三浦と溝口が激戦を繰り広げる、ファースト50クラス
エントリークラスのファースト50は今回12台が参戦。中でも溝口眞乃桃(#15)と三浦雪斗(#30)がトップをめぐって火花を散らしました。
ヒート1、三浦が序盤でトップに立つと、続いて溝口が追いかけます。2人の差は0.9秒。さらにそこから溝口が距離を縮め、レース中盤には0.3秒差にまで近づく超接戦を繰り広げます。逃げる三浦と迫る溝口、両者の激しい攻防戦に観客も息を呑むなか、溝口が抜きにかかったところでミス。三浦との差が開いてしまいます。その後も追い上げていく溝口ですが、三浦が逃げ切りゴール。バックマーカーを上手くかわし、常に安定した走りを見せた三浦の巧みさが光ったレースとなりました。
ヒート2も三浦がトップを快走。2番手の溝口とは序盤で5秒ほど差を広げ、独走状態に入ります。溝口は三浦を上回るラップタイムで懸命に追い上げますが、惜しくも届かずフィニッシュ。1位三浦、2位溝口、3位に矢熊 桃子(#57)が入賞を果たしました。なお、シリーズチャンピオンを獲得したのは溝口。2戦目からは全レース表彰台に登っており、シーズンを通して著しい成長が見られました。
小島庸平のワンポイント・アドバイス!
「三浦選手、速かったですね。コーナーの立ち上がりから加速させるのが上手くて、1人だけスムーズに前に進んでいるなと思いました。三浦選手は秋田から2回連続で参戦してくれていました。ファースト50はレースの楽しさを知るためのクラスでもあり、レースを楽しむことが成長にもつながるので、今後もポジティブな経験を積んでいってほしいです」
最終コーナーで勝敗が決まる、片山と齋藤の熾烈なチャンピオン争い。スーパー50クラス
スーパー50クラスは、チャンピオン争いが超接戦。第5戦を終えた時点でランキングトップの片山太郎(#96)が177ポイント、ランキング2位の齋藤稀(#23)が175ポイントとその差はわずか2ポイントで最終戦を迎えます。
ヒート1は片山がスタートで良い反応を見せ、続いて齋藤が追いかける展開。序盤で3秒ほどリードしていた片山ですが、齋藤は徐々に距離を縮め、レース中盤でトップに浮上します。しかしその後も片山が齋藤に食らいつき、トップ争いが白熱。片山は最後まで粘りアタックしますが、齋藤も負けじとトップの座を守りきり、そのままゴールを果たしました。ここで齋藤が優勝したことにより、ポイントランキングはなんと片山と齋藤が同点で1位に並ぶことに。全てはヒート2の結果次第となりました。
迎えたヒート2、好スタートを決めた片山がレースをリードし、齋藤は1秒ほど後方から置いかける展開。齋藤は周を重ねる中で徐々に差を詰めると、レース終盤には片山に接近し横並びになる接戦を繰り広げます。片山も前を譲らない走りを見せますが、最終周にバックマーカーを挟んで再び横並びになると、齋藤が一瞬前に出てリードを築きます。しかし最終コーナーでインに入った片山が齋藤に並びトップを奪取。そのままゴールラインを通過し、片山が勝利を収めました。勝利への意地がぶつかり合うバトルを制した片山が、見事チャンピオンを獲得しました。
「チャンピオン争いはもう接戦でしたね。最終コーナーで抜き返す……、ドラマチックな展開でした。齋藤選手も片山選手もコーナーがすごく上手で、ずっとスピードに乗っているんですよね。ベストラップは齋藤選手の方が速かったのですが、片山選手はブロックやラインの見極めで上手くカバーしていました。今回は2人が抜き出ていましたが、他のライダーも力をつけてトップ争いに絡んでくれると良いなと思います」
広野が自身初のシリーズチャンピオンに輝く、リミテッド50
スーパー50クラスと混走で行われたリミテッド50クラスでは、広野康輝(#59)がスタートから前に出てレースをリード。シーズンを通して安定感が増したライディングと他を寄せ付けない速さで、周回を重ねるごとに後方を引き離します。序盤から独走状態となった広野は危なげなくトップでフィニッシュ。圧倒的強さを見せつけます。
ヒート2も同様、スタートから広野が飛び出しそのままの勢いで単独走行へ持ち込みます。ラップタイムを見ると唯一2分台を切り、1分57秒台を記録するなどヒート1よりもさらにスピードを上げてレースをリード。そのままゴールを果たし、見事完全勝利を収めました。これにより広野が自身初となるシリーズチャンピオンを獲得。開幕戦こそ優勝を逃すも、2戦目以降は優勝を重ねてきたその強さが光りました。
一方、今シーズン接戦を繰り広げてきた高取 柚貴(#21)と小森 翔馬(#300)のバトルの行方にも注目が集まりました。今大会は両ヒートともに高取を小森が追いかける展開。小森が食らいつきますが、高取が上手くリードを保ち、高取が2位、小森が3位という順位でレースを終えました。開幕戦からバトルを展開し、大会を重ねるごとに実力を伸ばしている姿が印象的な2人。各々の努力はもちろん、44キッズクロスで競い合うお互いの存在が成長につながったのではないでしょうか。今後さらに伸びていくであろう2人の活躍に期待です。
「広野選手、速かったですね。走りを見ていると、ジャンプの勢いが他のライダーと一線を画すほど速くて、レースを重ねるごとに成長しているなと思います。ジャンプに自信があって、どんなジャンプでも100%飛ぶ彼は完全に”ジャンパー”ですね!(笑)。彼ならではの走りが光っていて、今後の活躍にも期待しています」