チェーンコンバートとハンターカブのチェーンサイズ
チェーンコンバートっていうのは、チェーンサイズを変更することね。
チェーンのサイズって3桁の数字になってて、例えばハンターカブ純正チェーンなら428。
一桁目の4がチェーン1コマのピッチ(ピン間の長さ)。二桁目と三桁目、つまり28がチェーンの幅を表してるよ。
DIDのサイトが詳しいので、そちらも参考にしてね。
ロードにおけるチェーンコンバートの定番は、サイズを小さくするというもの。
メリットとしては、チェーン、ドライブスプロケ、ドリブンスプロケが軽くなることによる軽量化。特にバネ下(サスペンションより下側)に位置する部分も多いので、軽量化の恩恵が大きいとされてるのよ。
あとは、フリクションロスの低減。摩擦抵抗の低減ね。
期待できるメリットとしては、燃費向上、レスポンス向上、加速性能向上とか。良いことづくめ。
ただ、美味しい話には裏があるというかデメリットもあるよ。
最大のデメリットはチェーン寿命の低下。同じ馬力をより細いチェーンで支えることになるから、負担が大きくなるのよね。
さて、ハンターカブつまりCT125のチェーンサイズは428。これ、ちょっと太い気がするのよね。
というのも、スーパーカブC125は420サイズ。モンキー125も420サイズ。
CT125はオフロード走行を想定して428サイズにしているのかも。そう考えると420でも割と問題ないんじゃないかな、と。
走行距離も1万キロをこえて、スプロケやチェーンもくたびれてるはずなので、せっかくだからチェーン&スプロケ交換ついでに420サイズにしてみるよ。
コンバートに必要なもの
チェーンコンバートするときには前後スプロケの交換も必要になるよ。なんせ幅が違うからね。
ハンターカブの純正チェーンサイズは428の108コマ。ちなみに純正はノンシールチェーン。
スプロケについては、ドライブスプロケットが14T、ドリブンスプロケットが39T(JA55)。
JA65は38Tね。Tは歯の数ね。
必要なのはCT125に装着できる420サイズのドライブスプロケット、ドリブンスプロケット、そしてチェーン。
スプロケについては、キタコのグロム/モンキー対応のものを購入したよ。
フロントは14Tね。
リアは39Tを購入。ドライブスプロケットと違ってドリブンスプロケットは目立つので、デザインやカラーのこだわるのもアリ。アルミスプロケットだと結構カラーバリエーションも豊富っぽいよ。キタコのドリブンスプロケットはブラック。ノーマルのドリブンスプロケットは色合いが好きじゃなかったので、黒くなって凄く良くなりそう。
ほんとはスプロケットサイズを変更したくて40Tのドリブンスプロケットをポチったんだけど、間違えてスーパーカブ50/70/90用だったでんすよね。で、作業中に気づいてあわててドリブンスプロケットを買い直したので結局純正サイズ。
スプロケが純正と同じT数なので、チェーンコマ数も純正同様の108コマで大丈夫。サイズはもちろん420。コンバートによりチェーンへの負担が大きくなるので、シールチェーンがオススメ。
で、これも必須。チェーンがカシメ締結の場合は、チェーンツールが必須。
DRCのプロチェーンツールなら、カシメもできるし、チェーンカットもできるよ。108コマが欲しいのに、欲しいチェーンが110コマしかない、とかそういう時にも重宝するよ。
これを買っておけば一生チェーンには困らないはず。
JA55を428から420にコンバートするよ
カバーを外したりリアホイールを外すということもあって、必要な工具は結構多いよ。
- 5mmヘキサゴンソケット
- 8mmディープソケット
- 10mmソケット
- 10mmメガネレンチ
- 12mmスパナ
- 14mmメガネレンチ
- 19mmメガネレンチ
- ラチェットハンドル
- トルクレンチ
- ブレーカーバー
- モンキーレンチ(17mmか24mmのメガネレンチでも)
- チェーンプライヤー(ラジオペンチでも)
- 井桁などタイヤを置く台
- DRCプロチェーンツール
ドライブスプロケット入れ替えとチェーン外し
では交換をしていくよ。
ドライブスプロケットカバーを8mmのソケットで外すんだけど、少し奥まってるのでセミディープとかディープソケットの方が良さそう。
ドライブスプロケットカバーは上下2カ所のボルトで止まってるよ。
下側は少し目立たない位置にあるので、外すのを忘れないようにね。
2カ所のボルトを外せば、カバーを取ることができるよ。ステップの付け根に多少干渉するけど、角度を変えればなんとかなるよ。
カバーを外せばドライブスプロケットが露出するので、2カ所のボルトを10mmのソケットで緩めておこう。とりあえず緩めるだけにして、完全にボルトを抜かないでね。
そのままだとスプロケが回ってしまうので、ギアを入れれば緩めやすくなるよ。
ドライブスプロケットを取り外す前にチェーンを外したいので、あらかじめチェーンカバーも取っておこう。ついたままでも作業できると思うけど、作業が楽になるからね。
チェーンを外すには、チェーンクリップを取れば良いよ。チェーンクリッププライヤーがあると楽なはず。
でも、持ってないのでラジオペンチで頑張った。
クリップを外したらチェーンを引っこ抜いておこう。
チェーンクリップは、プレート、ピン付プレート、クリップと4枚のOリングで構成されてるよ。
チェーンを抜くことが出来たら、ドライブスプロケットのボルトを外そう。
