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【インプレ】ヤマハ「XSR900」(2019年)|独自の個性が輝く最新鋭ヘリテイジ・スポーツ
YAMAHA XSR900(2019)
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ネオクラシックというカテゴリーには往年のマシンをオマージュしたスタイリングを持つモデルが多いが、そうしたマシンたちとは一線を画すのがヤマハのXSR。「ヘリテイジスポーツ」の名にふさわしい、最新技術でまとめられた一線級の最新スポーツバイクなのだ。
文:太田安治
この記事は2019年6月15日にwebオートバイで公開されたものを再構成した記事です。
レトロ調のルックスながら中身はいたってスポーティ
XSR900はヤマハの「プラットフォーム戦略」によってMT-09、トレーサーとエンジン、車体のメインコンポーネンツを共有するネオクラシックモデル。
より簡単に言えば、MT-09の外装をレトロな雰囲気に変えた兄弟車だ。
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MT-09は鋭いピックアップのエンジン特性とソフトな前後サスペンションによるストリートファイター的な運動特性が持ち味だが、XSRはルックスに合わせてやや落ち着いたキャラクターに設定されている。
前後サスペンションは実効ストロークが大きく、市街地やクルージングレベルでは優しい乗り心地。
ただし加減速でGが強まるにつれてピッチングモーション(車体の重心を中心とした縦方向の動き)が大きくなるので、普段はパワーモードを「STD」、濡れた路面やタイトターンの続く峠道では「B」に設定しておくと扱いやすくて疲れない。
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特徴的な3気筒エンジンは明らかに4気筒とは異質な、荒っぽい力強さが持ち味。
低中回転域から粘り強く、3〜4速の守備範囲が広いため市街地をオートマチック感覚で走れ、峠道でもギアポジションに気を使わずに済む。
そして6000回転を超えるとパワーが一気に高まり、フロントタイヤを持ち上げる勢いで猛然とダッシュ。
加速時の独特のエンジンサウンドと、漲るパワー感は普段優しいXSRの裏側にあるもうひとつの顔だ。
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操縦性は250ccモデルほどヒラヒラしてはいないし、オーバー1L車のように重厚でもない。
いずれにしても抽象的だが、「しっとり」という表現が近いだろう。
MT-09と比べるとシート形状の違いで着座位置が高く、約50mm後ろ寄り。
ハンドルのグリップ位置もライダーに近いので寝かし込みや切り返しが軽い。
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ツーリングペースでは車体を倒し込んでインに向かって行く一次旋回が穏やかなので気疲れせず、コーナリングGでサスペンションが沈み込んでいるときの安定感が高く、コーナー出口でスロットルを開けたときにリアのトラクションが明確に感じ取れることも操る喜びを深めてくれる。
サーキット走行ペースではサスペンションの柔らかさが裏目に出て落ち着かないが、これはXSRにとって弱点ではない。
それだけ公道に合わせて設定されているということだからだ。
正統派ロードスポーツとしての作り込みがXSR900の魅力だろう。
文:太田安治
webオートバイ記事公開日:2019年6月15日
※掲載記事は記事公開日時点の内容であり、時間の経過などに伴ってないように不備が生じるばあいがあります。ご了承ください。