2024年10月18日から20日にかけてオーストラリアのフィリップアイランド・サーキットにてMotoGP第17戦オーストラリアGPが行われた。最終戦が迫る中、迎えるはアジア・パシフィックラウンドの3戦目。伝統のフィリップアイランド・サーキットでの1戦はこのサーキットが得意なマルク・マルケス(Gresini Racing MotoGP)が躍動した。

マルティンが圧倒的な速さでスプリント制覇!

タイトル争いも佳境を迎える中、ランキング首位のホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)がポールポジションを獲得。2番グリッドにマルク・マルケス、3番グリッドにはマーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)がつけた。

10ポイント差を追うランキング2位のフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)は5番グリッドと予選では振るわず、レースでの追い上げに期待がかかる。

曇り空が広がるも気温14度、路面温度26度のドライコンディションの中、13周のスプリントレースがスタート。

画像: 得意のスプリントで序盤から逃げにかかるマルティン。

得意のスプリントで序盤から逃げにかかるマルティン。

マルティンがホールショットを奪い、マルコ・ベッツェッキ(Pertamina Enduro VR46 Racing Team)とバニャイアがスタートを決め、それぞれ2位と3位に浮上する。

マルティンが序盤から後続との差を広げる中、スタートで出遅れたマルケスがハイペースで周回。8位にまでポジションを落としたものの、4周目には4位に浮上し、トップ3にも迫っていく。

マルティンがベッツェッキとの差を1秒に広げ、これ以上逃したくないバニャイアがベッツェッキをパスし2位に浮上。2位に上がったバニャイアだったがマルティンとの差は詰まるどころか拡大していく。

ペースが上がらないバニャイアにベッツェッキを攻略したマルケスが背後に迫り、8周目にオーバーテイク。バニャイアはチームメイトのエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)にも抜かれて4位まで後退。スプリントとはいえ、タイトル争いを考えると厳しい戦いになってしまった。

レースも残り2周となったタイミングでアクシデントが発生。ホームストレートでビニャーレスが前に出るも、ビニャーレスの背後でフロントのダウンフォースが抜けてしまったベッツェッキが止まりきれず衝突してしまったのだ。300km/hを超える接触事故だったが、幸いにも両者に意識があり事なきを得ている。

画像: 元F1ドライバーのマーク・ウェーバー氏がチェッカーを振る中マルティンがトップでフィニッシュ。

元F1ドライバーのマーク・ウェーバー氏がチェッカーを振る中マルティンがトップでフィニッシュ。

2位のマルケスが追い上げるも、マルティンがレースを通して築き上げたマージンを覆すことができず順位はそのままでフィニッシュ。マルティンがスプリント優勝、マルケスが2位、バスティアニーニが3位に入っている。

バニャイアは4位でゴールするも、マルティンとの差は16点に広がってしまった。

画像: 1997年のホンダ以来となる表彰台独占記録を更新し続けるドゥカティ勢。

1997年のホンダ以来となる表彰台独占記録を更新し続けるドゥカティ勢。

アクシデントもなんのその! マルク・マルケスが今季3勝目を飾る

決勝レースではスプリントレースで転倒し左肩を脱臼したペドロ・アコスタ(Red Bull GASGAS Tech3)が欠場となった。

またスプリントでのビニャーレスとベッツェッキの接触に関してはベッツェッキに非があるとして決勝でのロングラップペナルティが科されている。

気温15度、路面温度30度のドライコンディションの中、27周の決勝レースがスタート。

画像: 思わぬアクシデントで大きく出遅れてしまったマルケス。

思わぬアクシデントで大きく出遅れてしまったマルケス。

マルティンがホールショットを奪いトップをキープする一方、2番グリッドスタートのマルケスがホイールスピンで大幅に順位を下げてしまった。これはスタートまでにバイザーに虫が付着したため捨てバイザーを剥がした際に、リヤタイヤの下に滑り込んでしまったために起こってしまったのだ。

マルティン、以下、ベッツェッキ、バニャイア、ブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)の順でトップ集団が形成される。4周目にベッツェッキがロングラップペナルティを消化したことで、バニャイアが2位に浮上した。

その後方ではスプリント同様にマルケスが強烈な追い上げをみせ、早くも4位にまでポジションを回復。6周目にはすでに表彰台圏内に入り、なおもペースを上げていく。

そして10周目にはバニャイアの背後についたマルケスはバトルを繰り広げながらもマルティンとの差を削っていき、12周目には3台によるトップ争いが繰り広げられることになった。

画像: 大得意のサーキットでマルティンを追い詰めるマルケス。

大得意のサーキットでマルティンを追い詰めるマルケス。

一時バニャイアがトップに立つシーンもあったが、マルティンがトップを奪還。その隙をついたマルケスも2位に上がり、バニャイアは3番手に後退してしまった。

その後、バニャイアのペースは落ちていき、優勝争いはマルティンとマルケスに絞られる。すぐに仕掛けようとはせず、マルティンの背後でタイミングを図っていたマルケスだったが、残り4周のターン4立ち上がりでマルティンをオーバーテイクしトップに浮上した。

次の周回にはホームストレートでマルティンが抜き返すも、マルケスが同じくターン4で再びオーバーテイク。トップに立ったマルケスはその後マルティンに隙を与えずトップチェッカーを受けた。

画像: タイトル争いを繰り広げる2人に割って入ったマルケス。復活を期すシーズンで今季3勝目を挙げた。

タイトル争いを繰り広げる2人に割って入ったマルケス。復活を期すシーズンで今季3勝目を挙げた。

マルケスに抜かれたマルティンはタイトル争いを考慮しリスクを犯さず2位でフィニッシュ、バニャイアが3位でゴールしたため、両者のポイント差はさらに20ポイントにまで広がっている。

今回マルティンに先行を許したバニャイアだが、続くタイとマレーシアには自信を覗かせている。いずれにせよ、今年もタイトル争いは最終戦で決着がつきそうだ。次戦は10月25日から27日にかけて行われるタイGP。マルティンがさらにポイント差を広げるのか、それともバニャイアが巻き返すのか、見逃せない戦いは続く。

2024 MotoGP 第17戦オーストラリアGP 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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