ワークスマシンそのままのスタイルで登場!
2025年シーズンから、ワールドスーパーバイク選手権を「BbK(ビモータ・バイ・カワサキ)」チームとして戦うことになったビモータ。そのマシンとして先日スペイン・ヘレスサーキットでシェイクダウンを行なったのがKB998でした。
カワサキのZX-10RRの4気筒ユニットをオリジナルのシャシーに搭載するこのマシンの登場は世界中で話題となりましたが、同時にホモロゲーション取得のための「市販型」の登場がいつなのかにも注目が集まっていました。そんな中、2024年11月5日に開幕したミラノショー(EICMA)で、噂の市販型が発表されたわけです。それが今回ご紹介する「KB998リミニ」です。
公道走行に対応するため、さすがにマフラーやフォークなどの一部パーツは異なりますが、こうして両車を見比べてみると、驚くほどにワークスレーサーそのまんま……と言うより、レーサーに保安部品を付けただけのマシンだということが分かります。
写真から分かるようにカウルはカーボン製。ノーズから左右に展開するウイングレットもカーボン製です。ヘッドライトやポジションランプ、ウインカーをビルトインしたミラーなどは、エンジンなどのコンポーネントの供給を受けるカワサキ製らしく、おそらくはZX-10RR譲りだと思われます。
車名にある「リミニ」は、ビモータの本拠地があるイタリア・エミリア=ロマーニャ州の都市の名前。ドゥカティのパニガーレと同じネーミング手法ですね。自社のある地名を車名に冠するあたりに、ビモータのこのマシンに対する自信のほどがうかがえます。
ZX-10RR譲りのエンジンをオリジナルフレームに搭載!
ちなみに全長は2085mmで、奇しくもカワサキのZX-10RRと同じ。エンジンはZX-10RRのものをベースとした998cc直4を採用し、パワーは200PSと発表されています。これを搭載するフレームはクロモリ鋼の楕円パイプで組んだトラスセクションにアルミ削り出しのピボットプレートをボルト締結したコンポジットフレームで、フロントフォークはショーワのBFF、エキゾーストはアクラポビッチ製となっています。
ZX-10RRとは違い、スイングアームは下側に補強の入るデザイン。テールランプやウインカーはZX-10RRのものと同じで、前後のホイールはマルケジーニ製の鍛造。よーく見るとホイールにはグリーンのリムストライプが入っていて、これはZX-10RRからそのまま使用しているもののようです。外装はカーボンを多用していますが、燃料抜きの乾燥重量は195kgで、燃料込みで207kgの車重であるZX-10RRよりは少し重めとなっています。
フロントフォークはインナーチューブ径Φ43mmのショーワ製BFF(バランス・フリー・フォーク)で、ステアリングダンパーはオーリンズ製。メーターやスイッチボックス、電装系はZX-10RRのものを使用しているようで、スイッチボックスも同じものなのですが、クルーズコントロールらしきボタンもそのまま備わっているのがちょっと気になります……。付いたら便利そうですが。
限定500台のプレミアム車、日本でも販売されるのか?
ワールドスーパーバイク選手権のホモロゲーションを満たすため500台が限定生産されるこのKB998リミニ。英メディア・MCN誌によるとその価格は推定で3万6600英ポンド(=約721万8000円)だそうで、かなりのプレミアムバイクになることは確実です。
ニンジャ1000SXのエンジンを搭載するKB4はカワサキプラザ店を通じた販売も行われていますが、このKB998リミニが国内に導入されるのかは不明。いずれにしても、超ド級スーパースポーツの今後が楽しみです。さらなる詳細は月刊『オートバイ』2025年1月号でも解説しますので、そちらにもご期待ください。
KB998リミニ 主なスペック
全長×全幅×全高 | 2085×862×1205mm |
ホイールベース | 1454mm |
シート高 | 830mm |
車両重量 | 195kg(燃料除く) |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 998cc |
ボア×ストローク | 76×55mm |
圧縮比 | 13.0 |
最高出力 | 147.1kW(200PS)/13600rpm |
最大トルク | 111N・m(11.3kg-m)/11700rpm |
燃料タンク容量 | 17L |
変速機形式 | 6速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・200/55ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ330mmダブルディスク・Φ220mmシングルディスク |
KB998リミニ フォトアルバム
EICMA2024での発表の模様
レポート:松本正雅