文:太田安治/写真:南 孝幸
「オートバイを楽しく快適に操る」がアエラの開発ポリシー
日本はもとより、欧米からアジア圏まで着実に支持者を増やしているのがAELLA(アエラ)ブランドのオリジナルパーツ群。カスノモーターサイクルを含めたアエラホールディングスグループの総帥である糟野雅治氏は、1960年代から1990年代まで長きに渡って活躍したロードレースライダーだが、1992年に創立されたアエラが展開している製品はレース用パーツとは一線を画したつくり。その製品コンセプトを感じさせるのが、ライディングポジションを決める最重要パーツのハンドルとステップだ。
アフターパーツの多くはハンドルを低く、ステップ位置を高くかつ後退させてライダーの前傾度を深め、スポーツライディング適性を高める仕様。しかしアエラ製品は平均的な日本人の体格、現実的な走行状況を前提として、オートバイとライダーの一体感を深めることにこだわっている。
「ライディングステップ」は、ライダーの体格と好みに応じてステップバー(ペグ)の位置とペダルの高さを細かく調整できるうえ、車種に合わせたレバー比の設定、可動部のガタつきを排除するベアリングの採用、雨天時でも滑りにくいステップバーの切削加工、操作感を左右するペダル先端のラバーまでを自社開発するという、一切の妥協を許さない仕上がりに定評がある。
人気急上昇中の「可変ハンドル」は、商品名が示すように絞り角・高さを調整できることが特徴。汎用仕様の製品では絞り角を3段階に変更可能。絞り角が変わればハンドルからライダーまでの距離、ハンドル幅も変わり、さらに4種類用意されている高さ調整スペーサーを組み合わせることで自分に最適なポジションが得られる。
ほかにもエンジンブレーキの効きを最適化する内圧コントロールバルブ、油圧式クラッチの操作力を軽減するクラッチレリーズシリンダー、不快な振動を軽減するハンドルバーエンドチタンカラーといった製品が用意されているが、「オートバイを楽しく快適に操る」というアエラの開発ポリシーは共通だ。
アルミ削り出しのパーツはアジア圏をメインとする海外製も多く輸入されていて、中には精度や耐久性に難のある製品も見受けられる。楽しく安全なライディングのためには、見た目のカスタム感や価格に惑わされず、各部の品質をしっかり見極めることが重要。アエラ製品を手に取れば、真摯な物作りの姿勢を感じ取れるはずだ。
「アエラ」パーツの魅惑的なエッセンスが光るZ900RSを紹介
アエラの日本車用パーツはカワサキ車からスタート!
アエラはグループ内にドゥカティやBMWの正規ディーラーがある関係から、輸入車向けの製品を幅広く展開してきた。しかしアエラ製品に対する評価が広く認知されたことで日本車用パーツを望む声は増える一方、より多くの本物志向ユーザーにアエラ製品を届けるため、カワサキZシリーズ、ニンジャシリーズを手始めとして順次ラインアップを広げることになった。
上の写真はZ900RSは大好評のライディングステップと可変ハンドルを始め、転倒時にエンジン各部の損傷を防ぐカバーガード、フレームやアクスルのスライダー類、チタン製キャリパーボルト、ラジエター/オイルクーラーのステンレス製コアガード、ギアーズとコラボによるリアサスペンションユニット、ワイバンとコラボしたチタンフルエキゾーストシステム、ダイマグの前後ホイール、エンスージアストの間で話題になっているオーバーサスペンションを装着したアエラのデモ車。
Z900RSのカスタムを考えている人なら「究極の一台」と感服するはずだ。
Z900シリーズの他にもZ650RS、ニンジャ1000SX、ZX-4R/ZX-4RR、ZX-25R用パーツも用意されている。もちろん輸入車用と同じく、機能性、耐久性、美しさに関する妥協は一切なし。さらにアエラファンが増えることは間違いない。
BMWとドゥカティのディーラーも展開するアエラホールディングス
1974年、京都にバイク販売店をオープンさせてから50年。節目となる2024年にパーツブランド「アエラ」はホールディングス化し、カスノモーターサイクルをはじめ、ドゥカティ京都、BMWモトラッドカスノの外車ディーラーも運営している。
文:太田安治/写真:南 孝幸