクーター「e-バーグマン」が展示。原付二種に区分されるモデルで、2023年4月から株式会社Gachaco(ガチャコ)の交換式バッテリーシェアリングサービスを使用して実証実験が行われていました。
スズキブースでは、特定小型原付モデル「SUZU-RIDE」とそのビジネスモデル「SUZU-CAGO」がお披露目。電動キックボードの魅力である“軽さ”はそのまま、タイヤが4輪となり安定感の向上が図られていました。
また、カーボンニュートラルへの取り組みのために水素燃料電池に関する技術や製品に関わる事業者とのマッチングを狙っており、燃料電池の活用事例を示すパネルの前には燃料電池の搬送車両のコンセプトモデル「水素燃料電池荷役運搬車」が展示されていました。
カワサキ
カワサキは、2023年9月21日に発表されたEVバイク「Ninja e-1」を展示。
国内4メーカー唯一のフルカウルをまとったスポーツタイプの原付二種ということで注目を浴びたモデルです。2024年1月13日に発売されており、すでに街中でも見かけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特定小型原付のラインナップが増加! 様々な企業の車両をピックアップ紹介!!
オートバイの展示が少なめだった一方、2023年7月から新たに設けられた車両区分・特定小型原付のモデルが豊富に展示されていました。
個人への普及やシェアリングサービスへの導入を狙ったモデルや、配達業務用にカスタムされたモデルなどラインナップは様々。これまで原付規格だった電動モビリティを新たに特定小型原付へ対応させる動きもちらほら見受けられました。
以下では、特定小型原付をはじめ、会場で気になったEVモデルなどをピックアップ紹介していきます。
SWALLOW合同会社
2019年に設立したSWALLOW合同会社では、電動キックボードをはじめとする特定小型原付を多数ラインナップ。展示車両はどちらも特定小型原付で、今後は二輪型モデルの拡充を図り、シェアリングサービス、レンタルビジネスに役立てる方針だそうです。
「フィード L3 プロ」(写真左)は、大容量バッテリーを搭載しており、現時点で特定小型原付トップの航続距離120kmの性能を発揮。すでに発売されている「フィードQ1S」(写真右)はシートとハンドルの間に荷物入れも装備。オプションでフロント部分にもバッグを装着することができます。
Future株式会社
自社で車両、モバイルアプリケーションの開発を行うFuture株式会社は、“キックしないボード”というキャッチフレーズの特定小型原付「フューチャーボード」を展示。
フロントには衝撃吸収性に優れたサスペンション、パワーユニットにインホイールモーターを搭載し、従来の電動キックボードよりも快適性・走行性能を向上させました。屋根やリアボックスの追加、タイヤの太さを好みに応じて変えられるなどカスタムできるポイントも魅力です。
株式会社ブレイズ
これまで様々なEVモデルをラインナップしてきた株式会社ブレイズは、原付モデルの「スマートEV」を特定小型原付化。クラウドファンディングサイト「Makuake」でも人気を博していた「スマートEV 特定小型原付モデル」が展示されていました。
折り畳み可能となっているこのモデルは、重量も約20kgほどで、私でも簡単に持ち上げることがきました。斬新なスタイリングでしたが実際に座ってみると安定感は抜群。耐荷重は120kgとのことです。
株式会社ICOMA
スタートアップ企業のモビリティ実演エリアでは、株式会社ICOMAの「タタメルバイク」が展示。社名は代表取締役を務める生駒社長のお名前から取ったそうです。
製品名のとおり、四角形のボディにハンドルや車輪などを収納することができる''タタメル''バイクとなっています。ボディ部分はラッピングなどで自由にカスタムすることができるのも魅力です。
こちらは公式サイトですでに販売されています。電動バイクなので原付に乗ることができる免許が必要です。
glafit株式会社
10年以上前から国内で電動モビリティを販売していた、電動バイク界のパイオニアメーカー・glafit株式会社もフラッグシップモデルと最新モデルの2台を展示。
''都合のいいバイク''として定評のある「GFR02」(左)は、普段は原付、駐輪場に止めたい時はナンバーをカバーすることで自転車として駐輪することが可能で、時と場合に合わせて合法的に車両区分を変えることができるモデルです。
また、これまで特定小型原付モデルとして電動キックボードをラインナップしていた同社ですが、新たに「NFR-01 PRO」(右)を発売。幅広い層が気軽に乗れる二輪車タイプとなっています。
Hundredths株式会社
Hundreths(ハンドレッス)株式会社は、東京工科大学工学部機械工学科の学生とのコラボレーションブースを展開。同社が運営するブランド・エベサーの特定小型原付「チャットカート」に、学生が水素燃料電池システムを組み込んだ実験車両が展示されていました。
実験は、水素燃料電池システムとバッテリーを併用することで、バッテリーだけのモデルよりも長い航続距離を確保できるのではないか? という学生の発想から始まったそう。
実際の走行にあたって、出力の問題やパワーを変換する回路などの設計・開発など、まだまだ課題は山積みとのこと。サステナブルな社会の実現への研究のひとつとして、今後も実験を続けていくそうです。
株式会社西川精機製作所
シーテック2024の会場で、株式会社西川精機製作所が展示していた開発中のモデル。クルマのような見た目ですが、水素を燃料に走る特定小型原付です。
燃料補給には水素ステーションを使用せず、専用の水素カートリッジを使用します。このカートリッチタイプの補給であれば、取り換えに資格・免許がいらず、16歳以上であれば誰でも気軽に乗ることができます。
車体にドアは存在せず、ボディ全体が前方に開く設計となっているそう。左右が狭い場所でも乗り込みやすいつくりとなっているのがポイントとのことでした。今後は車内の暑さや風の対策など、より快適に走行できるよう開発を進めていくそうです。
番外編:エイム・テクノロジーズ株式会社
「ルンバ」をはじめ、世の中には様々なお掃除ロボットが販売されています。写真の「KIRARA」もそのひとつですが、これがまたすごいんです!!
「KIRARA」は、エイム・テクノロジーズ株式会社が開発した日本初のエレベーター連携可能な清掃ロボです。ビルやマンションなどのエレベーターやセキュリティドアなどと連携することで、複数階の清掃がこれ1台で可能になるそうです。
清掃終了時やバッテリーが少なくなると自動で給電スポットに移動するのはもちろん、「バキューム」「モップ」「スイープ」「スクラブ」のお掃除モードを搭載。状態にあった方法で汚れを落としてくれるようですよ。ウチの会社にぜひとも欲しいですね。
まとめ:大冨 涼