ドライブスプロケットはプレートで止まってるので、まずはプレートの位置を合わせて取外し。
そしたらドライブスプロケット本体を外すことができるよ。
そのまま420サイズの新品ドライブスプロケットとプレートを取り付けて、ボルトで仮締めしておくよ。本締めはだいぶ後になるからね。当分このまま。
ドリブンスプロケット交換
ドリブンスプロケットはリアのハブにひっついてるので、リアホイールを外さないといけないのよね。
なので、リアホイールを抜くために、まずはリアアクスルを緩めておくよ。
ボルト側は14mm、ナット側は19mmの工具を使うよ。まずは緩めるだけ。
アクスルを緩めたらセンタースタンドの下に適当な板材を敷いて、センタースタンドを掛け直しておくとホイールを抜きやすくなるよ。板材を敷くことで不安定になるから、あらかじめ緩めておいたってワケ。
自分のが使ってるのは確か2*8材だったと思う。厚みは2インチだから約5cmね。
そしたらチェーンアジャスターも緩めておこう。ここは12mmと10mmの工具で。
アクスルナットを外して、タイヤを足で支えつつアクスルシャフトを抜いていくよ。
センスタの下に厚み5cmの材木を敷いておくことで、フェンダーとスイングアームの隙間からホイールを抜くことができるよ。
材木を敷いておかないと、フェンダーにホイールが引っかかってしまって、抜くのに往生するのよね。
無事にリアホイールを外したら井桁の上に置いておこう。タイヤ交換用に使ってる井桁。
2*4材で簡単に作ることができるので、一個作っておくと便利だよ。
ドリブンスプロケットは4個のナットで締結されているので、14mmのソケットで外していくよ。固そうだったのでブレーカーバーで外した。
純正ドリブンスプロケットを外したら、キタコの420サイズドリブンスプロケットを取り付けていくよ。
4カ所のナットをある程度締めたら。トルクレンチで本締め。トルクは32.0Nmね。
新しいドリブンスプロケットを取り付けたリアホイールを、車体に取り付けるよ。
リアホイールを足で持ち上げつつ、アクスルシャフトを通してくのだ。ホイール左右のカラーを脱落させないようにね。あと、リアディスクブレーキまわりが正しい位置になるように注意してね。
チェーンの取付
お次はチェーンを取り付けていくよ。
ここで活躍するのがDRCプロチェーンツール。これは、チェーンのカシメもチェーンカットも簡単にできる優れもの。しかもかなりゴツイので、安定して作業をすることができるのよ。
新品チェーンをドライブスプロケットに通して、先端をドリブンスプロケットにはめておくよ。こうしないとジョイントをはめるのが大変だからね。
チェーンをつなげる前に、ジョイント部分にOリングを入れて、付属のグリスを塗っておこう。
そしたらジョイントをチェーンにはめるよ。
さらにこっち側にもOリングを。
最後にプレートパーツを付けるんだけど、圧入なので手では装着できないのよね。
そこで、プロチェーンツールのカシメモード。付属の板みたいなのを取り付けてプレートを押し込むのだ。
プレートとカシメパーツが綺麗にあうように調整しつつ、工具で締めこんでいくよ。
こんな感じでプレートをはめることが出来たよ。ちょっとプレートを押し込みすぎたかも。大丈夫かな。
そしたら、プロチェーンツールの板みたいなパーツを外して、付属のカシメ用のパーツに交換。
飛び出た2本のピンを、このカシメパーツで潰していくよ。
無事にカシメることができたら、ようやくドライブスプロケットの本締め。規定トルクは12Nmね。
カブ系の自動遠心クラッチってギアを入れても後進方向にはタイヤが回ってしまうので、ホイールを抑えつつトルクレンチで締めていこう。
あとはチェーンの調整をして、チェーンラインをまっすぐにしたらアジャスターナットを本締め。その後アクスルシャフトを本締めしよう。アクスルシャフトの規定トルクは59Nmね。
最後にドライブスプロケットカバーとチェンーカバーを装着したら完成───。
重量を比較
せっかくコンバートしたので、純正の前後スプロケと420サイズの前後スプロケ、そして428サイズと420サイズのチェーンで重量を比較してみるよ。
まずはドライブスプロケット。純正は106gでキタコの420サイズは85g。
次はドリブンスプロケット。純正は527gで、キタコの420サイズは368g。
最後にチェーン。チェーンだけは中古でCT125を買った時点で428のシールチェーンになってたのよ。なので428シールチェーンと420シールチェーンの比較ね。
純正はノンシールチェーンだから、もっと軽いはず。
428サイズは1067gで420サイズは836g。オイルの固着とかもありそうだから誤差ありそう。
全部足すと428サイズが1700gで、420サイズが1289g。
比率でいうと428サイズに対して約76%。つまり約24%の軽量化。
完成
というわけで完成したよ。
チェーンはゴールド/ブラックとかでも良かったかも。でもドリブンスプロケットが黒くなって凄くお気に入り。チェーンの幅が細くなってるはずだけど、ぱっと見ではわかんないね。
交換前の428サイズだとこんな感じ。
まとめ
試運転してみたところ、想像以上に軽く気持ちよく回るよ。軽いって最高ですね。
めっちゃ走りが良くなった気がする。
ただ、チェーンサイズが細くなってるのでチェーンメンテは428サイズ以上にマメに行う必要があるよ。
レポート:若林浩志