JSB1000チャンピオン争いは木曜日からスタート!
この週末は、鈴鹿サーキットで、全日本ロードレース最終戦「MFJグランプリ」が行なわれています。気になるお天気は、はっきりしない曇り空で、木曜からの走行で、木曜夜にひと雨降って、金曜朝がハーフウェット始まりで、日中は雨が落ちてきてはいない鈴鹿です。
きょう土曜からは公式スケジュールがスタートし、朝から各クラスの公式予選、それにJSB1000クラスのレース1、JP250の決勝レースが行なわれます。JSB1000クラスは、きょう明日と決勝レースが行なわれる2レース制なんですね。本誌イチオシのJP250クラスは、前戦・岡山大会でインタークラスチャンピオンが決まりましたから、今日の速報はJSB1000です! いやいや、最終戦って、毎年アツい戦いになるのが常なんですが、今日のはさらにスゴかった! 現地観戦の方、Youtubeで「モトバトル」をご覧になった方、面白かったよねー! 見てない人は、このレポート読む前にYoutube「モトバトル」を!
チャンピオン争いがこの最終戦決着になるJSBは、まず予選から、いや木曜の合同走行から激戦開始! 走行初日となる木曜には、まず水野涼(DUCATIチームカガヤマ)が総合トップタイムをマーク。2番手は中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)、3番手は岡本裕生(ヤマハファクトリーレーシング)。やはり、チャンピオン争いに残っている3人がトップ3を占めました。4番手は野左根航汰(AstemoホンダドリームSIR)で、タイムは2分06秒622と、ここまでが2分06秒台に入れてきています。まだ木曜だからね、このタイム!
明けて金曜はさらにタイム出し合戦が激化してくる中、またも水野がトップタイム。タイムはただひとり2分4秒台にいれての2分04秒856! 2番手に岡本、水野へのタイム差は0秒153! 木曜よりタイム差は縮まってます!
3番手はひとつポジション上げて野左根で、水野までは0秒571差、中須賀は4番手になって2分06秒356。水野まで1秒5差になりました。
そしてきょう土曜日は公式予選。今度は岡本がポールポジションを獲って、タイムはとうとう03秒台に入って2分03秒856! 鈴鹿のコースレコードは、2019年に高橋巧がHRCワークスマシン時代に記録した2分03秒592ですから、そこにあと0秒264! 岡本は、木曜に3番手、金曜が2番手、土曜日がポールポジションと、出来すぎなほど絶好調です!
ちなみに今日は曇り空で湿度が高かったですからね、エンジンにとっては最高のコンディションというわけではなかったからレコードに届かなかったかな。ちなみに高橋のコースレコードの日は、カラッとした秋晴れで気温も路面温度も抑え目、という日でしたね。路面温度が高すぎないとタイヤがよくグリップするし、気温が低いと空気密度が小さくて吸入量が増え、よくパワーが出る、って言われています。
予選2番手は水野、岡本へ0秒279差、3番手は野左根で岡本まで0秒330、4番手には伏兵・岩田悟(チームATJ)が入りますが、これは予選中に徹底的に水野をマークし、ずっとスリップから離れなかったからだと思われます。5番手は中須賀、6番手にはヨシムラSERT MOTULからスポット参戦の渥美心で、ここまでが2列目に収まりました。
もう、毎周のようにトップが入れ替わる激戦!
そして決勝レースは、やはりチャンピオン争いの3人が中心に周回が進んでいきます。ホールショットは岡本! 2番手以降にフロントローからスタートの野左根、水野、岩田をはさんで中須賀が5番手あたりからのオープニングラップです。
中須賀は2コーナーで早くも4番手に上がって、岡本→野左根→水野→中須賀→岩田→渥美→長島哲太(DUNLOPレーシングwith YAHAGI)→高橋巧(日本郵便ホンダドリームTP)→名越哲平(SDGホンダレーシング)といったオーダー。
1周目のシケインで、早くも野左根が仕掛けてトップに立ちます。それでも岡本もすぐに抜きかえして岡本→野左根→水野→中須賀→岩田の順で6番手以下を引き離していきます。
2周目のシケインでは水野が野左根をパス。これでトップ4台は岡本→水野→野左根→中須賀の順で、次の1-2コーナーで、中須賀が野左根と水野をイッキ抜き! これで岡本→中須賀のヤマハファクトリー1-2体制です。いつもの顔ぶれね、このままレースが進んでいったこともありました。しかし、今回は違いましたねぇ! これでトップ争いは岡本→中須賀→水野→野左根の順。
ここからは、まるで停滞の時間帯がなく、毎周のようにトップ3の順番が変わる展開でした。しばらくは岡本vs中須賀がトップ争いをして、その後方に水野、というオーダー。中須賀は1コーナーで、岡本はバックストレートでお互いをパスするシーンが多く、そのままレースは中盤を過ぎていきます。中須賀は「130Rの立ち上がりがちょっと弱点」と言っていました。
岡本はこの時「逃げられるならトップに立って逃げたい」と思っていたと言うし、中須賀は「予選までマシンまとめられなかったけど、決勝はうまく仕上がった」と言っていました。
10周目には水野が動き始めます。1コーナーで中須賀をかわして2番手に浮上すると、バックストレートでは岡本も抜き去ってトップに浮上! やっぱりここまで力を貯めてたか! それにしてもバックストレートの速さは、開幕戦の鈴鹿2&4でも思い知らされた、ドゥカティ・パニガーレV4Rのポテンシャルの高さをまざまざと見せつけます!
ここで水野が逃げ始めるかぁ!と思ったら、岡本&中須賀も離されません! それどころから岡本が水野をかわしてトップに浮上してのラスト2周! それでもバックストレートで、またも水野が抜き返します!
ラストラップは水野→岡本→中須賀の順。しかしNIPPOコーナー(旧ダンロップコーナーです)で中須賀が岡本をかわして2番手へ、そして130Rではマシンをブルブル震わせながら水野をかわしてトップに浮上します! 中須賀強い! 最後にこれ持ってきたか――と思ったらバックストレートで水野がトップに出ます。ドゥカティ速い!
岡本はこの時、中須賀をかわしに行く水野のスリップについて一緒に中須賀をかわして2番手へ。水野→岡本→中須賀の順でシケインに入って、岡本がやや膨らんだところに中須賀もハナ先を入れますが、かわすまでには至らず、水野→岡本→中須賀の順でフィニッシュ! 水野は今シーズン2勝目、岡本は4連勝ならずの2位、中須賀は6戦連続で優勝できず、の3位となりました。
これでなんと、中須賀vs岡本のシリーズポイント争いは、戦前の中須賀192ポイントvs岡本188ポイントから、岡本が23P、中須賀は19Pを加算して、ふたりとも211ポイント! なんとなんと同点で明日のレース2のチャンピオン決定戦を迎えることになりました。同点で最終戦って、今までなかったような……。あとで調べてみます。
優勝した水野は181ポイントで、明日の最終レースでは、岡本と中須賀の2人だけにチャンピオンの可能性が残されたレースとなりました。
明日は、中須賀と岡本、前でゴールしたほうがチャンピオン! 今日のレースを見る限り、岡本はこのウィークずっと調子が良くて、中須賀が尻上がりに調子を上げてきた、そんな戦いに見えました。どっちが有利とか、もう関係なし。勝ちたい、チャンピオンになりたい、という気持ちが強いほうが、勝ってチャンピオンを決めるのだと思います! 明日の決勝は13時過ぎにスタート。このレースでチャンピオンが決まって、いよいよ2024年シーズンが終わるのです。
写真・文責/中村浩史